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2010/05/19

最大多数の最大幸福

人は「他人のため」と思って行動した方が、エネルギーも出るし、良質の仕事ができる。

若い時は、自分がなんとかなろう、自分が幸せになろう、と思いがちだが、「自分」というのは世界に一人しかいない。だから、一人分のエネルギーしか出ない。

一方、さまざまな人のために、と思えば、もっと多くのエネルギーが出る。不特定多数の人のためにがんばろう、と思えば、限りないエネルギーが引き出される。

もう一つ大切なこと。「自分」がどんな人間かはわかっている。何を好み、何を求めるかもわかっている。だから、自分のために何かをするのは比較的やさしい。

一方、「みんなのために」という場合は、その「みんな」の中には、様々な人がいる。好みも、性格も、年齢も、文化的バックグラウンドも全て違う。だから、「みんなのために」と思って何かをやろうと思えば、そもそも多様な人間の共通点とは何なのか、「普遍的人間」(universal human)とはどのようなものかということを考えなければならない。

ジェレミ・ベンサム(Jeremy Bentham)は、「最大多数の最大幸福」("the greatest good for the greatest number of people")を説いた。この、原理は単純なもののように思われるかもしれない。しかし、ベンサムの功利主義を貫こうとすることは、すなわち、普遍的人間とは何かということを明かにすることになる。原理は単純でも、その遂行は簡単ではない。

アルベルト・アインシュタインは、「ある人の価値は、その人が自分自身からどれくらい解放されているかで決まる」と言った。

自分から解放されるのは難しい。単純に見えるベンサムの原理でさえ、その遂行はきわめて複雑であり、奥深い。

5月 19, 2010 at 07:36 午前 |