白洲信哉曰く「iPhoneとiPadというのは、違うんですか?」
白洲信哉と、銀座で待ち合わせた。
5分前に着いてぼんやりしていると、「あれっ、もう来ているんですか」と声がした。
「明子さんは?」「もう来ているはずです。」「じゃあ、別々に?」「そうそう」
吉井画廊に立ち寄り、それから会食の場所へと歩いた。
白洲信哉のブログが、ここのところ更新されていないなと思っていたので、そのことを聞いた。
「あなたのブログ、ここのところ、更新されていないね。」
「いや、あれは、ぼくがさぼっているんじゃなくて、ちゃんと送っているんだけれども、向こうがさぼっているのです。」
「自分自身で、更新すればいいじゃない。」
「そんなこと、できるんですか。」
「パスワードとか、教えてもらえばできますよ。」
「ほお。でも、何故か、教えてくれないんですよね。」
「きっと、一度内容をチェックしないと、本人が更新できるようにすると危ないと思っているんじゃないですか。」
「そんなこともないでしょう。」
「信哉さんも、ツイッターをやったらいいんじゃないですか?」
「あれは、自分で登録できるんですか?」
「できますよ。簡単だよ。」
「でも、書くには、茂木さんのようにパソコンをいちいち開けなければならないんでしょう。こうやって、銀座を歩いていて、つぶやきたいと思っても、できないんでしょう。」
「そんなことないよ。携帯からも、つぶやけるよ。iPhoneだったら、もっとラクにつぶやけるよ。」
「iPhoneねえ。でも、あれは、A4サイズで、大きいじゃないですか?」
「・・・・?!。ひょっとして、それって、iPadと勘違いしていない?」
「iPhoneとiPadというのは、違うんですか?」
「ぜんぜん違うよ。iPhoneは、普通の携帯電話の大きさだよ。」
「そうですか、それで、あのiPadというのは、どうやってつなぐんですか?」
「普通に、無線LANや、携帯電話回線でつながるよ。」
「そうなんですか、こちとらね、線でつながっていないと、何となく安心できないんでねえ。」
「・・・・」
唐津とか、伊万里とか、井戸茶碗とか、骨董のことはわかる男が、なぜiPhoneとiPadの区別がつかないのか。
人間の脳というのは、実に深遠である。
店に着く。
白洲信哉、白洲信哉のご母堂の白洲明子さん(小林秀雄の娘さん)、それに吉井画廊の吉井長三さん。
吉井さんに、画家のこと、パリのこと、絵の具のことをうかがう。
白洲明子さんは、いつもニコニコ笑って黙っている。その静かなたたずまいが、ただものではないと感じさせる。いろいろ、お考えになったり、感じられたりすることもあろうに。
私と信哉は、もっぱらワールドカップの話題である。
前半0対0。優勝候補のオランダに対して、なかなかがんばっている。とこが、信哉は、「格上なんだから、きっと、後半崩れて0−3で負けるよ」と言う。
信哉の言動をツイッター(@kenichiromogi)でつぶやいたら、「信哉さんの口を封じておいてください」と懇願されたので、とりあえずお酒を飲ませた。
口封じもむなしく、日本は0−1で惜敗した。
一夜明けて、iPhoneとiPadの区別がつかない男の予言通りになったのが、悔しい。
そういえば、信哉は高校時代は野球部だったのだそうである。
白洲信哉氏 2009年 ロンドンにて。
6月 20, 2010 at 06:17 午前 | Permalink
最近のコメント