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2011/10/29

始まる前に、少しでもと、抜け出して周囲の街を歩いてみる。

 最近、旅先で夕暮れを迎えることが多かったけれども、あれは、心細いものだな、と思う。

 周辺の地理を知っている慣れ親しんだ場所ならばともかく、初めて訪れる土地で、日が落ち、次第に薄暮が迫ってくるあの時間の流れには、どこか、心をしっとりとさびしくさせる何かがある。

草臥れて 宿かる頃や 藤の花  松尾芭蕉

 夕暮れに、その日の宿に着く。考えてみれば、それはかつて普遍的な体験だったはずだから、私たちの中に何かが染みついているのだろう。

 私は到着してすぐに仕事をしなければならないことが多いから、まずはお風呂にでも、というわけには行かないけれども、始まる前に、少しでもと、抜け出して周囲の街を歩いてみる。一日歩き続けて、くたびれて見知らぬ土地の宿屋につく、古の人たちの気持ちと、重なっている。 

10月 29, 2011 at 09:01 午前 |