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2014/11/11

名古屋駅でのこと。

タクシーが、名古屋駅の新幹線口に近づこうとしたら、一切通れない。
 警察の方が、「ここから先には行けません」と丁寧におっしゃったけれども、その理由など、一言もお話にならない。
 
 じゃあ、ここで降りますと、タクシーから出た。

 そこから、新幹線に乗る太閤口までは、歩いてすぐである。
 ところが、もの凄い人の波が前の方にあって、それが壁のようになっていることがわかった。
 大きな日の丸が立てられていて、その周囲に、日の丸を持った人が何人かいる。みんなが、カメラを持った手を伸ばして、撮影しようとしている。

 ふと、スケート選手とか、スポーツをやっている方が凱旋帰国されたのかな、と思った。
 
 とにかく、一切先に進むことができない。よく見ると、目立たないように立っていらっしゃるが、SPの方々もたくさんいる。

 その時、前を誰かが通られて、フラッシュがいっせいに焚かれた。
 「ばんざい!」 「ばんざい!」と叫ぶ方がいらした。

 誰が通られたのか、見ることはできなかったが、通り過ぎられると、SPの方々が、「ゆっくりとお進みください」と言って、それから、人の壁がさっとゆるんで、太閤口に通ることが出来るようになった。

 この間、ほんの2、3分。

 道行く人の言葉で、皇太子さまがいらしていたことを知った。
 雅子さまもご一緒だったとのこと。

 それを聞いたとき、まっさきに思ったのは、「ああ、良かった」ということだった。雅子さまもご一緒で、良かった。

 歩きながら、あの、人の壁の何とも言えない雰囲気について考えた。
 確かに、スポーツ選手の凱旋でも、スターの来日でも、あの雰囲気は出なかっただろう。
 人の意識というものはふしぎで、そこには峡谷も深海もあり、皇太子夫妻がいらっしゃらないと生まれない沃野もあるのだろう。

 小林秀雄さんが、新嘗祭のことについて、講演の中で話していたのを思い出した。
 寒い中、陛下が儀式をされる間、外でずっと立っていて、温かい鴨汁が振る舞われるのではなかったか。

11月 11, 2014 at 07:34 午前 |