アムスに何があるというのだ。
成田空港の税関では、たいてい余りものを聞かれない。
パスポートを見て、「お仕事ですか、おつかれさまです。」と言うだけである。
ところが、今朝は違っていた。税関申告書に、搭乗地アムステルダムと書いた。それで、並んだら、なんだかいつもと違う感じになっている。
「えーと、アムステルダムから乗られたのですか?」
「はい、そうです。」
「おひとりで?」
「はい。」
「アムステルダムに、お一人で?」
「はい。」
なんだか、気のせいか、係員の方の顔が曇っていくような気がする。長身で、眼鏡をかけた、まじめそうな方だった。
「滞在されたのが、アムステルダムなのですか?」
「いいえ。ミラノです。イタリアです。アムステルダム経由で来たのです。」
私が滞在していたのが、イタリアだ、と聞いた瞬間、まるで魔法のように、係員の方の顔が明るくなった。
「イタリアですか!」
まるで、その言葉に、北方の土地の霧を晴らし、地中海の明るい陽光をもたらす秘密があるように、一気にすべてが変わった。
「お疲れ様でした!」
パスポートが返された。私もほっとして税関を通る。
外に出ながら思う。それにしてもなぜだ。アムステルダムに、何があるというのだ?
4月 12, 2013 at 10:08 午前 | Permalink
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