文明の星時間 冷泉家の蝶
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第88回 冷泉家の蝶
サンデー毎日 2009年11月15日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
一間に向き合って座り、為人さんとお話しする。
「私は、藤原定家に大変興味があるのです。名月記にある、紅旗征戎吾ガ事ニ非ズという言葉が素晴らしい。」
為人さんが、居ずまいを正す。
「それは、今でも、冷泉家にとって大切な精神です。」
定家十九歳の時の言葉が表すものは、「覚悟」。その時々の政治や社会の動きから距離を保ってきたからこそ、冷泉家は大切な文化財を今日に伝えることができた。
歌の会を終えた貴実子さんが戻ってくる。
「子どもの頃は、どんなことをして遊んでいたのですか?」と尋ねると、にっこりと笑って、「廊下で三輪車を乗り回していましたね。」と答えた。
「近所の子どもたちが、庭に来て缶蹴りをしたりしてね。あの頃は、塀が空いていて自由に出入りできましたから。」
冷泉家が受け継いできたのは、やまと歌に象徴される「言の葉」の力。あくまでもやわらかく、繊細に、私たちの生活のすべてを包んでいく。
私が子どもの頃蝶を好きだったと知って、貴実子さんの目が輝いた。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
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11月 5, 2009 at 08:25 午前 | Permalink
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コメント
京文化には、はんなりと言う表現に代表される、柔らかさの中に、鋼のような凛としたものが、秘められている気がする。
藤原定家の、若き日の言葉に秘められた覚悟。江戸のように権威に阿ることなく、美と矜持を守る強い意志。
その他諸々の強靭さが、京都の歴史には、蝶のようにたおやかで、しなやかな“衣”を纏いながら、息づいているのではないか。
連載を読ませていただいたあと、上のような感想が浮かんだ。
投稿: 銀鏡反応 | 2009/11/05 22:35:26
茂木先生、しょっちゅうテレビでお目にかかっているのと
先日お会いできたのとで、心は、勝手に、もう、私の心の友!
幼い日蝶を追いながら白い網を片手に走り回った日の、はるかに遠い日の幼馴染の顔と重なります・・・
先生は、大変な数の心の友となり、今クオリアの世界の深淵をミッションなさっておられますね~
同名の私の兄の健一郎も、それはそれは人好きで、優しい心のまなざしの人、 健一郎の名前はいいですね! 健康一番を望みにシンプルな希望を名付けらレたご両親、命を育まれたお母様!
幾つもあったはずの山を越えて、今も、お母さんのためなら、エンヤコらの気を実行しようと励みお子様の健一郎さん!
私の好きな 健気 という言葉、を今を轟く茂木先生に、机下とも言えない私が使わせていただくのも甚だへんですが、茂木先生の魅力は、 この汚れきった世俗、学実の世界の狭小さを打ち破り、丸裸で飛び出し、晩秋の一日を快気な思いとともに人から人の心に寄り添いながら、ぐんぐん進んでいかれる・・
そんなお姿は、やはり、天から見て、健気!との言葉が降り注いでいるように感じるからです、失礼がありましたら、お赦しください、
私も健気でいたい、誰に褒められずとも、健気でいたいと、先生の行動する精神存在から、こちらも心の内に、気が満ちてくる喜びを感じます
サンデー毎日、買いに行きます、
若い日を過ごした京都、京都の冷泉家、貴実子さまの瞳の輝きの謎にも
寄り添えそうな・・予感がいたします
週刊誌を求めに、、ルンルンの予定が入りました、
15日発売ですね(^^)
投稿: R.グランマ | 2009/11/05 9:28:50