地上の白磁は、かすかな光を映して、天上の月に対照している。
近づくと、もう崖のあたりから、ざわざわと大きな声が聞こえた。
回り込んでみたら、何のことはない、白洲信哉が座って、肉を焼いている。
「おお、来ましたか。」
顔を見ると、赤い。
「もう飲んでいるんでしょ。」
「違う違う。飲んでない!」
ビールをぼくも飲んだ。改めてみると、やっぱり顔が赤い。
「飲んだでしょ?」
「2、3杯だけですよ。はははははは。」
信哉は口は悪い。口は悪いけれども、肉を焼くのはうまい。
信哉が焼き上げた肉を、骨董仲間に持っていく、そのところを、指でつかんであちちちと食べるのが鳶で一番うまい。
でも、本当にあちちちになったぞ。箸、箸!
李朝の白磁に、信哉がすすきを活けた。ぼくは骨董なんてまったくわからないから、「へえ」と言っていたら、瀬津さんが、「触るといい」というので、なでなでしたら、本当に気持ち良かった。
「ね、白磁っていうのは、これなんですよ。」
お月様が出た。地上の白磁は、かすかな光を映して、天上の月に対照している。
信哉の肉がおいしくて、お酒も進んで、また寝ちゃったよ。起きたら、信哉が横でおい、みたいな感じで肩をゆさゆさしてた。
大雨になったね。とぼとぼ歩いていたら、すべての光の向こうに、さっきの白磁が見え隠れするような気がした。
10月 10, 2011 at 09:12 午前 | Permalink
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