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2011/09/11

サングラスの向こうに、繊細な表情がある。

ベルコモンズの前で、なんとかかんとかだというから、移動しながら探してみたら、それらしいのは一軒しかない。

サイトウマコトさんに電話しても、通じない。パーティーの主役だから、忘れているのだろう。

上がっていったら、やっぱりそうだった。

グラスのワインを受け取って、ぱーっと入っていくと、いろいろな人がいた。

さすが、マコトちゃん! 人望がすごいねえ。

ぼくは、前にマコトちゃんの時計をみてびっくりしたので、もう一度びっくりさせてもらおうと思ってみたら、やっぱりびっくりした。

「ごめんなさい。本当は、作品を見てから来たかったのですが。」

ぼくはそのころ熊本にいた。くまの人になっていた。

そんなことをマコトちゃんに言ってたら、ほんとうにクマさんがいた。

「クマさんが最初に出たのは・・・」

「笑っていいとも。」

「あっ、そうか、ぼくが高校生くらいか。」

「あれはね、横澤さんが、タコ八郎さんの後に、ってかんがえたの。オレはアーティストだから、テレビになんか出ない、って言ってたら、クマさん、それは違うんだ、これからはテレビに出て、逆に自分のメッセージを伝えていけばいいんだよ、って言ってくれたんだ。」

原研哉さんが、いつものようにスタイリッシュな出で立ちで立っている。東北復興についていっしょうけんめいに話していたら、Shellyがワインを持ってきてくれた。

Shelly、本当にありがとう!

スープストックの遠山さんが通りかかって、Shellyとパスザボタンについて話している。向こうには、浅葉克己さんがカメラをかまえてにこにこ笑っている。

「浅葉さんにはなんども写真を撮られたけれども、一度も見たことないなあ。」

パーティーの空間。小山登美夫さんとアベちゃんの話をしている。みたら、マコトちゃんがいない。

探しにいくと、偉大なる作家、サイトウマコトは入り口で座っていた。

「どうしたのですか。」

「いやあ、午後5時からずっとだから、疲れちゃってさあ。」

サングラスの向こうに、繊細な表情がある。ぼくはそのとき、人の肌というものを感じた思いがした。

サイトウマコト展は、小山登美夫ギャラリー清澄でやっています。

9月 11, 2011 at 06:43 午前 |