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2009/11/20

コミスジたちを振り返ってみると

朝、公園の森の中を走っていると、
季節が変わるとともに
自然の様子が移っていくことが
手に取るようにわかる。

ついしばらく前までは、
コミスジがすーい、すーいと
飛んでいたのに、すっかり姿を
見なくなってしまった。

コミスジは幼虫で越冬する
はずだから、成虫は皆死に絶えて
しまったのだろう。

ちらっと見て、「あっ、コミスジだ!」
と思うけれども、本当は一つひとつが
この世にかけがえのないindividualityである。

私の友人で言えば、塩谷賢や、
竹内薫、郡司ペギオ幸夫、池上高志、
白洲信哉、井上智陽、田森佳秀
みたいなのが飛んでいる。

そう想ってコミスジたちを
振り返ってみると、なんだか
しみじみするねえ。

 久しぶりに、田森についてバカ話を
書きたくなった。

 田森、ごめんね。

 田森佳秀というのは面白い男で、凝り始めると徹底的にやるところがある。
 田森が生まれ育ったのは、北海道の豊頃町というところで、「人の数よりも牛の数の方が多い」のだそうである。
 田森は、子どもの頃から、機械いじりが好きだった。そのあたりに捨ててあるテレビを分解して、中のトランジスタやコンデンサなどを、種類ごとに分類してとっておいた。箱いっぱいに素子があって、それを使って電子回路を設計するのが趣味だった。
 学校の先生が、「東京に行くと、アキハバラというところがあって、そこに行くと何でも揃うんだぞ!」と言うのを聞いて、田森少年は限りないあこがれを抱いたのだという。
 「ぼくも、そのアキハバラというところに行きたい!」
 人の数よりも牛の数の方が多い町に住んでいる田森少年にとって、「アキハバラ」というのはまるで魔法の呪文のように思えたのだろう。
 田森少年にとって、人生はいつも思ったように行くとは限らなかった。小学校高学年のある日、学校に来てみると、みんながわーわー騒いでいる。「おい、田森!」とからかっている。
 あとで知ったのだが、その前の晩、テレビにタレントのタモリが出演していたのだった。そのことで、それまで取りたてて目立たなかった「田森」という名字が、俄然光り輝く特別な意味を持つようになってしまった。
 田森佳秀の回想によれば、その日以来、田森は「ハードボイルドな人生を送ることができなくなってしまった」というのである。
 しかし、私に言わせれば、田森は角度によってはゴルゴ13に似ている。ただ、体型があまりにも違いすぎるだけなのである。それに、田森がショットガンを構えているところを私は一度も見たことはない。
 田森少年が一生懸命テレビを分解して整理し、とっておいたトランジスタやコンデンサは、結婚する時に奥さんに「これゴミでしょう?」と言われて、全部捨てられてしまった。
 哀れ、田森少年!


田森佳秀氏

11月 20, 2009 at 08:08 午前 |

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コメント

こんにちは
きょうは日差しがあったかですね。

前の晩のブラタモリでも
秋葉原の部品のお店など回っていて

タモリさんもラジオなど自分で作るのが好きで秋葉原に来たとき
「なんで俺は東京に生まれなかったのか・・」
と思ったと話ていました。

タモリさんのところは牛が多かったかわかりませんが、
田森さんと共通する感覚があったのかと思うとたのしいです。

先生お風邪でしょうか。
わたしも昨日からすこし熱が出ました。
先生は簡単に休めないので大変ですね。

パソコンの回線を変えたら、
youtubeなどが前よりも見れるようになりました。
香港のときの講演を聴いてます。
前よりすこし聞き取れるようになっていました。

先生の英語は全身で、激しいですね。。

防寒着を着て
お大事になさってください

投稿: M | 2009/11/23 15:24:12

茂木先生 こんにちは♪
田森さんと言えば、お腹ツンツン事件ですよね!(笑)北海道育ちだから!?お写真からも、おおらか、さやノンビリさが伝わってくるようで、隣りにいるだけで、何か心配ごとや悩みがあっても、まぁ~いいかぁ~!と言う気持ちにさせられる、稀な人だと思います。奥様に大事なトランジスタを捨てられた時は、どうだったのでしょうか?私だったら、せっかく集めた宝物を捨てられたら、ほんとに大喧嘩に!?なりそうですけど…笑!田森さんは、そんな感じではないでしょうね。先生は素敵なお友達がたくさんいらっしゃって、お幸せですね!お金で買えない宝物を、沢山持っている人ほど、幸せな人生を過ごせる気がします。また田森さんの??エピソード楽しみにしています…笑!おおらかな田森さんなので、ご自分でも、結構楽しみにしているのでは!?と思ってしまっているのですけど…笑。次回のご登場、お待ちしております…笑♪

投稿: 平井礼子 | 2009/11/22 22:53:27

茂木先生おはようございます!


田森さん、素敵な方ですね。♪♪♪

雀の子のお話はちょっぴり切ないですが、でも温かい。助けてもらって感謝しているに違いないと思います。


それでは、本日も寒いですから、風邪などひかないようにあたたか~くしてお出掛け下さいませね。
☆☆ヽ(*⌒∀⌒*)ノ☆☆

投稿: wahine | 2009/11/22 7:31:32

茂木さん、Hello♪(^-^)田森さん♪ステキですね♪ところで、茂木さん♪やっぱりパール?(笑)あ〜♪ステキなのに出会う為に日々磨かなきゃ♪(^o^)уキャッたのし♪いそがし♪ドッキドキッ(笑)♪(^3^)それでは茂木さん、また今度です。

投稿: 水饅頭 | 2009/11/21 4:18:56

こんにちは

タモリさんは、森田さんで、田森さんはタモリモドキさん、タモリモドキさんは、「面白い事を言え!!」と、みんなから言われるのですね、名前の不思議(^^)

投稿: 名前のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/11/21 1:59:01

おはようございます 茂木サン 。
田森サン、素敵なご友人ですね。人生には、今に至るまでのエピソードが 皆さん ありますね。
転機 や 出会い。
最後に田森サンの 奥様も また 素敵。

類は友を呼ぶ ですね。

投稿: サラリン | 2009/11/21 0:55:11

茂木健一郎さま

今晩の半井小絵さんの気象解説、録画をして

妹達がウチに来ていて
夕飯を外食
甥っ子、姪っ子たちと
独身の子供もいない私には、甥っ子、姪っ子のパワーには、活力とも言い換えて良いかと
びっくりでした。

さて、半井小絵さんの連休お天気の傾向
もちろんお洋服は可愛らしく着こなしも自然で恰好よく、そして連休の傾向ですが茅ヶ崎の沖磯
日曜日から月曜日、かなら厳しい概況です
雨が降ると波の心配は晴天以上に。
あとは今の段階の予報から月曜日の実際の気象変化、ただ波の、うねりが静まるのはタイムラグがあるように思います今までの体験

気象は偶有性の極みかと。冷静に月曜日の釣行は急速に天候回復しない限り私は釣行には参りません、行かないと気が済まない性格の私、それで磯にて波から逃げ惑い挙げ句、磯屋さんから借りてのマキエサバケツを落水させ回収できたものの
自分が落水した恐れがあった教訓として安全第一の釣果は二番
楽し磯釣りは無事に港に戻ってくることが私としては楽しいことと肝に銘じてます。

心のより所
安全基地は場所、考え方、そして物欲ではない意味の物も安全基地かと

茂木健一郎さまの書籍、私、拝読させて頂いていて助かってます実感です。
さて、寝ます。

投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/11/21 0:15:59

ふふふ…(笑)、田森さんのエピソードは、何時読んでも、面白いなぁ。

タレントのタモリ氏の登場で、ご自身の苗字が特別な意味を持っちゃったり、大切に取っておいた宝物のトランジスタやコンデンサなどを、奥様に捨てられてしまったり…。

最近の“お腹ツンツン”のお話も忘れられない。

とにかく、こんな愉快な人がお友達なんて、茂木さんは本当に幸せ者であられると思う。

茂木さんの近くの公園では、コミスジも来るのですか!

コミスジで思い出したが、先々週の土曜に、多摩川の河べりまで散歩しに出かけた。穏やかな晴れの日だった。

東京には珍しい十月桜や、真っ赤な鴉瓜(カラスウリ)の実が目に入ってくる中、可愛らしい蝶に出会えた。ベニシジミだった。

ベニシジミは、何故か、私の指先にちょこなんと止まってくれた。そのさまがとても可愛らしくて、たまらなかった。彼(?)は暫くそのまま私の指先に止まって、一緒に歩いてくれた。

コミスジでもベニシジミでも、同じ種であれどもみんな個性が違う。

生き物達も、森羅万象も“みんなちがってみんないい”…そうでなかったら、自然の摂理に反する気がする。

同じ人間でもみんな個性や性格が違っていいに決まっている。

戦時中に始まると思われる、画一化の風潮は自然摂理に反しているようだ。

秋が深まって行き、冬への入り口にいよいよ立つ。周りを見れば、可愛い蝶たちは、姿を見せなくなっているなぁ・・・。

茂木さんのお友達は思うに、本当に、お一人お一人の個性が際立っていて、極めて独創的で、そして豊かな人間性を秘めておられるのだろう。

そんな素敵な友人達に、恵まれたかったけれど、いやいや…!まだまだ間に合うかもしれない、と物思いながら、この文を書いています。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/11/20 23:34:21

一つひとつが、この世にかけがえのないindividualty…にinspireされ、何人かに感謝メールを送りました。
茂木さんは、今日のみんなに降り注ぐあたたかな太陽の光みたいだなあ…

投稿: シリンクス | 2009/11/20 22:55:20

風邪をひいて丸まっております

今朝タモリさんが秋葉原を散歩しているテレビ番組を見ました

昔の秋葉原の煉瓦造りの万世橋駅の写真を見たり、
焼けても焼けても振り返らず前に進む街秋葉原を
タモリさんらしいトークを交えながら紹介、
私もいい散歩ができました
高木さんとおっしゃるご案内人が、すごく個性的でした

こんな時間になって日記にお邪魔しましたら
別の仲良しコミスジさんの田森さんのご紹介・・

ふふふ・・^^っと、笑居ながら読ませていただき
主人のほうを眺めました、ちょっと、似てるかな・・^^

私の庭先にもコミスジがあそびにきてました
そういえば、もう蝶の姿はすっかり消えていますね

コミスジが藪蘭の葉などに休んでいるのを見ると
昔の粋な着こなしの着物姿の女性を想ったりします
亡くなった母も殆んど着物姿のひとでした

粋とまでは言えなかったかもしれませんが
コミスジの様にシックな装いが身についていました
懐かしい着物姿の母の後姿が目に浮かびます

思い出させてくださって、ありがとうございます


投稿: R.グランマ | 2009/11/20 21:17:25

田森さんはほんに可愛いらしい方ですね\(^_^)/
大らかな生態系だと思います。
見ていて飽きないだろうなぁ~
いいなぁ~そばにいる方々~うらやましいです
あ、でも数学の天才で大学の教授?でいらっしゃるのですよね?
学生さんには厳しかったりして(笑)

投稿: 眠り猫2 | 2009/11/20 17:21:07

茂木健一郎さま お忙しい中、いつもブログの更新ありがとうございます。m(_ _)m ☆朝の森の中、はりつめた冷たい空気、研ぎ澄まされた風の音、木々のさえずり、未来に語りかける光る瞳、誰もいない世界に聞こえてくる足音。森の空気は、一番のご馳走ですね!

投稿: yumi | 2009/11/20 16:29:44

 僕もよく機械類をばらしましたが、ネジを回す動作と、中身のゴチャゴチャした感じと、そのゴチャゴチャがどういう風に噛み合って、動いているのかを想像するのが好きなだけでしたね。
 田舎町でそれなりの距離があるゴミ捨て場に、わざわざTVを探しに行ったり、ましてや、ばらした部品を分類して、改めて組立直すなんて発想は夢にも思いませんでしたね。
 …これが、科学者のDNAというものか…ちょっと凹む…

 あの日から、色んな事が、中途半端で停滞してしまいましたが、諦めたわけじゃない!現在進行形なだけだ!!!と吠え続けています。(苦笑)

 この一年、チマチマと英語を勉強してきましたが、日本語なら僅かなニュアンスの違いまで考えて文章を書けるほど、頭の中に日本語が貯蔵されているのに、同じ言語だという実感が強まるにつれ、昨日覚えた単語が今日訳せない英語とのギャップに何とも奇妙な感覚を覚えます。

投稿: 岡島 義治 | 2009/11/20 13:47:02

コミスジなる名前、初めて知りました。ワタシも公園を散歩中に出逢っているかも、個性に。

昨夜のブラタモリ/秋葉原と、田森さんの話しがシンクロニシティ!

投稿: MARIO | 2009/11/20 12:31:17

茂木健一郎様
茂木さんの瞳にうつるすべてのものが
茂木さんを透すとその姿がべつのものと
なって、その姿をさらにclearにしてくださって
茂木さんのエンターティナーの多様さに
どきどきします。
田森さんにしても、どのお友達にしても
皆さんとっても魅力的な素晴らしい方々で
男の方達の魅力満載をお伝えできる
茂木さんの魅力はたとえようがありません。
感謝しています。

投稿: Yoshiko.T | 2009/11/20 9:51:01

コミスジの幼虫さんたち、越冬できますように・・☆

投稿: ふぉれすと | 2009/11/20 9:04:47

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