胸騒ぎは続いていた。私は、帰国する遣唐使のような気持ちになっていたのかもしれない。
スイス航空機で、チューリッヒから戻ってくる時のこと。ふと目が覚めて窓の外を見ると暗くて、地上に灯りが見えた。しかし、その様子がどこか違っていて、はっとして窓に張り付いた。
四角い!
オレンジ色のその燈火が、きれいに格子状に並んでいるのである。その瞬間、見当識を失った。
一体、どこを飛んでいるのだろう?
ロシアかしら? 沿岸州? モニタで、「エアショウ」を選んで、表示させる。その間も、眼下の四角い燈火は、美しく燃えながらも少しずつ移動し続けている。
中国!
私が飛んでいるのは、中国上空だった。北京の近くから、渤海方面に向って移動していた。サイズからして、北京そのものではないだろう。どこか、近郊の小都市の街並みが、きれいにそろった四角い燈火として見えていたのだ。
突発的に、とてつもなく詩的なイメージの嵐が吹き荒れたような気がした。甘い胸騒ぎがした。
ヨーロッパからの航路が、こんな場所を通ることがあるのかしら。いつもは、ロシアの方から下りてくるような気がするけれども。
飛行機は、そのまま朝鮮半島のソウル上空を通過していった。胸騒ぎは続いていた。私は、帰国する遣唐使のような気持ちになっていたのかもしれない。
12月 27, 2010 at 08:45 午前 | Permalink
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