二人いたら、それは、もはや流行である!
今朝は、台風も近づき、やや強い雨が降っていたけれども、なんとか、三キロちょっとだけ、走ることができた。
公園の森を抜けたところにある建物の前を通り過ぎた時のことである。
パーン、パーンと乾いた音がする。
まさか、と思って、そちらの方向を見ると、建物の隅、雨が当たらないところで、おじさんがしこを踏んでいる。
建物の壁に反響して、こちらにも届いてくるので、いい音がしているらしい。
しばらく前、9月21日に、ぼくは別のところで、しこを踏んでいるおじさんを見つけて、びっくりしてツイートしたのだった。その時の文章を引用する。
(引用始まり)
今朝、走っていたら、びっくりした。住宅街の中の公園で、おじさんが「しこ」を踏んでいたのだ。しかも、ハンパな踏み方じゃない。足を振り上げ、地面に向かって、「バーン」「パーン」と、びっくりするほど大きな、乾いた爆音を立てて足を踏み下ろしていた。一目で、アマじゃないとわかった。
ぼくは動揺して、走りながらさりげなく「しこ踏み」おじさんに近づいて、脇目で観察した。まわしなどしていなくて、普通のトレーナーをつけている。かと思ったら、また「パーン」としこを踏んだ。150キロの剛速球が、キャッチャーミットに収まったような、そんな音がした。
あのおじさんは、何だったのだろう。体型は、そんなに太っている、というわけではなくて、むしろ、筋肉質の、ひきしまったからだをしていた。昔相撲部だったのが、選手は引退して、今はコーチをしているとか。とにかく、ただものではないしこ踏みおじさんを、朝から見てしまった。
(引用終わり)
このあと、ぼくは、「行動変人」についての思い出を書いていくのだが、今朝、別のおじさんが建物の隅でパーン、パーンとしこを踏んでいるのを見て、実は、はげしく動揺したのだった。
なぜ、そのおじさんが「別の人」だとわかったかと言うと、そもそも、前のおじさんがしこを踏んでいた公園と、今朝のその建物が直線距離にして約1キロ離れているということもあった。
しかし、何よりも、つまりその、今朝のおじさんは「髪型」が前の人と違っていたのだ。
確認するために、走りながらぼくがおじさんのピカピカの頭を見つめていると、おじさんは、なぜか、しこを踏むのを休んで、自分の頭をなでた。
まっ、まさか、ぼくの視線を感じたのかしら。
さて、変わった行動をする人が、ひとりいたら、それは「変人」であると、私たちの脳は片付けることができる。
しかし、パーン、パーンの、しこ踏みおじさんが、二人いたら、それは一体どうなるのか。その時、私たちの世界は、根底からゆらぐのではないか。
そう。二人いたら、それはもはや変人ではない。
二人いたら、それは、もはや流行である!
間違っているのは、しこ踏みおじさんではなく、ぼくの方だっ!
ひょっとしたら、世間では、今、しこ踏み健康法なるものが流行しているのであろうかっ!
かつてない理性のゆらぎを経験しながら、私は、雨の中、さらにランニングを続けたのであった。
パーン!
10月 5, 2014 at 08:26 午前 | Permalink
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