こわそうなおじさんだと思っていたら、本当は親切だったのだ。
26歳で社長になったという佐賀新聞の中尾清一郎さんに、Al Portoに連れていっていただいた。とても美味しかった。
そのあと、近くの運河まで、ぷらぷら歩いた。川又さん、細田さん、津江さんと、いろいろ軽口を叩きながら歩いた。
ミラノの街はデザインに溢れていて、家々の窓に大きなカエルがいる。
カエルかあ、ぴょんぴょんだな、と思いながら、バーを探したが、どこも混んでいる。
そんな中、お客さんが誰もいないバーがあることを、私は見逃さなかった。店のおじさん二人が、カウンターで所在なさげにしている。ぼくは客が少ない人気のない店が圧倒的に好きで、あそこに入ったらどうかな、と思ったけれども、まだ先にあるかもしれないと遠慮して、そのまま歩いていった。
そしたら、橋を渡って向こう側に感じのいいカフェがあるな、と目星をつけといたら、ものすごく混んでいた。感じのいいところはやはり混んでいる。
それで、中尾さんやみんなにおずおずと言った。
「あのう、さっき、お客さんが誰もいないバーがあったのだけど、そこに行きませんか?」
「こわそうなおじさんが二人いるんだけど、それでもいいですか。」
みんな、あまり乗り気ではなかったが、ぼくはずんずん歩いていった。しょうがないからみんなついてくる。
「おねえさんが、客を呼び込んでいるところじゃなくて?」と中尾さん。
「そこではありません。おじさん二人です。」
かまわず歩いていくと、さっきのバーがあった。やはり、中にお客さんが一人もいない。
入ってみると、なかなかに居心地の良い空間だった。ぼくはピッコロのビールを頼んだ(小さいというイタリア語は、かわいいね)。
そうやって飲みながら談笑していると、しばらくしたら、カウンターのおじさんが「おい!」みたいな感じで話しかけてきたから、どきっとした。何か怒られるのかな。
そしたら、違っていた。カウンターの上には、いろいろなおつまみが載ってたのだが、どれでも好きなだけ食べていい、というのだ。よく見ると、料理の皿の横に、プラスティックの小皿がたくさん置いてある。
知らなかったのだが、ミラノでは、飲みもの注文すると、おつまみは食べ放題、という店が多いらしい。
みんなお腹いっぱいだったので、ぼくは遠慮がちに少しポテトチップスを持ってきたら、後からおじさんがどん! と籠ごと持ってきてくれた。
こわそうなおじさんだと思っていたら、本当は親切だったのだ。人やバーを、見かけで判断してはいけません。
4月 10, 2013 at 03:43 午後 | Permalink
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