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2010/03/04

文明の星時間  忘却から歴史が始まる

サンデー毎日連載

茂木健一郎  
『文明の星時間』 第104回  忘却から歴史が始まる

サンデー毎日 2010年3月14日号

http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 

抜粋

 「なつかしい」という感情は、大人だけのものでもない。子どもにも、「なつかしい」という感情は芽生える。私自身、小学校1年か2年の頃、ふと幼稚園の時のことを思い出して「なつかしい」と感じることがしばしばあった。
 その頃さかんに振り返っていた幼稚園の思い出は、鮮明で、色とりどりだった。
 例えば、幼稚園での音楽の時間に、なぜかピアノの中からカブトムシが見つかったことがあった。虫好きの私はよろこんだ。ところが、担任の新井先生がそれを山田くんにあげてしまい、悔しいと同時に大いに嫉妬したのである。
 幼稚園では、牛乳代を袋に入れて持って行った。普通の牛乳の子は白い袋、コーヒー牛乳の子は赤い袋に入れる。それで、本当はコーヒ牛乳を飲みたかったのに、母親はいつも白い袋しか渡してくれなかった。子ども心に寂しかった。もっとも、今考えれば、母なりに私の健康のことを考えてくれていたのかもしれない。
 まだまだある。卒園式が近い頃、何人かでふざけていた。梅田くんがぷっと笑った。その瞬間、ちょっと風邪気味だった梅田くんから鼻水が勢いよく飛び出した。それが鈴木くんにまともにかかった。鈴木くんが、「うわー」と叫んでトイレに駆け込んだ。かわいそうだったけれども、面白かった。
 小学校の教室で、幼稚園の頃のそんなあれこれをじっくりと振り返っていた。そうして、あの頃はもう二度と戻って来ないのだな、と考えた。そうして、しみじみと、幼稚園の時代は楽しかったなあと考えたのである。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

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3月 4, 2010 at 09:02 午前 |