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2009/12/01

太陽と龍とネオンと。

高知から一番の便で、羽田へ。

カレーライスを食べて、青森行きの便を
待つ。

『脳と仮想』以来、羽田空港の朝の
カレーライスには、特別な意味を見い出す。

Graziaの大久保さんが、入り口に
立っている。
「海老蔵さんがまだなんで、待って
います」

ぼくは一足先に機内に入って、
Japan Timesを読み始めた。

やがてその人は来る。

海老蔵さんの顔をみると、思わず
笑みがこぼれる。

周囲を元気にする不思議な力を持った
人。

空港で降りる。おはよう、おはよう。

一路弘前へ。うまいそばを食べる。

木村秋則さんのりんご畑へ。

木村さんは畑仕事をしていて、
私たちの姿を見つけて、
大きく一つ笑って、それからこちらにやってきた。

海老蔵さんと木村秋則さんは初対面。

リンゴの木の下で二人は話し込む。


木村秋則さんと海老蔵さん、初対面の瞬間


りんごの木の下で。

ぼくは『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の木村秋則さんの回を撮影した
原田人さんといろいろと旧交をあたためる。

以前、木村秋則さんの畑を雪の中
訪れた時に、ぼくが撮った
原田人さんの写真がとても良かった。


木村秋則さんの畑で撮影する原田人さん。
(2008年11月25日)

それを再現しようと、いろいろと
アングルを試みる。


木村さんの畑でカメラを構える原田人さん。
2009年11月30日。


木村秋則さんを撮影する原田人さん

それから、ぼくは、歩き回って、
探り続けた。

木村さんが、ずっとりんごの花が
咲かないで、隣りの人が
「おい木村、りんごが咲いているぞ」
と教えに来てくれて、
畑を見に出かけていって、
それでも、信じられなくて、
恐くて仕方がなくって、
隣の畑の小屋の陰からそっと見た、
その小屋からの視界を体験してみた。


木村秋則さんが恐る恐る自分の畑を覗いた
小屋の隅。ネットの向こうにあるのが木村さんの畑。

それから、りんご作りが
ずっとうまく行かなくて、木村さんが
ついに死を決意して、首をくくるための
ロープを持って、岩木山へと歩いていった、
その道を私もたどってみた。

途中から、ちゃんとした道はなくなって、
林の中を抜ける細くかすかな小径となる。

木村さんは、この小径を歩いていった
んだなと思うと、頬をなでる風が
冷たくて温かくて変な感じだった。


運命の夜。岩木山へと至る道。


木村さんのりんご畑


木村さんのりんごの木を、土が育む


木村さんのりんご。


木村さんの「奇跡のりんご」
を使ったスープが出される
弘前市内のレストラン山崎へ。


レストラン山崎

スープは口の中でまるで生きものの
ように踊って。
まさにミラクル。

この一口のために、わざわざ弘前まで
来る価値がある!

レストランの中で、木村秋則さん、
市川海老蔵さんと話し込む。

海老蔵さんが、木村さんに、
「なぜそんなに元気なんですか」
と聞くと、木村さんは、
「一度捨てた命だからねえ」
と言って、それから太陽のように
笑った。

木村さんの声に呼応して、
海老蔵さんが身体をくねくねと
動かすと、そこに龍がいるようだった。

舞台で見得を切り、六法を踏み、
荒事をする海老蔵さんの身体は
アスリートのようにしなやかに
鍛えられている。

弘前で、ぼくは太陽と龍に囲まれた。


太陽と龍に囲まれて。

デザートが出る頃。

「貧乏した時に、アルバイトをした
パチンコ屋さんがとなりにあるよ。」

木村さんが言うので、ぼくは外に出てみた。

とっぷりと日が暮れた弘前の街。

木村さんが言っていたネオンの看板は
暗闇の中、美しく輝いている。

太陽と龍とネオンと。

忘れられない一日が、こうして
暮れていくのだなと思った。


12月 1, 2009 at 09:04 午前 |

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受信: 2009/12/06 0:22:59

コメント

もぎけんさん☆こんにちは!

今日、木村さんのテレビ番組を見ました。
自然と人間の可能性の大きさを感じました。

もぎけんさんが少年心で木村さんの世界を共体験するレポート
もぎけん少年のわくわくする気持ちが伝わってきて
私たちも木村さんの世界を旅することができました♪
ありがとうございます!

PS.オールナイトニッポンサンデー☆楽しく聴いています。
面白くてためになるお話&ハートウォーミングな音楽ですごす日曜の夕方☆最高です♪

投稿: しろくま | 2009/12/03 23:53:23

茂木サン 青森県弘前に行かれたのですね。
木村サン、海老蔵サン、茂木サンと 見事な 林檎狩りを されたのですね。
鮮やかな赤、おいしそう!
茂木サンの お姿が 画像になかったのが、残念。
跳ねた髪も エネルギッシュで お似合いだと
思います。元気!

投稿: サラリン | 2009/12/03 0:08:30

茂木先生こんばんは!

木村さんの笑顔を思い出すと、 熱いものが込み上げると同時に、なんやかとっても温かい気持ちになるのです。


今日は『奇跡のりんご』を再び読んで 眠りたいと思います。


それと、私は先生の髪型すきです。☆彡
それに似合っていますよ。☆☆☆

投稿: りんご,,(*・ω・*)ゞ | 2009/12/02 23:37:29

 その味は、林檎の味?木村さんの味?それとも、看板の味?

投稿: 岡島 義治 | 2009/12/02 16:40:48

茂木先生 こんにちは♪
木村秋則さん、お元気そうで何よりです!朝カルの時の、優しく温かで、誠実なお人柄が思い出されます。そのあと、お話しさせていただける機会に恵まれたのですけど、ほんとうに、いつも笑顔で、最後に必ず「ハハハァ…!」と笑うので、こちらも「ハハハァ…!」となって(笑)ほんとうに元気を戴きました。木村さんのリンゴを食べるためだけに、弘前に行く価値は絶対ありますね!旅はあれこれ見るよりも、心の中に、何か一つでも残せるものがあれば、それでいいと思っているので…。そして先生の写したリンゴ、なんとも愛らしく、食べると言うより、思わず頬ずりしたくなっちゃう可愛さです…笑!頑張ってるね~と、声援送りたくなっちゃいます…笑!海老蔵さんの舞台は、残念ながらまだ拝見したことはないのですけど、海老蔵さんからは、いつ見ても「立派」と言う印象を受けます。太陽が輝き、龍が上り、そしてネオンが瞬く、素敵な一日を覗かせて戴きました…笑♪

投稿: 平井礼子 | 2009/12/02 14:02:35

初めてコメントをします。

木村さんの事は貴著で知り、テレビでは見てなかったので
この日記でどんなお方なのか知りました。

「一度死んだ命だからね」

涙がこぼれました。
そういえば、自分も一度死んだ身だった事に気がつきました。

そうか、死んだんだな>自分は。

そう、思ったら今から頑張れそうです。
ここのところ茂木さんに救われる事が多いです。

この場をお借りしてお礼を申し上げます。
有難うございます。


投稿: shigepyon8 | 2009/12/02 12:22:44

文面とは関係ないのですが

京都へ行ってきましたそこで見つけた深い景色特集です
是非茂木さんにもお伝えしたく思い投稿させていただきます


朽ち果てた切り株から生えた小さく真っ赤に紅葉したもみじ


秋に咲く赤いチューリップ


竹のように生きる人々


サービス精神旺盛なねこ


哲学の道のクオリア
人生色々な道と景色でしょうか昔の哲学の道は本当の哲学のあるべき姿だったのに違いありませんね


もみじの様に流れる一つの人生


晴明神社と北斗七星と☆

安倍晴明

名前を口にすると鳥肌が立ちます物凄い人だったのに違いない


(雲越しに見えるうっすら虹色のお月様)


豊臣秀吉さんのお茶の間怖いくらいに凄すぎます魂が抜けそうになりました
でもとっても優しい素敵なお庭だと思いました


絵は自分の心を写し出す心で描いた絵なら尚更だ

風神雷神深いです時間切れで読みきれませんでした


素晴らしい景色はついつい口を開けて見いってしまうものだ
まるで体からいらないものを自然が口から吸いとってくれているように感じる


以上です
クオリア万歳茂木さん万歳\(^o^)/

失礼しましたm(__)m
明日も茂木さんに素晴らしい一日が訪れますように

投稿: 祖父 | 2009/12/02 2:53:10

こんにちは

木村さんの自然栽培のりんごの木に生まれた実、歌舞伎の家と言う系図の木に生まれた海老蔵さん。偶然と必然の木に生まれた二人だと思います。(^^)

投稿: 木のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/12/02 1:24:47

おお…市川海老蔵さんと、あの木村秋則さんを尋ねに行かれたのですね!!

お写真を見ましたが、弘前はもう冬の気配につつまれていて、その中で、深い紅に輝く、木村さんの畑のりんご…。雑草がいっぱいの畑の地面も、放送を見た時と変わらない。

木村さんもお元気で何よりです、海老蔵さんと初めて談笑されるお顔が今もニコニコと太陽のようです。

1度は修羅場を見た人の笑顔は、本当に底抜けに明るい、と改めて思った。

底抜けの笑顔の太陽と、しなやかで力強い龍に囲まれた「旅人」役の茂木さん、とても豊穣に満ちた、有意義な1日だったんですね。

りんごがはじめて実るまでの、木村さんの壮絶な苦闘のエピソードを『プロフェッショナル』ではじめて見た時のことを思い出す。

実をいうと、弘前は自分の両親の故郷。何時も家の近くにはりんご畑があり、毎年今ごろになると、親戚からりんごが必ず、函で送られてくる。

木村さんの所のように、自然としっくり一体化しているりんごづくりが、もっとこの先、広まっていければ、みんなが本当のりんごの味を味わえるのになぁ。

何はともあれ、本当に素敵な1日を過ごせてよかったですね。

木村さんが何時何時までも、お元気であられますように。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/12/01 22:46:23

茂木さん、木村さんの所を訪ねていたんですね☆

木村さん…本当に生きていてくださって、生きることを諦めないでくださって、ありがとう。

生きていてくださったから、生きることを諦めなかったからこそある、今のこの時。この出会い。

本当にありがとうございます!

なんだか自分のことのように、良かったぁ…と思います。


私もミラクルなスープ飲んでみたいなぁ(*^_^*)

投稿: 奏。 | 2009/12/01 21:17:48

茂木先生 こんにちわ

木村さんの笑顔に またお目にかかれたな。

どうして この方の笑顔は いつでもこんなに輝いていて
見ているだけで 涙がうるんでくるのかしら。

キット 人間の強さとか弱さとか
なによりも 希望を 自分で みつけだした人だからこそ

まったくの 他人なのに 私にも そう感じさせてくれるのだと思います

こんな風に 居るだけで 人を 勇気づけてくれるって言うのは
なかなか 稀有な存在だと思います

人間は 色々 あるけれど
ヤッパリ 捨てたものじゃないですよ・・ね

投稿: Lily | 2009/12/01 19:36:37

12月1日、今年最後の月の最初の日ですね
新しくもあり、また終焉の様な日の始まりかもしれない・・

月が変われば、新しい年の始まりの元旦、1月1日がやってきます

木村さんが、ロープをもって、林の小径に誘われていかれた・・
その小径を見せていただけ感慨深い想いをあじわっていいます

歳を重ねてふと思います・・
その人にとっての最後に辿る小径の向こうには、
微笑んで待っている誰かがいるのだろうかと・・

もやのように漂いながら消えていく道の向こうに、
懐かしい魂の世界が、花の香りの中に何かの形で漂うように
存在しているのではないかしら・・
そうあってほしい・・と想像したりします・・

東山魁夷さんの描いた 道 という作品が心に浮かんできました

魁夷さんが昔スケッチした青森の種差牧場の道、どうしても描いてみたくなり、再び訪れたおり、昔の記憶のなか道と眼の前の道との間には
かなりの隔たりがあったそうですが、魁夷さんは、年月をかけ心のうちに出来上がっていった心象に焦点を絞って、しっとりと潤いのある道を描いたのだそうです、

魁夷さんの描いた道が世に出たのは昭和25年、
敗戦の日本の行くえなど考える術もないほど、大衆は未来を想うこともできないほど貧困の底にいたころでした・・
今夜のお米を調達に、田舎回りをしてまだ戻らない母を
夕焼けの窓辺で待ち焦がれた日を懐かしく思い出したりもしています

そんな時代に、渾身の力で清冽な美しい道の画をかきあげた魁夷さんの心に、改めて人生に与えられて命の素晴らしさを感じることができます、
ご覧になったこともおありと思いますが、
道の彼方、丘の上の空を少し明るくし、遠くの道がやや右上がりに、画面の外に消えているようにすると、これからも歩もうとする道という感じがするのであった…と、この道の製作に没頭しておられた折の心情を魁夷さんは、本の中で語っておられます、

太陽と、竜と、ネオン、 そして、茂木先生の心のフォーカスに
出会えて、始まりの終わりが一致した 一の日を
心にに留めることができました、

茂木先生
心の思いを書かせてくださって、ありがとうございました

                  reiko.G

投稿: R.グランマ | 2009/12/01 12:22:54

茂木さん、今、読ませていただきました。
太陽の様な「木村さん」と龍の様な「海老蔵さん」、そして
「茂木さん」はー??? 「星」かな?!

素敵な‘スリーショット’ですねー!!

「木村さん」のリンゴ、ほ~んとうに!美味しそうで、真っ赤
に熟れていて、きっと!甘~くて、余韻の残る、一度食したら
忘れられないお味なのでしょう!!
私も何かの機会に青森へ行くことがあったら、「レストラン
山崎」へ立ち寄りたいです。

新宿の「朝カル」での‘対談’、とても印象に残っています。
「木村さん」の人生の足跡を辿る様な感じですね、今回のルート
は・・・。

茂木さんが撮られた「原田人さん」、そして「リンゴの木の下
の木村さんと海老蔵さん」のお写真も素敵ですョー。

パチンコ屋さんの賑やかなお写真は外国かとも思えます。(笑)

どうぞ、素敵なお時間をお過ごしください。

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2009/12/01 10:20:09

茂木健一郎様
こんなにインパクトのあるツーショットは
いつぶりかしら?と思えるほど、
素晴らしいお出逢いツーショットですね。
心も涙腺もふるえっぱなしです。
茂木さんの目がとらえたこと
心がとらえたことに
感動させていただきっぱなしです。
申し訳ございません。
毎日、感動のお出逢いを
素晴らしいときをお過ごしで
いらしてくださいませね。

投稿: Yoshiko.T | 2009/12/01 9:29:06

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