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2010/09/23

連続ツイート 迷信

迷信(1)モノをつくろうと思ったら、科学を理解し、技術を学ばねばならぬ。いくら呪文を唱えても、時計はちゃんと動かない。しかし、一方で、「迷信」が人間の心にとって魅力的なことは確かである。

迷信(2)迷信は魅力的だから、子どもの頃から大いに触れて、その文法を学び、「免疫」をつくるのがよい。迷信的な世界観を排除するという考え方には、「表現の自由」という観点からも、精神の強靱さという点からも反対である。

迷信(3)子どもの頃、「世にもふしぎな物語」という本を夢中になって読んだ。中でも惹きつけられたのは、少年が、牧場の柵から飛び降りたその瞬間に、友人たちの前で消えてしまったというエピソード。そんなこともあるかもしれぬと、公園でブランコから飛び降りるときヒヤリとした。

迷信(4)「心霊写真」の本も好きで、何冊も持っていて熱心に眺めた。人と人の間に、恐ろしい顔が写っている。「これは信憑性が高い」などと解説が載っている。自分たちの写真にも心霊がいたらどうしようと、現像するたびにドキドキした。

迷信(5)UFOの本を読むのも大好きで、いろいろな写真をこれはトリックかな、などと眺めた。いわゆる「空飛ぶ円盤」が、アダムスキーというクリエーターによる創造物だとするのは、ずっと後のことである。

迷信(6)コックリさんも流行って、友人たちとやった。好きな女の子の名前を言ってください、というときには、自分と友人の指がそっちの方のひらがなに向ってしまうのではないかとドキドキした。

迷信(7)小学校の時は、血液型も好きで、ぼくはO型だからおおらかで社交的な性格なのだと、合点していた。その一方で、B型の友人に、あいつは個性的でいいな、と嫉妬したりした。

迷信(8)やがて、アインシュタインに出会い、物理に夢中になり、宇宙の進行がハミルトニアンによって書けるということを知った。量子力学的不定性をのぞけば、因果的決定論が正しいらしいということも学んだ。その過程で、迷信たちは、ほよほよと消えていった。

迷信(9)高校の時は、分子生物学に魅せられて、一時期、物理かどっちにしようかと迷った。人間は精巧に出来た分子機械である。迷信たちの分は悪くなり、そちらの世界観を深めていっても、その先はないと確信するに至った。

迷信(10)迷信を敵視し、排除する人たちがいる。ぼくは、迷信で迷信であっても別に構わぬと思う。迷信と科学は、自由競争すればいい。迷信は魅力的である。ぼくの場合は科学が勝ったけれども、そうじゃない人が世の中ににても驚かない。

迷信(11)子どもの頃から迷信の魅力に慣れ親しんでいないと、むしろ危険だと思う。大人になってから出会って、へんな道に行く人が出てくる。何事も、免疫が大切だ。子どもたちは、大いに迷信を楽しむと良い。

迷信(12)なぜ、人間の心にとって迷信は魅力的なのか。これは、よくよく考えてみるべき問題だ。心脳問題とも、大いに関係する。魅力的な迷信の文法がわかれば、人間の心の解明に大いに資するだろう。

以上。迷信についての連続ツイートでした。

(2010年9月20日、http://twitter.com/kenichiromogiにてツイート)

9月 23, 2010 at 09:04 午前 |