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2010/02/16

文明の星時間  電子ブックリーダー

サンデー毎日連載

茂木健一郎  
『文明の星時間』 第102回  電子ブックリーダー

サンデー毎日 2010年2月28日号

http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 

抜粋

 本の数が増えるとともに、電子ブックリーダーの最大の長所に気付いた。もともと、私は複数の本を並列に読む癖がある。ところが、整理が悪いので、読みかけの本をついついいろいろな所において、忘れてしまう。
 人間の脳は不思議なもので、何かのきっかけで「あの本が読みたい!」と強く思うことがある。そのような時に本を手にすることができないと、ストレスがたまる。せっかくの千載一遇のチャンスを逃してしまう。
 「読みたい」と感じるのは、脳の中の情報処理のプロセスでその本の情報が要求されている証拠。そのタイミングで読めば、乾いたスポンジに水がしみ込むように吸収できる。ところが、時間が経ってしまうと、せっかく出来上がっている脳の準備態勢が解除されてしまうのである。
 電子ブックリーダーで読むようになってから、「読みたい」と思った瞬間に間髪を入れずにその本に移れるようになった。私のように、思考が分散していくタイプの人間にとっては、大変ありがたい。本の読み方が、よりダイナミックになるのである。
 電子データは、大規模な「全集」を流通させるのにも適したかたちだということも悟った。「シェークスピア全作品」や、「ディケンズ全作品」が、著作権が切れていこともあってそれぞれ数ドルで買える。膨大なテクストが、ワンクリックでダウンロードできるのは、一つの驚異である。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。


2月 16, 2010 at 06:01 午前 |

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コメント

うちの家族は何回言っても玄関で脱いだ靴を揃えられない人達の集まりなんです。私が最も皆のを揃え直します。
それから出した物をすぐしまってくれません。どんどん散らかります。
それで私が「いちいち片付けようよ」と言うと、「なんだか怒ってる」と煙たがられてしまいます。
でも皆、外では、職場や参加した飲み会では、一番神経質に片付けたり整えたりをしているそうです。

私は家のなかだとこんな調子で後始末係ですが、外にいくと雑になります。

これは、なんなんでしょうか。

投稿: | 2010/02/17 0:46:16

読みたい!という気持ちや、何かをしたい!という思いが湧いてきたら、すぐにそれをしてみる。

そうしてみると、気持ちいい事がわかりました(^.^)

投稿: | 2010/02/16 22:56:32

電子ブックリーダーについては、紙の本のぬくもりを愛する多くの人たちにとっては、なかなか慣れないものなのかもしれない。(特に日本においてはそれが根強いかもしれない)

ケータイ・ノベルなどの流行や“活字離れ”といわれる中、いつかはこのデジタルツールに紙の本が駆逐され、完全消滅するかも、と危機感を抱く人々の心もわからないではない。

しかし、時代は確かに新しいベクトルへと開かれ行くが、電子ブックリーダーの普及と引き換えに、紙製の本が完全に消えるということは決してないと思う。

きっと電子ブックリーダーと並立して、必ず生き残っていくはずだ。

iPadやkindle、その他ソニーが出しているブックリーダーは、自分も是非日本に入ってきたら使ってみたい素敵なツールだと思う。が、一方で、これまでの紙製の本の、やさしいぬくもりや、ページの手触りも忘れがたいものがある。

自分も印刷会社に勤めているからわかるけれど、印刷インクの独特の匂いとか、ページを一枚一枚繰る時の、紙のさらりとした感触などには、電子ブックリーダーでは当然ながら得られないクオリアがある。

そのクオリアを後生大事に思う人たちによって、おそらくは紙の本も生き続けていくのだろう。

著作権の切れた古今の傑作をも、ウェブからデジタルなブックリーダーで引っ張って、購読料をペイして読める時代が開かれんとしていることに瞠目しつつも、アナログの本のぬくもりや手触りも、後世のために残していきたいものだ。

投稿: | 2010/02/16 21:02:18

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