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2010/07/09

脳のトリセツ 「ストックホルム症候群」からの脱却

週刊ポスト 2010年7月16日号

脳のトリセツ 第49回 「ストックホルム症候群」からの脱却

受験、就職を経て企業戦士へ……過剰適応する日本人は自ら進んで不条理な社会システムの「人質」になっていないか?

抜粋

 日本人は、本当に我慢強い国民だと思う。
 子どもの頃から、受験勉強に駆り立てられる。大学の勉強が真っ盛りのうちに、就職活動が始まり、会社説明会や面接に追われる。卒業しても、休めるのは、せいぜい2週間くらい。4月1日からは、新入社員として、企業戦士となる。
 満員電車に乗って、毎日「痛勤」する。休みもなかなかとらない。長期バカンスなど、とんでもない。残業も当たり前。家には、眠りに帰るだけ。そうやって一生懸命働いても、なかなか生活が楽にならない。
 日本経済の失速が長期化して、さすがに、多くの人が今までのやり方ではマズイのではないかと感じ始めている。それでも、日本人はあくまでも従順。矛盾だらけの社会システムに、黙々と従っている。一体、どういうことだろう。
 大学の授業で、「君たち、三年の十月から就職活動が始まる日本のシステムは、異常だと思わないか? これだけライフスタイルが多様化しているのに、新卒じゃないと、なかなか就職のチャンスがないのは馬鹿げていると思わないか?」と問いかけても、多くの学生はぽかんとしている。どうやら、現在の日本のシステムが、太陽が東から昇って西に沈むように動かしがたい、宇宙の法則だとでも思っているかのようだ。
 日本人は、どうも、「過剰適応」なのではないかと思う。人間の脳の眼窩前頭皮質は、周囲の状況に応じて自分の働きを調整する機能を持つ。それはそれで良いことだが、行きすぎると問題だ。
 適応しすぎるがゆえに、膠着状態に陥る。なかなか変革が進まない日本の現状を見ていると、日本人は、一種の「ストックホルム症候群」に陥っているのではないかとさえ思えてくる。


全文は「週刊ポスト」でお読み下さい。

http://www.weeklypost.com/100716jp/index.html


イラスト ふなびきかずこ

7月 9, 2010 at 08:12 午前 |