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2011/09/25

その姿は、もうプロフェッショナル。

スタジオに近づくと、中から声が聞こえている。

「あっ、前説だ!」と思った。

始まるまで、みんな前室にいて話しているので、今まで前説を聞いたことがない。

へへえ。とスタジオの入り口に立っている志賀さんに笑いかけて、ちょっぴりいたずらっ子な気持ちで、中に入った。

「ぼくたち、吉本のなんとかかんとかです!」
と前説が始まった。一人は赤い服。一人は黒い服。黒の人が、「こいつ、どうですか? アホ面しているでしょ。」赤の人が、「どんな紹介しているんやねん!」

「ぼくたちのこと、前から知ってた人。」
「あ〜。二、三人ですかね。」
「今、手を挙げる前に、まわり見たでしょ。気をつかおうかな、どうしようかなって。もう一度聞きます。正直に。ぼくたちのこと、前から知ってた人。」
「あれえ、誰もおらんでえ。」
「さびしいわ〜。って、よう考えたら、お前、挙げんかい!」
「どうしたんや?」
「いや、あそこに、おれの兄貴が見に来ているんや。」
「おい、兄貴、手を挙げんかい!」

前室には、あつしさんや、ネジネジさんやYOUさんが来て、だんだん声が大きくなって来ている。そろそろ始まるんだろうけど、前説をやっている二人は、とにかく一生懸命ネタをやって、観客やスタッフたちが笑っている。

もう少し。もう少しなんだよ、きっと。収録のスタジオに来て、まだカメラは回っていないけれども、スポットライトが当たるその場所に、君たちはまだいっていないけれども、ここに来たということは、きっともう少し。だって、ここまで来ることもできずに、公園の片隅や、アパートの床の上で、ネタの練習をしている、そんなやつらだって数限りなくいるはずなんだから。

志賀さんはハッチポッチステーションの駅員さんのような格好をしている。そういえば、番組が始まった頃、子どもたちも出ていて、駅員さんのような格好で出ていて、そんな世界観の、そんなスタジオだったっけ。

「それでは、今日のゲストの方々をご紹介します!」

志賀さんが声を張り上げて、呼び込みが始まった。

前説をしていた二人は、そこでぴたっとネタを止めた。客席の前に、黙って立って佇んでいる。その姿は、もうプロフェッショナル。

9月 25, 2011 at 07:00 午前 |