怖かったから、見なかった。
林業センターには、みなさん5ヶ月くらい避難されていたらしい。
私を歓迎して開いてくださった一足早い「忘年会」は、仮設住宅など、ばらばらになっていったひとたちの「同窓会」でもあるらしかった。
釜石の奇跡。海沿いの小学生、中学生たちが「てんでんこ」で逃げた。小学生たちは、お隣の中学生たちがさらに逃げるのを見て、追いかけていったのだという。
避難所に姉妹がいた。小学校二年生と五年生。お母さんといっしょにはしゃいでいたが、聞くと、まさに津波から逃げたのだという。
「4回も、逃げたからね」と五年生の女の子が言う。ここでもダメだ、もっと上、と4回避難先を変えたのだという。
「津波見えた?」「うん、見えた。」
今は、あどけない表情をしている女の子。あの日、一体どんな体験をしたのだろう。
「君はどう? 津波見えた?」
となりにいた、妹の方にも聞いた。
「ううん。怖かったから、見なかった。」
ぼくは、その瞬間、その小さな女の子の魂のふるえに触れた気がした。二年生と五年生。あの時は一年生と四年生。
あの日、あの空の下のこと。
11月 28, 2011 at 09:19 午前 | Permalink
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