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2009/12/23

バルーン郵便

 塩谷賢が、WhiteheadのThe concept of nature

を訳していると聞いて、なつかしくなった。

 学生の時に読んだ。そうして、
『脳とクオリア』(1997年)に引用した。

_________

 自然哲学にとっては、感覚されるもの全ては、自然の一部である。私たちは、その一部分だけを都合良く選択することはできないのだ。私たちにとって、夕日の「赤い色」の感覚は、その現象を科学者が説明するのに用いる分子や、電磁波と同じように自然の一部でなければならない。自然哲学の目的は、「赤の感覚」と「分子、電磁波」といった自然の様々な要素がどのように結び付いているかを明らかにすることである。

 アルフレッド・ホワイトヘッド 「自然の概念」(1919年)

(茂木訳)
_______

『脳とクオリア』の改訂をする仕事を、
本格的に始めようと思う。

 明治神宮の森を抜けて、NHKへ。

 「光の道」ができている。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。
 ゲストは、埼玉県小川町で
有機農業を営む金子美登さん。

 金子さんは、化学的に合成された
肥料や農薬を使わず、
 「他品種少量生産」で農業を
営んできた。

 核になるのは土作り。
 一年ではできない。数年はかかる。

 今でこそ、循環型農業に対する理解は
深まっているが、金子さんが始めた
頃は周囲から「変わり者」と言われた
という。
 
 それでも、自分の道を貫くことが
できたのは、土の中にたくさんの微生物が
いて、その作用が良い土を作るという
知識があったから。

 やがて、すばらしい土ができあがり、
成果が出始めると、周囲の人も金子さんを
見直すようになった。

 お話を伺っていて、「なるほど!」と
思ったのは、生産と消費のあり方。

 大規模農業で、一つの品種を大量に
作った場合、流通はどうしてもマーケット
任せになりがちである。

 金子さんは、契約している
家庭に直接野菜を届ける。
 ここで、米、数十種類の
野菜を作るという「他品種少量生産」
の考え方が生きてくる。

 もともと、各家庭では、ある一つの
農作物だけを食べ続けるわけではない。
 家庭での消費のあり方とは、
すなわち「多品種少量消費」。

 金子さんの「多品種少量生産」と、
家庭の「多品種少量消費」
が結びついた時、そこに新しい
時代の農業のあり方が見えてくるのではないか。

 金子さんの「土づくり」の思想に
感銘を受け、共感した。

 「土」をつくるのが一番難しい。
 しかし、「土」さえできれば、あとは
植物がそれぞれの力で伸びていって
くれる。

 同じことは、組織でも言えるのではないか。
 一人ひとりが「農薬」や「肥料」で
「成長」を強制されるのではなく、
 組織の中にできた「暗黙知」
という「土」の中で、それぞれのやり方で
のびのびと育っていくこと。

 金子さんの農場を、機会があれば
ぜひ訪問したいと思う。

 有吉伸人さんと、話す。
 有吉さんが、切手が大好きな人だと
いうことを知った。

 「パリがドイツに占領された時、
一ヶ月だけバルーンで郵便を輸送した
ことがあるんですよ。消印も特別な
ものが押されていて。それで、その
バルーン郵便で、一通だけ、
オーストラリアに宛てられたものが
あって、それを先日サルコジが
落札したのです。」

 「・・・・・」

 「見返り美人」や「月に雁」
の世界ばかりだと思っていたら、
思わぬディープな有吉伸人ワールド。

 ぼくは思う。才能がある人は、
必ず過剰である。

 有吉さんの過剰が、切手にも
及んでいるとは思わなかった。

12月 23, 2009 at 06:18 午前 |

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受信: 2009/12/23 10:12:14

コメント

茂木健一郎様
茂木さんおはようございます。
茂木さんの『脳とクオリア』改訂版
心の底からたのしみにしております。
素晴らしい世界がひろがりますように
祈っています。

投稿: Yoshiko.T | 2009/12/24 8:55:24

茂木健一郎さま

クリスマスイヴですね

私には特には

さて起きます

投稿: | 2009/12/24 7:05:16

こんにちは

> 金子さんの「土づくり」の思想に
感銘を受け、共感した。

> 「土」をつくるのが一番難しい。
 しかし、「土」さえできれば、あとは
植物がそれぞれの力で伸びていって
くれる。

> 同じことは、組織でも言えるのではないか。
> 一人ひとりが「農薬」や「肥料」で
「成長」を強制されるのではなく、
 組織の中にできた「暗黙知」
という「土」の中で、それぞれのやり方で
のびのびと育っていくこと。

地球と言う土を人類がつくれるようになったとき、人類は、地球との共生を完成するのでは?(^^)

投稿: | 2009/12/24 1:59:34

おはようございます 茂木サン 。
仕事の流儀の放送 楽しみです。
楽しみにしている人がたくさん、たくさんいます。
番組のプロフェッショナルな皆さんに刺激を受け、
元気をもらい、 頑張っている人が たくさんいます。
この不景気を 明るくてらしている 番組です。
ずっと ずっと 続けて欲しい。
世の中 内容の判断とは関係なく、 大きい声を出した者勝ち になる傾向がある。
違う意見をもっていたら、その思いも 伝えなければと思っています。


才能がある人は、必ず過剰である。
(楽しみながら、追求していった賜物なのでしょうね!)

投稿: | 2009/12/24 1:57:22

脳とクオリアの改訂版楽しみにしております。

有機野菜ですが、今は本当に食を見直すべき時ぎりぎりではないでしょうか?個人宅より完全無農薬野菜を頂き始めてから、細胞が幸せを感じる様になり世界観が変わりました。近い将来の夢は、有機野菜を家庭栽培で育てる事。新鮮な野菜から幸せとやる気を与えてもらっております!
茂木様ご出演のプロフェッショナル、毎回非常に楽しみにしております!

投稿: | 2009/12/24 0:31:45

私という人間の土壌もまだつくりつづけなくてはいけないのですよ
種子が芽吹くために、まだ土壌をつくっているのですよ

投稿: | 2009/12/24 0:20:11

有吉さんが言っていたバルーン郵便に惹かれます。

明治神宮の光の道…素敵ですね!私も見てみたいなぁ。

すばらしいものが出来上がり、成果が出始めること…これほど待ち望み、嬉しいことはなかったでしょうね(o^∀^o)

そして…ほら、見なさい。私は変り者じゃなかったでしょ?って、私なら思います(´∀`)

投稿: | 2009/12/23 23:58:15

茂木健一郎さま

気象解説、今晩も半井小絵さん
パッと明るい雰囲気の素敵さでした

お洋服は
赤い色のお洋服
サンタさんを連想と
ふかふかに見えました質感に暖かさも連想しました。

赤い色のクオリア

地球の全世界的に共通認識として赤い色のクオリアは、赤い色のクオリア
これは凄いことなんですよね

例えば信号で言いまして
赤信号
これは止まれ

他の国で例えば
青い色を止まれとしていましたら?
でも全世界的に赤は止まれと決まってます

当たり前なんですが

その当たり前としていることに気がつきは

茂木健一郎さま
クオリアは心の財産と私は感じます

神奈川県は茅ヶ崎の沖磯で磯つり、そのクオリア
北海道は小樽天狗山スキー場さん、での、スキーのクオリア

茂木健一郎さま

脳とクオリア

記述の中に確か

昆虫でしたか敵に襲われた時に、色のクオリアのことを考えていて綺麗なクオリア!
これでは生存できない、との、こういう内容に近いお話でしたかと

まさに
小樽天狗山スキー場さんでスキーの時に茅ヶ崎の沖磯、そのクオリアは、など考えていてはダメ

スキーはスキー
磯つりは磯つり

クオリアという概念は、集中力ももたらしてくれる 没頭も含む
活力の源がクオリアと私は認識しています
あくまで私はです


脳とクオリア
改訂との

茂木健一郎さま
簡単に理解できて難しい記述と、いかかでしょうか
そして
改訂の 脳とクオリア

拝読させて頂きました後の拝読者の思考変化

トキが羽ばたきまさた
ハイ、終わり?ではないですよね
トキには発信機が付いていて、行動は分かる
これです

改訂の 脳とクオリア
拝読させて頂きました後、どのように拝読者は思考変化するのかな?と
そこまでの影響があると言い切れます

改訂の 脳とクオリア

とても楽しみです

さて、寝ます。

投稿: | 2009/12/23 23:35:35

茂木先生コンバンワ☆彡


有吉さん☆やはり情熱の人でいらっしゃる!!
次回のプロフェッショナルも楽しみです!私はもうuzuuzuしております。((´・ω・`))


光の道と聞くと同時に神聖なる空気を肌に感じます。それは『今ここから全ての場所へ』の中の一節を拝読した時に感じた質感。何度でも反射的に甦ります。形状記憶的に正確かもしれません。先生、私が感じたクオリアと言うものは、私の中ではとっても確かに覚えている。覚える気がなくとも無意識に。 例えば歳をとって林檎という単語を忘れてしまってもその質感だけは記憶していられるのではないかしらと勝手なことをふと考えてみました。(おかしなコトでしたらバッサリcut しちゃって下さいΘ)


それでは先生、オヤスミナサイマセ。

  Я
(=^ェ^=)ノ"ψ"ψ"ψ"

投稿: | 2009/12/23 22:50:34

「脳とクオリア」の改訂版楽しみにしています。去年の今頃、手元にある「脳とクオリア」に、赤印をつけながら、能力の限界に挑戦するようなつもりで読破したのですが、ちょうど又読み直さなければ、と思っていたところです。今度は「塩谷流」に付箋もつけて(何セット用意すれば足りるかな?!)頑張ります。自分の中でどんなインスピレーションに出会えるか、昨年よりはさらに脳を使ってきたはずなので、期待で一杯です。

投稿: | 2009/12/23 16:40:24

お久しぶりです。「脳とクオリア」の改訂版、ぜひ読んでみたいと思います。

う〜む!有吉ワールドの守備範囲の広さには、私もただただ、舌を巻くばかりです。

なるほど、ナチ占領時代のパリで、バルーン郵便作戦・・・。すごい知恵というかなんというか。植物の種の袋を風船に結びつけて空に飛ばす、というロマンティックなやり方を戦時郵便に応用したというわけか。

人間、如何なる時代にもあきらめることなく”知恵はない”と思わず、全力でアイデアを絞り出せば、いくらでも面白い、いい知恵はでるもんなのだなぁ。


土=環境づくりで一つ思うことは、確かに土壌作りは難しいことに違いない。試行錯誤を何度も何度も、繰り返さなくてはならないし、途中で挫折しそうになることもあるに違いない。

それでも、決して諦めることなく、あらゆる手を尽くし、知恵を注ぐことを貫けば、必ず、よい環境は生み出されるものだ。

いい土=環境からは、いい野菜=人材が生み出される。たとえ、逆境に出会っても、豊かな土壌さえあれば、人も野菜も、耐えてよく育つ。もちろん、そのためには、じっと見守ってあげることも大切なんだものね。

今年も本当にわずかになってしまった。明日はクリスマスイヴですね。茂木さんにとって、明日のイヴがすばらしいものになりますように。

投稿: | 2009/12/23 15:25:13

いいお天気ですね^^ 気持ちがいいです

光の道を歩くのは気持ちが良かったでしょうね^^
私も恵比寿に用があっていく時、朝から出て原宿で降りて
神宮の森を木漏れ日を浴びて歩いてみたいです・・

実は私はおばあちゃんでも一応女ですので、^^
近所に雑木林があっても一人で林を歩くのは、
近頃は危険なのです・・
ですから林沿いの道を小鳥の声を聞きながらの散歩しますが、
樹木にすっぽり囲まれて木漏れ日の中を歩きたい衝動は常にあります

うっそうとした森の中を安全に歩けるのは
神宮?! 、歌を口ずさめそうな安全な森の道
、運動靴を履いて出かけましょうかしら、田舎から都心の森へ^^

赤の話題ですが・・
子供のころ、父の仕事の関係で、盲学校の官舎に住んでおり、
寄宿舎住まいの眼の悪い子達と仲良しでした、全盲と言われていたとっこちゃんって子が、太陽に向かって窓辺に座り、指をいっぱいに広げた手首を、眼の前で激しく降っていつも笑っているのです、

なんでそんげん手ば振ると~ おもしろかね~  っと聞くと
赤か~、赤か~って言って喜ぶのですよ、

私も眼を閉じて真似してみましたら、真っ赤だなの歌詞と同じように真っ赤でした、瞼の裏の毛細血管の血液の色だけでしょうか・・
脳に何が伝わったというのでしょうね、 

でも彼女は生来の全盲、赤のイメージは知らないはず、
何方かに教わった、赤の持つ熱のイメージなのでしょうか・・ 外界からの分子や電磁波・・ 何か作用しているんでしょうか・・

今でも不思議です、  reiko.G

投稿: | 2009/12/23 12:52:22


    自然哲学にとっては、感覚されるもの全ては、
    自然の一部である。

    明治神宮の森
    「光の道」ができている。

    『脳とクオリア』の改定
     楽しみになりました。
    「ありがとうございました」

投稿: | 2009/12/23 11:23:22

農薬や科学肥料は成長の強制という言葉が
印象的でした。

無農薬は難しいと思いますが
会社でいうと 土が健康でしたら 
病気もしないと言う事ですね^^

投稿: Nisi | 2009/12/23 10:28:23

茂木さん、おはようございます。
 ゛あっ、光の道゛だ!
 
冬の光の道・・・今、こんな感じなのですね。
 遠くてパッとは行けないけれど、スーッとした空気は5月にいった時そのままに、さらにさらに 凛 として 私も 好きな場所の 特別な ひとつです。  
 
 見せてくださってありがとう♪ございます。


投稿: | 2009/12/23 9:10:07

「ぼくは思う。才能がある人は、
必ず過剰である。」

agree

中庸ではないですよね。でも有吉伸人さんは
社会のなかで立派なお仕事されている...

部分テキニ過剰なのか
わからないです

投稿: | 2009/12/23 9:05:19

有吉さんの切手ワールド、ディープですね
お話しされた時に、眼が輝いていらっしゃったのではないでしょうか?(^o^;)

無農薬有機農法の金子さん、素晴らしいです!\(^_^)/
やはり木村秋則さんにしても金子さんにしても、周囲が反対する中で御自身の信念を貫く方達って「孤独に強い」と思います。なんであれ孤独に強くなければ、独自の道は生まれないなぁと思います。ウィトゲンシュタインやグールドしかりです!
読み出した本に面白い事が書いてありました
【孤独である為の8つの条件】
①分かりあえない人とは分かりあえなくていい
②歪んだ思い込みやこだわりに気付く
③自分にとって本当に大切なものを見つけ没入する
④自分は間もなく死ぬ事実を見つめる
⑤たったひとつの人生の構築
⑥ソーシャルスキルを身に付ける
⑦この人だけは私を見捨てないという人を見つける
⑧自分だけは自分の味方であれ。
「孤独である為のレッスン」諸富祥彦氏(NHK出版)より。
諸富氏はフランクルの研究者であり、それで読み出したのですが、とても読み応えがありました
茂木先生の「脳とクオリア改定版」楽しみにしてます

投稿: | 2009/12/23 8:39:49

こんにちは。今日は

「成長」はそれぞれのやり方で
のびのびと育っていくこと。
まったく、その通りですよね。

インターネットが普及した時代、
「タイムカード」や「ノルマ」で管理する
「勤勉さ」は時代に合わなくなっている
のではないでしょうか?

「のびのびやってお客に喜ばれる」これが
新しい尺度に違いありません。

投稿: | 2009/12/23 8:15:34

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