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2010/11/25

おお、世界がステレオで聞こえている!

アメリカに行く飛行機の中で、右耳がおかしくなった。気圧で一時的に変調するのはいつものことだけれども、地上に降りても変わらなかった。風邪を引いていたということもあるのだろう。そのことをツイッターで呟いたら、どうやら航空性中耳炎などというものらしいことがわかった。

さて、困った。もともと携帯電話は左耳に当てる。左耳優位のはずなのだが、右耳でも聞こえないとなかなか認識しにくいらしい。ホテルの自分の部屋で留守電を再生してみると、右耳は左耳の3分の1くらいの聞こえ具合らしかった。しかも、周波数のバンドが偏っているような気がする。

サンディエゴの街に出て、ノイズがある環境になると、ますます右耳が聞こえにくかった。ずっと、何かが詰まっているような気がする。仕方がないので、レストランなどに座る時は、必ずみんなが左側に来るような席にした。それでも聞きにくかったが、なんとか誤魔化していた。

滞在3日目くらいに、小指を外耳道に入れて、少しひずみをかけると、一瞬左耳が通ったような感覚になることを発見した。じゅわん、と耳の奥の方で何かが動くような気がして、そのあとすっと爽やかになる。音も、その時はよく聞こえる。でも、2、3秒でしゅーっと元に戻ってしまう。そのコントラストがある意味では面白くて、歩きながら小指を入れて、じゅわん、しゅーを繰り返していた。そうしたら、外耳道が少しヒリヒリし始めた。

みんな医者に行けという。しかし、会議中にて、いく暇がない。帰りの飛行機の中でまた気圧差ができたら治るかな、と期待した。ロサンジェルスから乗る時、どきどきした。成田に到着する2時間くらい前に、右耳が「ばりばりん」と紙を破るような音がして、通ったような気がした。気圧差に反応したのだろう。治った! と喜んだが、地上に降りてしばらくすると、また右耳が詰まっているような気がする。

医者に行くとしたら、帰国の翌日の土曜日だったが、結局あれこれと取り紛れて、行くことができず。そのまま、日曜、月曜、火曜と日が過ぎて、右耳は相変わらずふさがった感じのままだった。脳というのは不思議なもので、次第にその状態に慣れてくる。携帯で117にかけて実験して見ると、左に比べての右の聞こえ具合が、最初は3分の1程度、次は半分、やがて7割くらいになって、それ以上は改善しなかった。困ったな、と思ったが仕方がない。

みんな、耳は怖いと脅かす。しかし何しろスケジュールが詰まっているので、医者に行く暇がない。それでも、少しずつ良くはなっていたのだろう。

昨日、夜に外を歩いていたら、突然、耳がすーっと通ったような気がした。鼻に指を突っ込んで、ふーんと息を詰めてみると、右耳が「ポコペン」と言う。その瞬間、すべての音が、「ステレオ」で聞こえ始めた。

「おお、世界がステレオで聞こえている!」

もともと、そんな風に聞こえていたのが、耳が詰まっている間、モノラルになっていたのだろう。自分の声も、「ああ、こんな感じだったか」と戻る。

今までにないくらいに、右耳が通っている。ずっと、ステレオで聞こえている! コンビニの前を通るとき、一瞬詰まった感じになったが、ふーんとやるとポコペンと戻る。詰まっても、ロウを入れた感じではなく、シャボン玉がぽわんと壊れるように元に戻る。

今朝は、ずっとステレオで聞こえている。どうやら治ったらしい。13日の飛行機以来、ほぼ11日かかった。この間、ずっと辛かったけれども、何とか切り抜けた。世界がステレオで聞こえるだけで、何という恵みだろう。健康はありがたい。耳さん、ありがとう。

11月 25, 2010 at 07:25 午前 |