ボディコンでもいい。たくましく育ってほしい。
俳優の向井理さんと対談するというので、編集の宮下哲さんとやりとりしていたら、メールに「撮影ですが、できれば多少、明るめのイメージの服装でお越しいただけると幸いです。」とある。
それで、困ったなあと思った。ぼくは一年中同じ格好をしている。それも同じ服が複数あるのではなく、夜脱いで床に転がっているのをそのまま翌朝も着るのである。もちろん、靴下やパンツ、Tシャツは換える。一年中着ている同じやつはどんなものかと言えば、ジョブズが着ていたような黒いトックリである。
つまり、宮下さんの言うところの「明るめのイメージの服装」なんて、ぼくは持っていない。
困ってしまって街を歩いていたら、そうだ、春なんだ、と思った。店に入ったら、真っ先に春っぽい服が目に飛び込んできたから、こりゃあいい、これを買おうと思った。
以下、スタッフの方との会話。
「あのう、これ、透けませんか?」
「あっ、意外とだいじょうぶですよ。」
「下には、何を着ればいいのでしょうか。」
「そうですねえ。Vネックのシャツか何かですねえ。グレー系が、いいと思います。」
サイズLのシャツを持って着て下さった。春色のセーターを試着している私の身体を慎重に眺めて、店員さんが言っている。
「あのう、お客様は、シャツをぴっちり着る方が好きですか、それともゆったり?」
「どちらかというと、ゆったりです。」
「なるほど。このシャツ、ぴったりフィットするようにつくられていますので、お客様の場合、XLでもいいのではないかと思うのですが。。。」
「あっ、じゃあ、XLでいいです。」
不思議なことに、スタッフの方が自分の前にシャツを広げて、ぼくの身体に重ね合わせて見ている時、ぼくの脳の中にも、スタッフの方の脳の中にも、ボディコンでぴったりフィットしたシャツがぼくの身体の上で身もだえして当惑している、みたいなイメージが、はっきりと感じられた。
あれは、幻覚にしてはよくできていた。
ぼくは、ボディコンで、XLなんだ。。。。
春色のセーターを包んでもらって店を出る。なんだか自分の身体を抱きしめてあげたいような気がする。
いいんだよ、そんな身体でもいいんだよ。仕方がないさあ。
ボディコンでもいい。たくましく育ってほしい。
あっ、もうこれ以上育たなくてもいいか。
(ちなみに、親切なスタッフは、東京駅丸の内口のUnited Arrowsの方です。)
4月 2, 2013 at 09:07 午前 | Permalink
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