ぼくが突然歩き出したのは、もう終わろうとしているこの年の正月のことだった
長い距離を歩いていると、街のレイアウト、呼吸のようなものが見えてくる。
駅から遠ざかると、次第に家々の間の暗闇が濃くなってきて。しっとりと包まれる。黒い樹木のシルエットがあると、ああ、このあたりは昼間は鳥たちが飛んでいるのだろうなと思ったり。思わぬ小径を見つけたり、小川の流れが聞こえてきたり。
そしてふたたび、だんだん明かりが増えてきて、商店街の看板に迎えられると、ああ、次の駅に来たんだと気づくのだ。
ぼくが突然歩き出したのは、もう終わろうとしているこの年の正月のことだったけど、それ以来思い立っては一時間とか二時間とか、時には四時間も移動の時に歩くことがある。
どうしてだろう、と思うけれども、結局、その間のひんやりとした時間が好きなのだということに気づく。
目的があるわけではない。ただ、その活動に没入することがうれしいだけ。
そんな時間が、人生を作っていくのであればと思う。
12月 30, 2011 at 08:17 午前 | Permalink
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