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2010/04/07

文明の星時間  ゴジラの恐怖

サンデー毎日連載

茂木健一郎  
『文明の星時間』 第109回  ゴジラの恐怖

サンデー毎日 2010年4月18日号

http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 

抜粋

 怪物を前に感じていた無力感。その頃の私は、ゴジラという怪物が制作されたきっかけが、米国のビキニ環礁における核実験で被爆した「第五福竜丸」事件であるということを知らなかった。核の恐怖がゴジラを生み出したことを後で知り、私は、幼い心の中に植え付けられた無力感の正体をようやくのこと知るに至った。
 エンタティンメントは時に何と深いことだろう。子どもが無邪気に見ている映画の中に、時代の人類にとっての最も深い恐怖が忍び込む。それでいて、エンタティンメントの制作者は、その正体を簡単には悟らせはしない。
 私が生まれたのは1962年10月20日。世界は未曾有の危機の中にあった。アメリカと当時のソ連の間の「冷戦」が深刻化する中、ソ連がキューバ内にアメリカ本土を標的とする核ミサイルを設置。10月14日に、アメリカの偵察機がその存在を察知した。
 アメリカのケネディ大統領は、10月18日にグロムイコ大使をホワイトハウスに呼び、懸念を表明。私が生まれて二日後の10月22日には、全米に向けて演説し、キューバにミサイルが持ちこまれている事実を公表した。
 私がこの世に生を受けてからの数日間、世界は全面核戦争の危機の中にあった。もちろん、その当時の私は、まだ無明の中にあったから、そんなことを知るわけもない。ずっと後になって、「キューバ危機」について聞かされて初めてそれと悟ったのである。


全文は「サンデー毎日」でお読みください。

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4月 7, 2010 at 08:37 午前 |