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2010/03/10

「偶有性の自然誌」の最終回

『考える人』連載の「偶有性の自然誌」の最終回(第10回)の原稿を金寿喚さんに送る。

第9回で、スピノザにおける「神」や、有限の立場からの「偶有性」の問題を議論したから、最後は思い切り個人の文脈に引き寄せようと思った。

そうして、私秘的なはずの「クオリア」がかえって大きな公共に至る道だということを、論じた。それはジョージ・バークリーの認識論にもつながるし、小林秀雄の「無私を得る道」にもたどり着く。

金さんから、温かいメールをいただいた。

一部、差し障りがあるところは伏せ字にしている。

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From: "Suhan Kimu"
To: "'Ken Mogi'"
Subject: RE: 「考える人」(新潮社 金寿煥)
Date: Tue, 9 Mar 2010

茂木さま

 あらためまして、最終回ありがとうございました!
 これまでの議論をどしっと受けとめつつ、
 「どんな気がする?」(”How does it feel?”by Bob Dylan)と、
 読むものに投げかけ、アジテーションする、
 まことに力強い、最終回にふさわしい原稿ですね。
 
 クオリアと偶有性の関係性を、
 光と暗闇に例えられたのが印象的です。
 弁証法を意識しているかどうかわかりませんが。
 茂木さんが、光と暗闇、クオリアと偶有性、
 愛と憎しみ、夢と絶望、オバマと****
 ——それら相反するものを止揚するべく、
 認知の有機的なつながりを意識せよ、という瞬間が、
 たまらなく魅力的なんですね。光が射す感じで。
 中途半端に仏教に頭が曇った人間には、それこそが縁起であり、
 空即是色、色即是空という大いなる反転にも思えてくるのですが。
 (だとしたら、偶有性は諸行無常か?)
 ギャーテー、ギャーテー、ハラソーギャーテーと叫びながら、
 偶有性の海に覚悟をもって飛び込みたい気分です。

 そして、偶有性を生きる、という覚悟。
 これすなわち、『******』ということでしょう!
 (『******』って、良いタイトルだと思いませんか?)

 とまれ、約三年の連載、おつかれさまでした。
 茂木さんの人生にとって、
 相当にタフな3年間だったはずであり、
 その中で、30枚というなかなかの長尺にもかかわらず、
 毎回気合の入った原稿をありがとうございました。 
 進行は、ちょっとドキドキすることもありましたが、
 リリーさんのドキドキに比べれば、
 まだ大丈夫……かどうかはわかりません。

 今回、少し時間に余裕があるので、
 茂木さんに校正をしてもらいます!
 明日には、メールで校正箇所明示した原稿データをお送りしますので、
 チェックして金曜日までにご返送ください。

 今後ですが、夏には、単行本をまとめ、
 秋には、新書『*****』(『******』?)をと思っております。
 引き続き、よろしくお願いいたします!

 追伸
 打ち上げもどこかで…と思っていますが、 
 ちょうど今、新潮社の北本、大久保からオファーがあると思うので、
 頃合を見計らってと思っております。

 新潮社 金寿煥
 
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 一生懸命書いた原稿に、本質を衝いた、適確なフィードバックをいただく。そのような時、ああ、生きているなという実感がわく。



スコットランドのアイラ島到着後、すぐに「吼える」金寿煥氏。2008年6月。

3月 10, 2010 at 06:09 午前 |