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2011/09/21

それは光の発生装置でした。

半蔵門から歩こうと思っていたけれども、あまりにも雨が強かったのでタクシーに乗った。

「北口はどちらですか?」

武道館のまわりには、たくさんの傘の列ができている。

歩いていくと、赤い顔をしたやつが向こうからきた。「おう、植田!」

あっちだろう。上っていくと、明るく光る入り口がある。

入っていくと、いきなりたくさんメンバーがいた。バックステージは、大混雑。

着くと、すぐにもう寺島アナウンサーとマイクをつけて。大音響の中、声をはりあげて。労働密度が高いのは、好きだ。大いに結構。打ち合わせも何もありはしない。

彼女たちが登場する。アイドルらしい、決めポーズで。ところが、センターステージに歩いていく途中で、どんどん素顔になる。じゃんけんぽん! ではまだ表情をつくっているけれども、あいこになったら少し油断して、素顔が出る。

じゃんけんが「確率」くらいは誰でもわかっている。必勝法などありはしない。だとすれば、勝ったり負けたり、プレッシャーを感じたり。そんなドラマのすべての谷や山で、彼女たちがどんな反応ができるか。そのしなやかな感性こそが、アイドル=アスリートとしての修羅場であり鍛錬のステージであるはずだ。

見ないとわからないことはあるね。いや、マイッタよ。オペレーションの見事さ。完成されたヴィジュアル。光と音のシンクロニゼーション。性能の良い楽器のように盛り上がり/盛り上げる観客たち。恐れ入り谷の鬼子母神。たかがじゃんけん、されどじゃんけん。そのイベントをこんなエンタティンメントに仕立てる技量とパッションは並大抵じゃない。

バックステージには、たくさんの人が働いていました。すべては、彼女たちの素顔の輝きのために。ふしぎなことに、勝ち上がっていくと、顔の中から太陽が照り光る人がいるんだよね。それは光の発生装置でした。

9月 21, 2011 at 07:19 午前 |