ネットワークに接続する機器が偶有性を持つためには
本日、iPadが発売された。
昨日は、ソニーの電子書籍リーダーについての発表があった。
インターネットに接続する機器の特徴は、「偶有性」、すなわち、予想ができることと、予想ができないことが適度に入り混じっているということである。
言い換えれば、自分が想定していたことに沿った「シグナル」と、自分が想定していなかった「ノイズ」が混在しているということになる。自分がどのようなアクションを起こした時に、どのような感覚フィードバックがあるか。この「偶有性の設計」こそが、ある機器が魅力的であるかどうかを決定する。
ところで、偶有性を設計すると言っても、設計者自体が、意図的にシグナルにノイズを混ぜる必要はない。
インターネットのようなネットワーク自体が、偶有性を運んでくる性質を持っている。ネットワーク上で、離れた場所で起こっていることは、ローカルには制御もできないし、予想もできない。従って、ネットワーク上で情報が流通するというアーキテクチャー自体が、偶有性を生み出すことになる。
ネットワークに接続する機器が偶有性を持つためには、ただ単に、ネットワークに内在している構造を可視化すれば良い。twitterなど、今人気を集めているサービスは、このような「可視化」をうまくやっているからこそ成功しているのである。
時には、ネットの持っている偶有性が抑制的に設計されている場合もある。
たとえば、imodeは、メニューが設計者によってあらかじめ分類されており、その限りにおいての偶有性は少ない。偶有性は、各メニューの先に表れる。たとえば、ニュースサイトに接続した場合、その先にどのような情報が提示されているかということが偶有的になる。
一方、グーグルは、ある検索ワードを入れた結果そのものが、ネットの偶有性の表現になる。imodeが抑制的にしか偶有性を提示しないのに対して、グーグルは偶有性を全面的に提示する。
どのようなレベルの偶有性提示が好ましいかは、ユーザーの志向性、経験値、タスクの性質によって異なる。いずれにせよ本質的なのは、インターネット自体が持っている偶有性であり、恣意的なノイズの混入が入る余地はないのである。
5月 28, 2010 at 07:27 午前 | Permalink
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