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2010/09/26

連続ツイート 月

月(1)きのうは満月だった。月見をするのは心愉しい。しかし、月見をするのに理想的な場所は、都会ではなかなか望めない。ススキ、心地良い風、大きく開いた空。理想的な月見をするための環境は、「点」ではなく「面」。月見は、私たちの心の中に大切にしまわれた仮想となった。

月(2)以前、新潟県十日町にあるジェームズ・タレルの「光の館」を訪れた。切り取られた天井から見る空が、まるで絵のような平面に感じられる。日が落ちて、周囲で虫が鳴き始めた。大きな縁側に寝転んで見上げる月。理想的な月見の環境が、そこにあった。

月(3)ものごころついて、最初に好きになったクラシックはベートーベンの『月光』である。ブレンデルのLP。目を閉じて、月光が湖面にきらめいているところを想像した。第二楽章の底光りする明るさにも惹きつけられた。

月(4)写真集『月光浴』で著名な石川賢治さん。その中に、月の明るさが太陽の465000分の1とある。なるほどと思うと同時に、不思議な感じがした。数字から質への飛躍。想像の中で、何度もたくさんの月を集めて太陽にしてみた。

月(5)石川賢治さんから、「月光浴」で写真をとることの難しさをうかがった。シャッターを開放して、一夜に撮れるのは一枚。満月は月に一度。気象条件などを考えると、これからの生涯で、撮りたい場所をすべて回れるかどうか。

月(6)ふだんは、青空というスクリーンが地球と宇宙を隔てているのだと石川賢治さんは言う。月光で照らし出されると、宇宙と地上のさまざまが直接結びつけられる。私たちの「今、ここ」が永遠と響き合う。

月(7)街灯に汚染された都会でも、影の角度で、月明かりがそれとわかることがある。声高に自分を主張するものではなく、ひそやかにそこにあるもの。耳を傾けることで、精神のダイナミックレンジが研ぎ澄まされる。

月(8)進化論のチャールズ・ダーウィンの祖父、エラスムス・ダーウィンは、バーミンガムで「ルーナーソサエティ」という月例の会を開いていた。満月の夜に集い、さまざまなことを語り合うのである。帰り道が明るく照らし出されているので、満月の夜を選んだという。

月(9)「月の」(ルーナー)という言葉には、「狂気」という意味がある。たまには、太陽や文明の明かりに背を向けて、かすかな月のメッセージに心を向けたい。「狂気」の中にしか、本当の創造への道はない。

以上、「月」についての連続ツイートでした。

(2010年9月23日、http://twitter.com/kenichiromogiにてツイート)

9月 26, 2010 at 08:37 午前 |