連続ツイート 可塑性
可塑(1)人間の脳のもっとも素晴らしい性質は、「変わる」ことができるということである。創造性の最良の顕れの一つは、自分自身が変わることができるということ。脳の「可塑性」(plasticity)がその変化を支える。
可塑(2)一つの神経細胞が、一万の神経細胞と「シナプス」を通して結びつく。この結合パターンが思考をつくり、感情を支え、人格を形成する。シナプスの結びつきの組み合わせは無限にあり、その無限の可能性の空間を、「可塑性」を通して探求する。それが私たちの人生である。
可塑(3)一千億の神経細胞の間に進行しつつあるすべての可塑性を把握することなど、とてもできない。今この瞬間も、あなたの脳は「ざわざわ」と変化し続けている。自分がどのような行動をとり、何を感じ、何を考えるかに依存して、脳はどんな方向にも変わることができるのだ。
可塑性(4)英語ができるようになるといった能力の向上も可塑性の現れである。一方、ブッダが菩提樹の下で「悟り」を開くのも、可塑性の現れである。誰かが好きだと気付くのも、可塑性の現れである。
可塑(5)脳の中には、数個のシナプス結合を通してどのニューロンからニューロンにも到達できる「スモールワールドネットワーク」がある。局所的な計算においても可塑性が存在し、長距離の結合においても可塑性が存在する。この組み合わせが「奇跡」をもたらす。
可塑(6)脳の神経細胞がスモールワールドネットワークの中でいっせいに活動し、その瞬間に可塑性が生じて今までとは異なるように世界が見える。このプロセスが「ひらめき」である。「ひらめき」は、脳が可塑性という「オーケストラ」を強奏して、美しい響きを立てる瞬間なのだ。
可塑(7)シナプス結合を変化させる法則としては、へブ則が提案されている。シナプスの両側でニューロンが同時に活動した際に、シナプス結合が強まる。可塑性の法則は、「局所」しか見ていない。それにも関わらず、全体としての見事なコーディネーションが成立し、認識が有機的に進化するのだ。
可塑(8)天才とは努力の仕方を知っている人である。天才に生まれるのではない。天才になるのである。脳の「可塑性」というポテンシャルを、ぎりぎりの限界まで駆使して、自分を形成する。そんな意志を持ち、実践ができる人が、天才となる。
可塑(9)根拠のない自信を持て。なぜならば、あなたはどのようにも変わることができるのだから。それを裏付ける努力をせよ。実践を通してしか、脳の可塑性は発現しない。そうして、可塑性の一つひとつのステップは、あなたが把握できない「マルチチュード」として、あなたに生じる「事態」となる。
以上、脳の「可塑性」についての、連続ツイートでした。
(2010年10月7日、http://twitter.com/kenichiromogiにてツイート)
10月 25, 2010 at 08:16 午前 | Permalink
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