弟子の植田工よ、お前にようやく追いついたぞ。
数年前、ぼくは、冬でも薄手のセーターひとつで、映画「トレインスポッティング」のポスターみたいに身体に腕を巻き付けて震えていた。
ところが、ある時、ふと思ってダウンジャケットを着たら、温かくて、うれしくて寒空の下をやたらと歩き始めた。1時間でも2時間でも平気で歩く。結局、身体もよくなった。やせ我慢はよくない。
ところが、悲劇が起こった。うれしくて勢いよく歩いていたら、突然ビリッ!
なんと、民家の生け垣から出ていた釘みたいなやつに引っかかって、肩のところが裂けた。そこから、白い羽毛がふわふわ〜と飛んでいる。
そうか、やっぱり、本物のダウンを使ってたんだ、よかった、ニセモノじゃなくって。って、違うわい。そこじゃなくて。
とにかく、歩いていると、肩のところから、ふわりふわりと次々に羽毛が飛ぶ。これはヤバイ! というので、ローソンに入って、黒いガムテープを買って、そこに貼り付けた。
それから、会う人がみな、「それはデザインですか」「変わっていますね」とかいうので、ぼくはその度に、みじめな気持ちで、「いや、これは、その、釘が出ていて・・・・」と説明したのだった。
それで、ダウンジャケットの薄手のやつを、もう一つ買った。胸のところに、Aって書いてあるやつである。(どんなブランドなのか、良く知らない)
それで、余ったガムテのジャケットは、弟子の植田工に譲った。
植田工は、うれしかったらしく、外を歩く時だけじゃなくて、眠っている時もずっと着ていて(「これ、温かいんですよね」)、ゆうなちゃんに気持ち悪がられて、どこかにしまわれてしまったりしたらしい。
とにかく、ぼくは薄手のダウンジャケットを便利に使っていて、ちょっと暑いときはリュックの中にぐるぐる丸めて入れた。
それが行けなかったのか、あるいはそもそも着方が乱暴過ぎたのか、先日、ふと気づくと、背中の下のあたりが、シュリ、シュリと裂け始めている。そして、なんと、そこから羽毛がふわふわ出始めている。
そうか、やっぱり、本物のダウンを使ってたんだ、よかった、ニセモノじゃなくって。って、違うわい。そこじゃなくて。
胸のところに「A」とあるジャケットを買って2年。使い方がひどすぎたのか、リュックの中に釘が出ているわけでもないのに、裂けて羽毛が出始めた。
近日中に、黒いガムテを張らなくてはなるまい。弟子の植田工よ、お前にようやく追いついたぞ。
3月 28, 2013 at 07:09 午前 | Permalink
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