G1サミット、「浮湯」の脱衣場における、原研哉さんとの会話
御立尚資さんと浮湯でいろいろお話していたら、のぼせてきたので上がって髪の毛を洗った。
ぼくは、絶対に朝しか洗わない。夜洗うと、翌朝ぴょんぴょんになるから。
脱衣場が着衣場になって、一つだけずいぶん乱雑に脱いでいるのがあるな、と思ったら、自分のだった。
髪の毛をがーっとやって、パンツをはいて、「ファイティング・ポーズOK!」になったら、すっとやってきたのは風格のある大人。原研哉さんだった。
「おやすみになれましたか?」
「ええ、ぐっすり」
「昨日のクラウドのセッション、面白かったですね。あの、ソーシャルで最適化、というの、どう思いましたか?」(茂木)
「あれはあれでいいと思うのですが、やはり最適化とイノベーションの違いがあると思うのです。これからは、一杯300円でご飯を売る時代だと思うのです。」(原)
「実際、ワインでは、それが実現しているわけですからね。」(茂木)
「それで、最適化というのは、つまり、一杯30円が28円になってしまうような世界だと思うのです。それでもヴォリュームをかせげばいい、という業界もあると思うのですが、それだけではない」(原)
原さんは、パンツも脱いでしまったけれども、私としゃべっているので、ゆかたをもう一度はおっている。そのように立っていると、本当に風格がある。
「そうですね。やはり、ソーシャルを使った最適化、というのは、一つの文脈の中でのことじゃないかと思います。」(茂木)
「やはり、デザインのどこかに、人々が「こちらがいい」と考えるそんなベクトルにあらがう側面がある」(原)
「実際、アップルのイノベーションは、そのあたりをついてきていますからね。」(茂木)
「それでも、ソーシャルで最適化するとか、そういうことは一つの流れではあるとは思う。」(原)
「ぼくも、聞いていて、そんなことを考えるのか、という一種の解放感がありました。」(茂木)
「彼らの話、全体として、自信に満ち溢れているんだよな。」(原)
「やはり、時代の流れに乗っていますから」(茂木)
ぼくと原さんは、そこで別れた。
朝ごはん会場の前を通る。
「お待ちしています!」と言われた。
ぼくは、部屋に帰って、今の原研哉さんとの会話をクオリア日記に記録して、それから腕立てふせをするころには、髪の毛はかわいてしまっているかもしれない、そう思った。
2月 11, 2012 at 07:30 午前 | Permalink
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