ベンチャーキャピタルとは何か
日本ではベンチャーが少ない、育たないという。ならば制度、システムを変えよう。
時々、講演などで、「ベンチャーキャピタルの本質は、なんだと思いますか?」と聴衆に聞く。なかなか答えが返ってこない。そこで、私が、「正解は、会社が失敗しても返さなくていい金です」と言うと、みんなどっと笑う。
笑うということは、つまり、そこに不安や恐怖があるということだ(笑いの進化的説明。)
シリコンバレーの人に聞いた話。ある大学教授が、三回ベンチャーの会社をつくって、失敗してつぶれた。そして、三回とも、住んでいる家が大きくなった。
日本だと笑い話(むしろおとぎ話?)になるが、そこに本質がある。
大学教授は、専門性(expertise)を提供した。それに対して、資金と報酬が提供された。そのリスクは、貸した側が追う。しかし、もし会社が成功してIPOでもすれば、莫大な利益となる。
貸し借りがいい意味でドライにならなくてはならない。日本のように、不動産や連帯保証人の担保をとって貸すんだったら、貸す側はリスクも負わないし、そもそも相手の将来性を査定する能力も育たない。連帯保証人の問題に限らず、日本の社会全体に蔓延する風土病であろう。そして、その誤解を、よくわからない理屈で正当化する人も多い。経営者の善し悪しは能力の問題であって、市場で評価されるべきこと。個人資産を担保に入れるのが「筋」だなどと、倫理の問題と混同されるべきではないのだ。
2月 18, 2013 at 11:13 午前 | Permalink
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