始まる前に、少しでもと、抜け出して周囲の街を歩いてみる。
最近、旅先で夕暮れを迎えることが多かったけれども、あれは、心細いものだな、と思う。
周辺の地理を知っている慣れ親しんだ場所ならばともかく、初めて訪れる土地で、日が落ち、次第に薄暮が迫ってくるあの時間の流れには、どこか、心をしっとりとさびしくさせる何かがある。
草臥れて 宿かる頃や 藤の花 松尾芭蕉
夕暮れに、その日の宿に着く。考えてみれば、それはかつて普遍的な体験だったはずだから、私たちの中に何かが染みついているのだろう。
私は到着してすぐに仕事をしなければならないことが多いから、まずはお風呂にでも、というわけには行かないけれども、始まる前に、少しでもと、抜け出して周囲の街を歩いてみる。一日歩き続けて、くたびれて見知らぬ土地の宿屋につく、古の人たちの気持ちと、重なっている。
10月 29, 2011 at 09:01 午前 | Permalink
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