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2010/11/18

「神を失うと、人は、醜さに近づく。仕方がない。祈るだけさ。」

会議の合間、サンディエゴ動物園に行った。旭山で有名になった「行動展示」で知られているところだそうである。

近づくと、タクシーの運転手が、「おい、知っているかい、この先はゲイ・エリアだぜ」と言う。「そうなんだ。でも、合法なんでしょ」「見ろよ、そこが、この国の問題点さ。自由過ぎるんだよ。」「なるほど。」

改めて横をちらっと見る。おそらく、アフリカから来たと思われる運転手さん。

「帰りはここにタクシーが停まっているから」

と親切に教えてくれた。

動物って不思議だな。いろいろな形をしている。縞があるやつとか、鼻がぐにゅんと突き出しているやつとか。檻から檻へと巡っているうちに、不思議な気持ちになってきた。グレゴリー・コルベールと話したとき、彼は都会を「種のゲットー」と言っていたけれども、確かに普段人間ばかり見ている。

オレの身体も、毛があんな風に生えて、ぶるぶると肉がついていたら、どんな感じだろう。人間に尻尾があったら、何に使うだろう。受験生はもっと勉強しろ、と自分をむち打つかも知れぬ。

シロクマが二人で水の中でじゃれていた。スローモーションで踊っているようで。星闇のようなスケール。もう、それだけで満足。サンディエゴ動物園、ありがとう。

帰りのタクシーの運転手は、髭を生やしていた。「ここから先はゲイ・エリアなんだって?」「わかるだろ、祈るだけさ。」「祈る?」「この国は自由になり過ぎた。仕方がないよ。神を失っちゃったんだから。」「そうか。」「神を失うと、人は、醜さに近づく。仕方がない。祈るだけさ。」「どこから来ましたか?」「エチオピア。7年前に来た。」「エチオピアは、今は平和になったでしょう。」「うん、そうだ。昔はひどかった。今は復興している。日本もだいぶ投資しているよ。」

二人の子どもがいて、アメリカは教育費が高いから大変だという。「全額免除の奨学金に通るといいんだけど。」

橋を渡って、島に入る。車がホテルに近づいた。

「よく働け、それが神の言葉さ。」

握手して別れた。見上げると、雲の向こうに太陽が見える。その光の様子が、どうしても11月には思えない。

11月 18, 2010 at 02:35 午前 |