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2013/07/11

 おじさんは、通過儀礼をくぐりぬけた青年のような顔をしていた。

 人間の脳は、予想をしないものを見ると、前帯状皮質(Anterior Cingulate Cortex)が活動する!

 さきほど、暑いなか走って、汗だくのままコンビニに入り、飲みものをカゴにいれてレジに並んでいた。

 そしたら、前に立っていたおじさんが、大切そうに一冊の雑誌を持っていた。カバーのタイトルだけしか見えなかったのだけれども、どうも、「アジア女性」と書いてあるような気がする。
 
 「アジア女性」?

 そんなタイトルの雑誌が、世の中に存在するとは、想像もしなかった。

 アジア女性! 

 カバーには、なぜか編み目状の黄色いゴムがかけてあり、どんなデザインなのか、よく見ることができない。

 おじさんの順番が来て、レジに進むと、おじさんは、なぜか、表紙を下にして差し出したので、やっぱりよくデザインが見えない。

 レジのおばさんは、雑誌を受け取り、手慣れたように黄色いゴムを外すと、いつもよりも明らかに少しだけ強い口調で言った。

 「あの、袋に入れますか?」

 一方、おじさんは、なぜか、か細い声で言った。

 「あ、はい。」

 地球を訪れている火星人ならば、このわずか十数秒のやりとりの中に、無限の人間ドラマ、人生の機微を読み取るに違いない。

 雑誌「アジア女性」を無事袋に入れてもらったおじさんは、ほっとしたように店の外に出て、しばらく太陽の下で立ち尽くしている。

 なんだか知らないけど、ヨカッタね。

 ぼくが支払いを済ませて店を出ると、おじさんはもう乗ってきたバンの運転席にいた。

 気のせいか、おじさんは、通過儀礼をくぐりぬけた青年のような顔をしていた。

7月 11, 2013 at 09:01 午前 |