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2010/04/19

「偶有性」について

今回の事態で、改めて「偶有性」について、現場における身体感覚を通して考えている。

以下、「偶有性」について、斎藤環さんとの往復書簡における、私の二番目の返信より。

(全文は、

http://sofusha.moe-nifty.com/series_02/ 

をご参照ください。)


 以上、Merriam-Webster's Online dictionaryにおいて与えられている定義に沿って、contingencyという概念が、今日の認知神経科学においてどのような意義を持っているかを記述しました。このような意味におけるcontingencyは、日本語でいえば「不確実な相関」あるいは、「半ば確実であり、半ば不確実である」というような意義にとらえられるでありましょうが、そのようなニュアンスをすべて要約して、私は「偶有性」という言葉をもちいています。
 もちろん、このような意味におけるcontingencyの用法は、認知神経科学という文脈に限られるわけではありません。災害時や緊急時にどのような対応を取るかという計画を立てることを、contingency planといいます。テロや地震、ハリケーンなどの人為的、あるいは自然の災害に対応するうえでは、完全には予測できない不確定要素を考慮することが不可欠です。しかし、不確定要素があるからといって、まったく予想ができないというわけではありません。
 たとえば、どれくらいの規模の地震が、いつどこで起こるかは、完全に予想できることではありません。しかし、だからといって、地震災害に向けた対策をあきらめるということはできません。地震の発生場所、日時、規模を完全に予想することはたとえできないにしても、ありえる事態を想定して、水、食糧などの備蓄計画を立てたり、人や物資の輸送計画を考える。一方で、その計画では予想できない事態が生じえることも、あらかじめ織りこんでおく。contingency planにおいては、「半ば予想され、半ば予想できない」事態に対する備えが本質的となります。
 アメリカ合衆国の政府機関であるNational Institute of Standards and Technologyは、2002年にContingency Planning Guide for Information Technology Systemsを公表しました。著者は、Marianne Swanson, Amy Wohl, Lucinda Pope, Tim Grance, Joan Hash, Ray Thomasです。インターネットが現代の私たちの生活にとって欠かすことのできない道具、メディアに成長するにつれて、災害やテロ、妨害行為などに対してどのような備えをするかということは、きわめて重要な政策課題になりつつあるといえましょう。

4月 19, 2010 at 03:52 午後 |