みのる座と蒸気機関車
日曜日、島田市の中央にある「みのる座」を訪れた。太田晴也さんが、案内してくださった。
もともとは演劇の劇場だったという。回り舞台がある。下に入ると、石が積み上げた壁がある。近くの川がよく氾濫したので、このような作りにしたのでしょうと太田さん。
みのる座の中には、温かく、そしていきいきとした時間が流れていた。大正時代に作られたみのる座。この劇場の中で、子どもたちは映画を観て、大人たちはつかの間の憩いを持ち、恋人たちはデートをしてきた。
文化とは、つまりは一人ひとりの経験の積み重ねであり、容易にはできあがらないものである。そう簡単には手放してはいけないものだと思う。
太田晴也さんは、黒田恭一さんのお弟子さんとのこと。「黒田先生がお導きくださったんだと思います」としみじみと語られた。

みのる座にて。太田晴也さん、太田さんのご両親と。(photo by Tomio Takizawa)
金谷の駅から、新金谷まで、大井川鉄道のSLに乗った。
日本国有鉄道時代の客車をそのまま使っている。木の床、椅子の様子、すべてがなつかしい。
蒸気機関車が動き出す時、まずは汽笛がぴーっと鳴って、それから編成全体がガタンと身震いした。シュッシュシュッシュと動き出す。煙があがる。
新金谷駅で停車中、運転席の様子を見せていただいた。炉を開けると、あかあかと燃えている。力がみなぎる。

SLの運転席の様子を見る
(photo by Tomio Takizawa)

生きている、という感じがする。蒸気機関車がんばれ。
(photo by Ken Mogi)
大井川鉄道の鈴木優さん、浅原悟さん、白井昭さんがごいっしょ下さる。白井昭さんは、大井川鉄道でSLを走らせようという計画の発案者。

白井昭さん。新金谷駅前にて。
(photo by Ken Mogi)
白井さんたちと一緒に、蒸気機関車の整備の様子を見学した。子どもたちから大人まで、みんながよろこぶ蒸気機関車。運行を続けることのご苦労がしのばれた。
島田市の文化の奥行きを感じられた一日。いろいろとご配慮下さった河村隆夫さんとお仲間のみなさん、本当にありがとうございます。
2月 15, 2010 at 07:42 午前 | Permalink
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昨日から気になっていることがあって、
それは、聡明な人と「早口」で喋るということが、
なんか関係あるのかなあと、素朴な疑問を持ったのです。 [続きを読む]
受信: 2010/02/15 11:12:42
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コメント
茂木先生、それからスタッフのみなさん、楽しい時間をありがとうございました。
ところで島田の「立喰寿司」ですが、別にこの辺では変わったことではありませんで、江戸前といえば立喰がセットとなっておりまして、島田では、たいがいが江戸前で、カウンターのあるごく普通のすし屋は、みなこう称しております。(日曜日からずっと調査した結果です)
投稿: N-joe | 2010/02/16 20:20:14
『みのる座』さんの門構えを見て、なんだか、懐かしいヴィジョンが浮かんでくる、一体何だろう?
そうだ!これは私が小さい頃、よくアニメ映画「東映まんがまつり」などを見に行った、地元の小さな映画館だ。
その映画館で今も忘れられないのは、薄暗くて、何処かバラック作りで、今思うと、下町の娯楽センターのにおいがしていた。
その映画館は20年以上前に取り壊され、シティホテルに建て替えられ、今はその中にテナントとして入っている。
『みのる座』さんにも流れていたように、幼き日に行った古い映画館の中にもたくさんの時間と思い出が流れていったことだろう。
大正年間の創業・・・ということは、モボ・モガとして鳴らしたトレンドの最先端を行っていた『モダン・エイジャー』もみのる座さんにやって来て、デートに興じたこともあったのかしらん。
みのる座さんとSL。とても味わい深い、素敵なものが島田の地にはあるんですね・・・!
SL、いいですねぇ・・・!じっと見つめていると、まさにこれは生きている!走れ、がんばれ!!という気持ちにしてくれ、応援したくなってくる。
シュッシュッ、と走り出し、煙突からポッポーと煙を吐いて鉄路を走る、力強い黒い列車。
電気機関車や新幹線やリニアモーターカーなどにはない、たくましさと生命感を感じる。
SLの運転席におられる茂木さんが、機関車の運転手に見えてきた。
SLは確かにメンテナンスが大変だと聞いている。石炭も貴重なものになっているだろう。でも、大切な鉄道文化なのだから、子供たちのために、何時までも走っていってほしいと願う。
人々のさんざめき、そして息遣いと生活の移り変わりの積み重ねが、土地ごとの文化を創っていくのならば、島田と言う町はまさにそれらを損なうことなく、よい形で積み重なって、いいところになっているな、とお写真を見ながらしみじみ思った。
茂木さん、本当によい思い出が出来てよかったですね!
投稿: 銀鏡反応 | 2010/02/15 20:25:26
「あかあかやあかあかあかやあかあかや
あかやあかあかあかあかや月
」
誰でしたかしら。
投稿: tori | 2010/02/15 9:28:38
茂木先生、グーテンモーゲン^^
バレンタインの前日のお仕事タイムは素敵でしたね~
汽車ポッポにも乗ることもできて!^^
茂木先生が移動なさると、こうしてここに訪れさせてもらえる私たちの心にも、新鮮な出来事や言葉が雪の結晶のようにキラキラって降ってくるようです、良き訪れとはこのような微かな感覚の中に潜んでいますね
今は亡き黒田恭一さんは、ラジオの時間で、6年ほど聴かせていただき、その間に、何曲もリクエストに応えていただけました
今も、あの素晴らしい時間が、お声やメロディーとともに蘇ってくるようです
4年ほど前になるでしょうか、12月24日イブの夕べでした
天使の糧がホセカレーラスの歌声でラジオから流れてきました、人の命の喜びよ、主よ憐れみたまえ、シューベルトのミサ曲など・・・
主人と食事を始めた時、、黒田先生からの突然のクリスマスプレゼントが届きました!^^
もっと前にリクエストにお応えしたかったのですが、今日になりましたとの言葉を添えて、私の手紙を読んでくださり、半年も前にリクエストしていた、フランクの
黒田さんの優しい語り口での曲の紹介や、ドミンゴさんやカレーラスさんがこのスタジオにも訪れた折の素晴らしいお人柄に出会えたお話もなさっておられました、
黒田さんとのラジオの時間はラジオで出会えた人生と音楽の素晴らしい師だったとおもっています、
お亡くなられる前に出会ったのはテレビ生番組、オランダはコンセルトへボー交響楽団の演奏会の実況でした、亡くなってしまわれ、本当にラジオの時間がさびしくなりましたが、
Kammer Saal と書かれたみのる座っていい感じですね~^^茂木先生もいつか、こんなKammerのリーダーになってください、
Kammer Liebe Mogi
現在は、皆川さんの番組を拝聴し、クラシックの楽しみもいただいています
人種もカルチャーの違いも、性別も年齢も超え、生きる喜びを高めあう人の集い、愛はすべてを超えるはず!を目指す集い・・・
教育の現場や、普通に生きる人たちの日々の集まりの場所としての
Kammer・・・ザルツブルグへ行く途中で、立ち寄ったカマーグートという美しい村、岩山に囲まれた大きな湖の風景、懐かしく思い出されます、
日本の地方、都会の郊外にも、みのる座の様な場所が新しく作られていくことが、20年来の沈滞を破る一つの力の出発点となるかもしれませんね、
人が集うこと、人が同じく尊重されること、そして、闊達に
個性を反映させられることこそ、生きる気概の源なんですものね、^^
reiko.G
投稿: reiko.G | 2010/02/15 9:26:05
茂木健一郎さま
滅私奉公とは違いますけど
志の高さ
蒸気機関車を走らせたい
純粋なお心
大井川鉄道といえば特別なことではなく蒸気機関車と普通のリズムに感じます。
投稿: 高木英樹 | 2010/02/15 7:46:53