お化粧をした橋本麻里さん
ラジオ・デイズの仕事で橋本麻里さんに会って、しばらく経った時に、橋本さんが、「茂木さん、私、重大ニュースがあるんですよ」と言った。
「えっ? どうしたの? 結婚するの?」
「そんなことよりも、もっと重大なニュースなんですよ。」
何だろう、と首をひねった。「お父さんの高橋源一郎さんのこと?」「違います。」「うーん、わからないや。」
橋本麻里さんが、ふふふと笑った。
「あのねえ、私、今日お化粧しているんですよ。」
「ホントだ!」
橋本麻里さんの顔が、ほんのり色付いている。ぼくは、ひっくりかえるほどびっくりした。
なぜ、女性が化粧をしているということくらいで驚くのか? これには、伏線がある。
私は、元来ぼんやりしているところがあって、他人の仕草や性格など、見落としていることがたくさんある。
橋本麻里さんとお仕事を始めたのは、10年近く前。彼女が、ある「秘密」を持っていることに、なかなか気付かなかった。
橋本さんとお仕事を始めて3年くらい経った頃のこと。
「和樂」の仕事で、ある場所に出かけていってお昼を食べているときに、「気付き」は訪れた。出されたおしぼりで、橋本麻里さんが顔を拭いたのである。
「あっ、今、顔を拭いた!」
「顔くらい拭きますよ。」
「ということは・・・」
「ええ、そうです、私化粧をしないんです!」
化粧をしない女(ひと)!
それまで、橋本さんがすっぴんであることに全く気付かなかった。うかつであった。
その橋本麻里さんが、化粧をしている。
「どうしたの?」
「いやあ、先週の金曜日、エルメスでパーティーがあったんですよ。フォーマルなパーティーで、その時、お化粧をしないのも何だかなあ、と思って、したのが最初です。」
「それって、生涯で初めての化粧?」
「いえいえ。前にもやっていますよ。」
「いつ?」
「七五三の時です。」
「・・・・・」
ソファに座っているブルータスの副編集長、鈴木芳雄さんが笑っている。
「化粧品、買いに行ったんだ。」
「ええ。」
「何て言って買いにいったの? 私、お化粧はじめてなんです、て言ったの?」
「いえいえ、そんなことは言いませんよ。今日はたまたますっぴんなんです〜て言って、店員さんに頼んだのです。」
「いやあ、全然気付かなかったなあ。これぞ、まさにアハ体験だ!」
鈴木芳雄さんがまた笑っている。
「いやでもね、浜離宮で今日最初に会った時、なんだかへんだなあ、とは思っていたんですよ。」
「あらっ。どんな風に違っていたんですか?」
「何というかなあ。桃の花が色付いてきた、というか、そろそろ梅がほころんできたというか、そんな感じ。」
「まあ、素敵なたとえ!」
鈴木芳雄さんが大いに笑っている。
どうやら、私が知らない間に、世界は明確に変化し始めているらしい。

化粧をしていない橋本麻里さん。2008年5月撮影。

化粧をした橋本麻里さん

化粧をした橋本麻里さん その2
橋本麻里さんのブログ『東雲堂日乗』
鈴木芳雄さんのブログ『フクヘン』
2月 4, 2010 at 07:41 午前 | Permalink
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コメント
茂木先生 こんにちは♪
橋本麻里さん、素肌が綺麗な方ですね~!こんなにアップで写しているのに、なんのトラブルもなく、薄い素肌が透き通っているようです!だから、お化粧していないことに、気がつかなかったのではないですか?この歳になると(笑)素肌なんて、とんでもない!!顔色も悪いし、いろんなトラブルで、まずは素肌を整えることが、メイクアップ以前の問題です(笑)橋本さん!素肌が綺麗ですし、もともと可愛いのですから、お化粧しないと、なんだか勿体ないですね!少しするだけで、もともとの綺麗なお顔が、もっと魅力的になるのですから、これからはお化粧して欲しいと思います!まわりの男性も喜ぶ!?(笑)と思いますし…笑。仕事も、ますますスムーズに行くと思うのですけど…と余計なことでしたけど…笑。茂木先生が、女性のお化粧に無頓着!??なのは、返って好印象ですけど(笑)「化粧する脳」研究!でも気がつかない??(笑)先生!気付いて上げてくださいね~笑♪
投稿: 平井礼子 | 2010/02/05 0:10:54
橋本さんのお写真を拝見したら、とても自然だなぁ・・・と感じてしまいました。
何故かなら、とてもさりげない、ナチュラルなメイクのようにお見受けしたからです。唇がほんのり色づいておられるのが、とても好印象ですね。
「そろそろ、桃の花が色づいて」とか「梅がほころんで」といった茂木さんの表現は、さすが!
・・・そういえば、職場の近くにある公園の梅も、つぼみが何時しか膨らんできている気がいたします。
身を切るような寒さが続くけれど、春はまさに我々の背後にそっと寄り添ってきているようだ。
メイクアップで一番難しいのは、言ってみればノーメイクのようなさりげない、ナチュラルメイクだと、何処かで聞いたような覚えがある。
如何に自然な感じに見せるか。それが化粧のもっとも、高等なテクニックであると同時に、その人の個性の表現と深く関わっているように思える。
渋谷など若者が集まるところで見る少女たちのメイクは、お人形のように作りこんでいる感じがする。それも素敵だが、橋本さんの自然に見えるメイクにはかなわないだろう。
冬が春に徐々に変わるように、世界は刻一刻、一秒ずつ、いやもっと小さい秒単位で変化しているかもしれないが、案外その変化を見落としがちな、私たちのようである(大きな変化は見落とさないが、コンマ一秒以下の変化は見逃してしまうものだ)。
兎にも角にも、春は近いです。冬の盛りなる今このときこそ、春がすぐ近くに忍び寄っているものですね。
投稿: 銀鏡反応 | 2010/02/04 21:17:05
↓続き
本当に全然関係ないんですけど、2日位前に中国の古代の王と龍の夢みたんです。龍が古代の王から水晶を受け取ると、そのまま天空に帰ってしまう夢。
なんなんじゃー
私の脳は一体どうなってしまったのでせうか…(笑)河合先生に質問したかったです。
何度も失礼しました~
投稿: 眠り猫2 | 2010/02/04 18:38:06
橋本さんのすっぴんの一枚目の写真、凄く美しいですよ?凛とした意志の強さが表れていて~
印象的な一枚で、絵に描きたいなぁって思いました。
この写真から勝手に絵を描いたら、著作権法に引っかかるでしょうか?
引っかかりますね(笑)茂木さん写真とるのうまいです
レオナルドの描き方は凄まじいですよね神懸かりです。
なにか秘密が隠されてますよね♪
何かはわかりませんが。
話飛びますが、茂木さんはトルストイはお好きですか?
この前トルストイの「イワン・イリイチの死」を読み返したら衝撃的でした。「クロイツェル・ソナタ」も!
晩年のトルストイの顔って龍みたいで、ものすごくいい顔してますよね!
にわかにロシアがマイブームです
茂木さんオススメの「地下室の手記」トライしてみます。ドストエフスキー!!\(^_^)/
罪と罰とか、カラマーゾフの兄弟とかも読みたいです♪
ロシアロシア♪
o(^^o)(o^^)o
ではまた~
投稿: 眠り猫2 | 2010/02/04 15:56:08
すでにアートですね
時と様々な美が絡まりあいながら
宇宙の中を巡り始めている感じがします
観世会館で、能を観ているとき
現世なのか来世なのか分からなくなるような
心理状況にはまってっていく自分と出会い
不思議なもぞもぞ感を感じたりします
心というより背筋や首筋に感じる肌を走る
不思議な皮膚感覚・・
久しぶりにお人の面ざしから伝わってくる
感性の様なものに出会った気がします
投稿: reiko.G | 2010/02/04 9:02:28