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2010/04/27

トキの教え

 佐渡島で野外のトキが抱卵している。孵化するかどうかは予断を許さないが、もし繁殖が実現すれば画期的なことである。

 トキの放鳥は、私たちに多くのことを教えてくれた。放されたトキの一部は、海を渡って本土側に来てしまった。私たち人間のつくるものは、すべてある閉ざされた空間を前提にしている。しかし、自然は開かれている。

 人間の方の都合で、ある一定の領域だけにとどまっていて欲しいと思っても、自然はそうはいかない。すべての生きものは拡散しようとする。

 「自然にとっては全宇宙でさえ十分ではないのですが、人工的なものは閉ざされた空間を必要とするのです。」(ゲーテ『ファウスト』)

 トキが野外で棲み、繁殖できるような環境をつくる。この佐渡の取り組みは、画期的なものだろう。人々の価値観は変化しており、トキが飛ぶことができるような里山の景観自体に、かけがえのない意義を見いだす人が増えている。

 究極的には、トキが野生に根付くための環境つくりは、佐渡という「点」から日本全体という「面」に広がらざるを得ない。トキたちは自由に移動する。日本のどこに移動しても、それなりに棲むことのできる環境が整備されて、トキの再生計画は初めて成功する。

 かつては、日本中の空を舞っていたトキ。佐渡から始まるトキの再野生化の試み。私たちが考えるべきことはきわめて多い。

4月 27, 2010 at 07:57 午前 |