カダフィは、湯河原にいた。
集英社の助川夏子さん、サコカメラと取材で湯河原へ。
お世話になった「結唯(ゆい)」は素晴らしい旅館で、床など至るところに木がつかってあって、だんだん裸足で歩くのが快楽になってくる。
ぼくは遅刻して到着。ぺたりぺたり歩いていると、向こうからサコカメラがやってきた。
サコカメラは、カメラマンである。そして、サコカメラは、カダフィである。
私と夏目漱石の唯一の共通点はあだ名をつけるところで、私は出会ってすぐの頃にもうサコカメラはカダフィだと決めていた。ちなみに、助川さんはどことなくロシア人ぽいので、「ナターシャ」である。
もっとも、カダフィといっても、よく見るとそんなに似ているわけではない。ただ、なんとはなしに、どこかの国に独裁者がいたら、こんな感じになるのではないか、と思えるだけである。雰囲気の問題。
カダフィはよく食べる。「うまい、うまい」と食べるので、本当においしく思えてくる。いつも、足りないでナターシャのをがめているのだが、昨日は幸せだった。撮影用に、もう一人分用意されて、それが撮影後はカダフィのものになったからである。
うまい、うまい。
しかし、そのうちに、ぜんぶ二人前食べていたから、さすがにカダフィの勢いも止まった。
「カダフィ、よく逃げてこれたね。」
例によって、軽口をたたく。
「いやあ、大変だったんですよ。」
「それにしても、トリポリから湯河原まで、トンネルが続いていたとは。地球の中を掘ってね。」
「ふふふ。秘密ですよ、茂木さん。」
ナターシャがロシアに思いを馳せるような、遠い目をした。
「茂木さんがそれをブログに書いたら、明日、湯河原にヘリコプターがたくさん飛んできて、大変なんじゃないのですか。」
朝になった。ぼくは、ブログに書いた。カダフィは、湯河原にいた。
ただし、このカダフィは、「うまい、うまい、もう一杯」となぜか日本語を流暢に話す。リビアの人が何語を話しているのか、知らないらしい。
みなさん、こんなカダフィでもいいのでしょうか。
8月 30, 2011 at 05:38 午前 | Permalink
最近のコメント