なぜ、カレーうどんはアチチなのか。
講演会の前に、腹ごしらえをしようと思って、うどんやさんに入った。「やっぱり温玉ぶっかけだな」と思ったのが、「カレーぶっかけ」という謎のメニューが目に入ってしまった。
頼んだら、来たのは普通のカレーうどんだった。そうだよね。うどんにカレーのルーをぶっかけたら、普通のカレーうどんになるよね。ぶっかけ感を出そうとしたら、ルー少なめにしてうどんを露出させるしかないけど、それは本末転倒だよね。
それで、食べ始めてすぐに後悔した。そうだ、オレは猫舌だったんだ。そして、猫舌人間にとって、カレーうどんほどの最終兵器はない。
子どもの頃、近所のそば屋でカレー南蛮を初めて注文した時の衝撃! なんでこんなに熱いんだ。なんで、いつまでも熱いんだ。「熱容量」について学ぶずっと前から、ぼくはカレーうどんが熱容量の高い食べ物であることを体感していた。
ふうふういいながら、結局全部たいらげてしまった。「辛いからい」といいながら、ルーも全部飲んでしまった。こんなことをしているから、ブタ化するのである。仕方がない。うまかったんだもの。
それにしても、カレーうどんは、なぜアチチなのか。
ふり返ってみると、あんなに熱い、いつまでも熱いということも、カレーうどんの味わいの一つなのであろう。カレーライスだと、ルーはあっとういう間に平らになって空気との接触面も増えて冷えるから、いつまでもアチチは、カレーうどんで初めて味わえるクオリアなのである。
してみると、猫舌のぼくも、実は、カレーうどんを注文するときには、あんなにアチチ、いつまでもアチチのクオリアを楽しみたいと思っているのかもしれない。きっとそうだ。ただ、昨日は、「ぶっかけうどん」というひんやりなメニュー名に騙されて、不覚を取っただけのことなのである。ちゃんと完食して仇をとってやったぞい。
5月 13, 2013 at 08:09 午前 | Permalink
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