文明の星時間 鼻行類と先生
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第93回 鼻行類と先生
サンデー毎日 2009年12月20日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
動物行動学の大家。日高先生の本を、子どもの頃から愛読していた。特に、中学1年生で読んだ『チョウはなぜ飛ぶか』には大きな影響を受けた。
クロアゲハなどの蝶が、いつも決まった道を通る。「蝶道」と呼ばれる飛行の経路のようなものがあることは、ものごころついてからずっと蝶を追いかけていた私には、経験からわかっていた。
日高先生の『チョウはなぜ飛ぶか』は、日照や、緑の分布などの条件によって、いかに蝶の飛行ルートが決定されるかということを極めて明晰に論じていた。子どもの頃から、ずっと疑問に抱いていたことが一つひとつ解明される快感があった。
具体的な実験の積み重ね。仮説とその検証。ものごとの本質を見抜く力。中学生になって、「科学者になる」という夢を実現させる階段を一歩ずつ上り始めていた私。日高先生の本は、「科学とはなにか」ということを教えてくれた。その日高先生が訳された本だったから、私は『鼻行類』を真に受けてしまったのである。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
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12月 10, 2009 at 08:23 午前 | Permalink
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コメント
その、茂木先生が真に受けてしまったという『鼻行類』、何だか私も読みたくなってきてしまった。
茂木先生が科学者への道を歩む切っ掛けを与えてくださったという、日高敏隆先生。
先生にとっては、本当に何者にも代え難き偉大な恩人なのだということが、連載を読むと伝わってきた。
日高先生のような、科学という世界の精緻なる本質と、輝くばかりの浪漫とを、自らの研究の実践を通して、未来を生きる若者たちに教えてくださる方は、今本当に少なくなってきているのではないか。
投稿: 銀鏡反応 | 2009/12/11 23:02:35
茂木先生こんばんは^^
・・日高先生が訳された本だったから、 という言葉に
思わず笑みがこぼれました・・・・
そうですよね、人が物事を信頼し信じていく過程には
知らずに導き役になった方がいらっしゃるのですね、
よき先輩、大先輩に出会いたいし、若い人には特によき人に出会わせたいものだと思います^^
きっかけというのでしょうか、
きっかけの入口に誰がいたか、いるか、興味深いです
蝶道、蝶の道の絵が描いてあるのを見たことがあります
世界の蝶の流れです
地球全体に、蝶の道があるのを知って感動しました
その壁面には、蝶達がうねりの様に描かれ、小さく花の様に可憐な蝶の
命のうねりの様に見えて、とても美しいと思いました
近頃私の住む街にも、ここには来ないはずなのに・・・って思える蝶が
ひらひらと飛んできて、私をびっくりさせたりします
蝶も、従来の道を違えて旅をするようになってきたのでしょうか
心のどこかに、幻を夢を見てるように信じていたい想いが潜んでいる気持ちがすることがあります
科学者の方に申し上げるのも変ですが、
現実より、幻の方が、より現実的だったりするようなことって
有りませんか、幻のような蝶に出会ったりすると、これは夢かと思い
また、夢であってもいいと思ったりします
幻影の真実がもしかすると真実だったりする・・
信仰に近い世界は、科学の世界には潜んでいませんか・・
科学する心は、永遠のロマンにつながっているのでしょうか・・^^、
また、妙な事をお話ししてしまいました
reiko.G
投稿: R.グランマ | 2009/12/10 19:08:00