お前の靴の画像を送れ!
先日、東京都現代美術館で、『うさぎスマッシュ』展を記念した、長谷川祐子さん、佐藤卓さん、柏木博さんとのシンポジウムをしていた際のこと。
私の話を終えたあと、佐藤さん、柏木さんのお話があり、その間、私は会場の片隅に立ってふらふらしていた。
そして、シンポジウム後半。みんなが集まって、さあ、これから議論しましょうと、椅子に座った時のことである。
ふと気づいた。
靴が壊れている!
先日はきはじめたばかりの、靴が壊れている!
この靴は、まだ新しいものだった。名前は知らない。テレビ朝日で収録があった時、その時はいていた靴が壊れていたので、タッキーが用意してくれていた衣装の靴を、そのままはいたのである。
あれから、一週間か10日しか経っていない。普通に考えれば、壊れるはずがない。
なぜ、壊れたのだろう。。。私は、疑問を抱いたまま、東京都現代美術館を後にして、NHKの『Rの法則』の収録に出かけていった。
もちろん、靴はこわれたまま。『Rの法則』のオンエアを見ると、ひょっとしたらぼくの左足の靴が切れ込み入っているところ、確認できるかもしれません。これはデザインではありません。
収録を終えて、帰るときに、ふとひらめいた。
あっ、そうか!
靴がこわれた理由が、おそらくわかった、と思った。
シンポジウムの際、自分が話し終えて暇だったので、私は会場をぶらぶらしながら、弟子の植田工のところにいって、からかっていた。植田は、最前列の一番左にすわっていた。
その時・・・・。
ひらめいてすぐ、私は、LINEで植田にメッセージを送った。
「お前の靴の画像を送れ」
「えっ、なぜですか?」
「オレの靴が壊れた。とにかく、送れ」
植田工の靴の画像が送られてきた。それを見て、私の想像は、確信に変わった。
「やっぱりな。オレの靴、壊れた。なぜ、君の靴の画像、送れといったか、わかったか?」
「わかりません。靴新しいの買うから、ぼくのとかぶらないようにですか?」
「ちゃうわい。もっと考えてみ。」
「あっ、わかった。ぼくの靴のデザイン参考にして、自分の靴を塗ろうというのですか。」
「ちゃうちゃう。因果関係というやつや。なぜ、オレの靴が壊れたか、わかるか?」
「わかりません。」
「もうちょっと、考えてみい!」
「ええと・・・・」
「あのシンポジウムでな、オレ、植田に近づいていって、それで、からかっていた時、なにかしただろう。」
「ええと・・・」
「思い出してみい!」
「ええと・・・・ あっ!」
「そうだ、そのあっ!」だ!
そうなのだ、私は、シンポジウムで自分が喋り終えて暇だったので、(もちろん他の講師の話は聞きつつ)、ふらふらと一人学級崩壊していたのだが、その際、植田のところにいって、からかうつもりで、植田の靴を蹴っていたのだ。そう、確か、黄金の左足で蹴っていたのだ。何回か、蹴ったのだ。
その時、私の靴と植田の靴がぶつかって、なんと、悲しいことに、私の靴は、ケリ負けたというか、肌荒れしたというか、それでざくっと、切れ込みが入ってしまったという次第。
「あっ!」
「あっ!」
LINEの文字を超えて、私と植田工の声が東京の寒空にこだました時、麗しき師弟愛は、靴の強度勝負における師の気合い負けという、まさかの軟弱な結末を迎えることになったのである。
「あっ!」
ところで、「お前の靴の画像を送れ」というLINEのメッセージを送ったとき、もし植田工がシャーロックだったら、彼は瞬時に真実を悟ったのであろうか。不憫なるは、私の靴なるぞ。今日もそれをはいている。(だって、買いに行く時間ないし)。
12月 9, 2013 at 07:57 午前 | Permalink
最近のコメント