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2011/12/11

田森佳秀と「かよう亭」の露天風呂で、日本の大学について話す。

田森佳秀と、山中温泉の「かよう亭」の露天風呂に入りながら、日本の大学の話をした。

(オレ)「そもそもさ、大学の偏差値って、どういう意味があるんだ? あれって、受験生の平均値ではないよね。合格確率80%とか、しきい値のこと? でも、実際には、いろいろな偏差値の学生が入ってくるよね。」

(田森)「そうなんだよ。でも、日本の企業はばかだから、新卒なんとか採用だっけ、で影響があるのは、偏差値が上の大学だけさ。」

(オレ)「そもそも、アメリカの大学入試には、偏差値なんて概念はないよね。この前さ、波頭亮さんと話していて、日本の大学は回収型産業だって言うんだよね。つまり、受験料や、授業料などと、あとは文科省の補助金が収入源。それに対して、アメリカの大学は、投資型産業。在学中に一生懸命教育して、人を育てて、卒業生が活躍してくれれば、寄付をしてくれる。」

(田森)「お前も知っているとおもうけどさ、アズビー・ブラウン、仲がよくてときどき話すんだ。あいつ、大学の入試の面接をしている。」

(オレ)「ああ、ハーバードだっけ? イェールだっけ?」

(田森)「イェール。それで、彼が言うには、SATなんてバカみたいに簡単だし、そんなのは重視しない。重視するのは面接。そうしたら、自分の友人とか、親戚を入れちゃうんじゃないか、と心配して言ったら、卒業生としてプライドがあるし、自分の大学が将来もっとよくなってもらいたいから、そんなことはしないって言ってた。」

(オレ)「ある意味では、卒業生が、どんな学生がふさわしいか、一番よく知っているわけだもんな!」

(田森)「それで、そんな風に面接で選んじゃって、不公平だ、と文句を言われないかと聞いたとき、アズビーが言ったことが、忘れられないよ。」

(オレ)「何て言ったんだ?」

(田森)「そもそも、選ぶということが不公平なんだから、そんなことを言っていたら、選ぶことなどできない。だから、自分たちの基準で選んでいいんだって。」

(オレ)「それ、重要なポイントだね。日本のように、センター試験の点数や、偏差値で選んでいたら公平だなんて、そんなことを言っているからダメなんだ。アズビーの言うように、そもそも選ぶということは不公平なことだよな。」

(田森)「そうなんだよ。選ぶということは、不公平っていうことなんだよ。」

(オレ)「そもそも、プライベート、ということは、自分の基準で選ぶ、ということだもんな。それぞれの大学が、それぞれの基準で選ぶ。それで、在学中の教育で、懸命に在校生に「投資」する。卒業生が活躍すれば、大学の名声も高まるし、寄付で財政的にもうるおう。それが、本当の姿だよな。」

ここまで話したところで、ぼくははっと思って、iPhoneをとりに戻った。植田工と田森佳秀が風呂に入っているところを、撮った。田森が、「お前、やめろよな、体型が写るだろ!」と言った。ぼくは、「だいじょうぶ、小津のようなローアングルで撮るから」と言ったが、田森はばしゃばしゃ水をかけてきたので、早々に退散したのである。


かよう亭の露天風呂で談笑する植田工(左)と田森佳秀(右)。田森は手を挙げて笑っているように見えるが、本当は、「お前やめろ〜」と言いながら、私に水をかけていた。

12月 11, 2011 at 10:51 午前 |