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2010/10/01

連続ツイート ダブリン

ダブ(1)イギリスに留学しているとき、学会に参加するためにアイルランドの首都、ダブリンに向かった。私の親友、田森佳秀(@Poyo_F)といっしょに、ケンブリッジから南下して、スタンステッド空港から機上の人となった。

ダブ(2)エア・リンガスの機内に乗り込む。シートカバーに文字がびっしりとプリントしてある。見れば、アイルランド出身の作家、ジェームズ・ジョイスの「ダブリナーズ」(ダブリン市民)からの引用である。急に、文学の心がわいて、なんだか切なくなった。

ダブ(3)後年、『フィネガンズ・ウェイク』や『ユリシーズ』などの難解な小説を書くジョイスだが、『ダブリナーズ』は、いわば古典時代。完璧な短編小説集。以前に読んで、ダブリンという街にあこがれたことを思い出した。

ダブ(4)空港に着き、ダブリン市街に入る。サッカーの試合で地元チームが勝った直後らしく、街中にサポーターが繰り出していた。緑の奔流となっているパブのまえを、田森佳秀といっしょに人をかきわけて通り過ぎた。

ダブ(5)とりあえず飲もうと入ったパブ。昼間なのに店内は暗く、ろうそくの明かりが揺れている。頼んだギネスの美味しさに天がひっくりかえるほど驚いた。聴くに、ギネスはいわば生鮮食料品であり、地元ダブリンで飲むとひと味もふた味も違うのだという。

ダブ(6)翌日から、ダブリン市立大学での『創造性』に関する会議に出席した。主催していたのは、まだ若かったトニー・ヴィール。彼が挨拶に立ってびっくりした。放たれる言葉が、まるで音楽のよう。ジョイス、ワイルド、スィフト、ショー。数々の偉大な文学者を生み出してきたダブリンの真髄を見た。

ダブ(7)トニーとは打ち解けてなかよくなった。会議最終日、トニーと田森佳秀、それとアメリカ人の4人で飲んだ。すっかり酔っぱらって、ホテルを予約していないことに気付いた。トニーが、オレのアパートに来いよ、と言ってくれた。

ダブ(8)トニーが先導し、4人で夜のダブリンをさ迷っている時、田森佳秀がおしっこがしたいと言った。近くにトイレはない。トニーが、こっちに来いと横道に誘った。4人で、壁に並んで、立ち小便をした。オレは今ダブリンにいる。青春映画の一シーンのよう。クククッとアメリカ人が笑った。

ダブ(9)トニーの家で、朝まで話して、それからソファで眠った。目覚めると、トニーがトーストを作った。ダブリンの街に、太陽が昇った。なつかしい思い出よ。あれから、ダブリンには行っていない。

以上、アイルランドの首都、ダブリンについての連続ツイートでした。

(2010年9月29日、http://twitter.com/kenichiromogiにてツイート)

10月 1, 2010 at 08:31 午前 |