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2010/04/03

白洲信哉の流儀

諏訪大社の「御柱」を見に来た。白洲信哉が誘ってくれたのである。

新宿駅からあずさに乗った。電通の佐々木厚さんも同行。

眠っている間に、いつの間にか諏訪湖の横を通っている。そうこうしているうちに岡谷に着いた。

結婚式場の「マリオ」の社長さんにとても御世話になる。

宿について、酒を飲み出したら、「しらふしんや」が「しらすしんや」になってだんだん面白くなってきた。

「茂木さんたちはお風呂入ればいいでしょ。ぼくは昨日入ったから。今日はいいから。」

「でも、ここ温泉だよ。」

「温泉でも何でも、面倒臭いのは入りたくない。なんですか。服をわざわざ脱いで。それで入って、また着て。面倒臭い。このまま入って、出て、濡れたまま服を着ていていいんだったら、入るけれども。」

「じゃあ、入ってくるかな。」

「なんですか。酒を飲んでいる間に、入るんですか。」

「ざぶんとつかって、出てくるだけだから、すぐ戻るよ。」

「お風呂入って、洗わないんですか? じゃあ、なんのために入るんですか?」

「温まるためだけに入る、ということはないんですか?」

「なんですか? 何のために、そんなことをするんですか? わけわからない。なんで洗わないんですか?」

「髪の毛を、夜洗うと、翌朝突っ立っちゃうから、朝しか洗わないんだよ。」

「だったら、朝だけ入ればいいじゃないですか。」

「だから、今は、温泉で温まってくるだけだから。」

「なんですか、それ? わけがわからない。」

わけがわからない、と言いながらラフロイグを飲んでいる白洲信哉を置いて、私はさっと温泉に入って戻ってきた。

信哉がさっそく絡んでくる。

「なんですか? もう入ってきたんですか?」

「だから、速いっていったじゃないか。お風呂の中で、考えたんだけれどもねえ、江戸っ子が、死ぬときに、一度でいいからつゆにたっぷりつけてそばを食べてみたかった、という落語があるでしょう。信哉のも、本当はゆったりお風呂に入りたいけど、やせがまんをしているんじゃないの?」

「そうじゃありませんよ。私は、お風呂に、意味もなくただ入るというのが、わけがわからない、と言っているんです。」

「そうだねえ。ビール飲んでいいかな。のどかわいちゃった。すみません、ビールください。」

「なんですか、ウィスキー飲んでいる途中に、ビールを飲むんですか?」

「だから、これはチェイサーなのだ。」

「わけがわからない。ウィスキー飲むんだったら、飲むんで、徹底的に飲んだらいいじゃないですか」

モーツアルトのような顔をした男が、しきりに「わけがわからない」と言っている。ぼくや、いよいよ面白くなってきた。

「白洲信哉の流儀」をめぐる会話はさらに続く。
夜は更けていく。

4月 3, 2010 at 08:03 午前 |