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2009/10/18

名古屋 三省堂書店 サイン会

名古屋 三省堂書店 サイン会
2009年10月24日(土)
三省堂書店名古屋テルミナ店

『あなたにもわかる相対性理論』
刊行記念サイン会

詳細 

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『あなたにもわかる相対性理論』まえがき


「科学の感動」

 人間の脳というものはふしぎなもので、たった一つの経験が大きな影響を残し、人生の行く末を変えることがある。
 私にとっては、小学校5年生くらいの時に読んだアルベルト・アインシュタインの伝記がそうであった。同じ頃、4次元時空の話や、相対性理論の話についても読んだように思う。子どもなりに、深い感動があった。世の中で、アインシュタインほど偉い人はいない、と思い定めるようになった。
 人を変えるきっかけになるのは感動である。私は、アインシュタインとの出会いを通して、科学者を志すようになった。もともと、小学校に上がる前から昆虫採集をして、自然に関心を持っていた。アインシュタインその人と、彼が創り上げた理論を知ることによって、「科学者になりたい」という私の決意は動かぬものとなったのである。
 昨今、社会の科学離れとか、子どもたちの理科離れということが言われる。私自身の以上のような経験に即して考えれば、「感動」があれば、このような現象が起こるはずがない。日本の社会にとって、科学に対する関心が低くなることが由々しき事態だとすれば、いかに科学することの感動を伝えていくかが問題になるだろう。
 科学の感動。それは、世界がこれまでとは違った場所に見えることである。私たち自身の存在、私たちを取り囲むものたちのあり方について、より深いものの見方ができるようになる。
 アインシュタイン自身、「感動するのをやめた人は、生きていないのと同じである」という言葉を残している。ここでアインシュタインが言っている「感動」とは、この宇宙を支配している法則に触れることで、私たちの心に起きるさざ波のことであろう。それは、発見する歓びであり、創造へと向かう衝動である。
 科学が明らかにするこの世界の真実に触れて、私たちの心は戦慄する。生きることの意味が、より深いところで確認できるようになる。少々の困難ではへこたれない、前向きに生きる力がわきあがってくるのである。
 この世に感動の素はさまざまある。仕事がうまくいって、成功するというのも一つのきっかけになるだろうし、人に褒められるというのも感動の素になるだろう。しかし、私の知る限り、科学の真実を理解した時、とりわけ、それを、数学的形式の本質においてつかんだ時ほどの深い感動はない。一つの科学的真実の感触をつかむことで、一生自分を支えてくれるほどの感動を得ることができるのである。
 科学と出会うことは、その人の生き方に影響を与える。私は、自分自身の人生を振り返って、そのように信じている。科学とは何か。その真髄を知っているかどうかによって、生きるエネルギーのようなものの質が変化するのではないかと思う。
 私は、ときおり周囲の人に「なぜそんなに元気なのですか」と聞かれる。私が元気な理由の一つは、子どもの頃科学の真髄に触れたことにあると思えてならない。元気になりたい人は、科学について学べば良い。アインシュタインの相対性理論ほど、格好な教材はない。
 アインシュタインこそが、「物理学の世紀」とも呼ばれた二十世紀の物理学の革命の起爆剤になった人であった。「奇跡の年」と呼ばれた1905年。アインシュタインは、量子力学、統計力学、相対性理論という、その後の物理学の発展の基礎となった三つの大きな柱を、一人で打ち立ててしまったのである。
 アインシュタインの人生は、大いなる勇気の物語でもある。落ちこぼれ、大学に残ることもできず、特許局で町の発明家の話を聞きながらこつこつと研究した。アインシュタインは、決して将来を嘱望されたエリートというわけではなかった、むしろはみ出しものであり、ドロップ・アウトであった。そのような若者が、世界の見方の革命を起こしてしまうのだから、科学という営みは面白い。
 この本は、何よりもアインシュタインの相対性理論についての本である。その革命の真髄に触れることが、一生読者を支えてくれる感動につながるのである。そしてこの本は、アインシュタインその人に関する本でもある。青年アインシュタインが、将来の不安に耐えながら、いかに革命を成し遂げたか。アインシュタインのどのような生き方が、大きな成果へとつながったのか。その生き様に触れることで、私たちは科学の感動を取り戻すことができるだろう。
 科学離れ、理科離れの原因は、感動を見失ったことにある。私たちは、科学の感動を取り戻さなければならない。それは、経済合理性のかけ声の下、「役に立つ」ことをやる実用の研究の中にあるのではない。むしろ、何の役に立つのかわからない、難しい問題を追及する暗闇の時間の中に、科学の感動は隠れている。
 私が愛してやまないアインシュタインの精神。その素晴らしい理論。感受性のある人ならば、その真髄に触れて思わず叫ばずにはいられないだろう。
 この宇宙はこんなにも精緻に出来ている! 自然の法則は素晴らしい!! そして、その法則を理解できる理性を持った人間もまた、素晴らしい!!!
 人間に対する、何よりも自分に対する信頼を取り戻すために、さあ、アインシュタインの理論を学ぼうではないか。

茂木健一郎
 
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10月 18, 2009 at 10:23 午前 |

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受信: 2009/10/18 16:52:22

コメント

いまさらですが、『あなたにもわかる相対性理論』拝読いたしました。
「E」の代わりに「Q」のくだり考えさせられました。脳の中で核反応に匹敵するほどの変換が起こっているのでしょうか?「m」は、やはり何らかの物質である事がシンプルで美しい。となると、極微小ながら人体内で物質の喪失があるわけで、動的平衡はどうなるのか?それ以前に、「c2」に匹敵するほどの外的要因って何だろう?

なんて事を考えていると眠れなくなりますが、それはそれで意外と嫌ではありません。これからも眠れなくなるような本お願いします(^^;

投稿: コッシー | 2009/12/22 5:18:35

いいわ~ 何を聞いても 茂木先生は 素敵 は~ 茂木先生に
生まれ変わったら 来世は 出会い たいわ
て
もっと いろんな事教えて下さい
もっと 本出して
もっと に出て 下さい
暖かく 見てます
お身体を 大切に

投稿: | 2009/10/19 19:04:21

うわぁっ!本のタイトル見た時「これすぐ購入!」って決めました。
大好きな茂木先生と昔からなんとは なしに興味のあるアインシュタインとのドッキング!
ありそうで、なかった本ですね。
「あったらな…」と言う発想すらなかった…。
でも、見た瞬間「これこれ!ほしかったのは!!」みたいな…
まるで、今までずっと手に入れたかった探し物を見つけたような気持ちになりました。
アインシュタインには、興味がありますが、なかなか身近なものになりませんでしたから…。
名古屋サイン会予約しましたよ♪
伊丹からですから、新大阪で新幹線に乗って行きま~す。
わぁ、もう、すぐじゃないですか~、とっても楽しみです。
問い合わせると、名古屋駅のすぐ近くだそうで、交通の便もいいので、うれしっ!

投稿: | 2009/10/19 13:39:09

茂木さん

こんにちは。
『あなたにもわかる相対性理論』読みました。
初めて理系の本を読んだのですが、
大変、わかりやすくかつ、面白かった!

何故、茂木さんが『偶有性』と
言ってるのか、なんとなくわかりました。

実存論、存在論的リアリティを踏まえた上で、
量子力学のことを知ってみたいと思いました。

話は変わりますが、
自分はグラフィックデザインをやってるのですが、

http://tenplusone.inax.co.jp/monthly/2009/09/post.php

『10+1』web saiteの9月号にのってる、
アルゴリズム的思考、パターンランゲージという考え方が
新しい何かをデザインできるヒントになりそうだなと思いました。

それでは。

投稿: | 2009/10/19 11:57:32

東京ではサイン会ないんですか?茂木さんに会いたーいヽ(´▽`)/


投稿: | 2009/10/19 0:31:05

茂木先生こんばんわ

初めてお便りいたします。私は幼い頃から色々と変わった経験をして育ちました
最近では、ふと自分の脳がビジョンで見え右脳と左脳の間にある空間が何かと気になり、調べたりしています(笑)

先日の紀尾井ホールでの講演はとても楽しく、茂木先生の独特な空間に時空さえ感じさせていただきました

何だか意味のわからない文章になってきましたが(笑)近日中に茂木先生の講演予定がありましたら教えて頂けないでしょうか

沖縄在住ですが、都合を合わせて飛んで行きます!!!!!
お忙しい中、誠に恐縮です

どうぞ宜しくお願い致します

投稿: | 2009/10/19 0:01:23

茂木さん、この本は「10の項目」から成り立っているのですね。
今、カスタマーの感想のところを読んだら、「面白そう~!」って
思いました。

確かに「時間の遅れ」だとか、よくわからない感覚はあります。
購入して、読んでみたいと思いました!
私にも理解できる様な内容なのかなー?!(笑)

では。

投稿: | 2009/10/18 23:57:22

相対性理論。
はじめはこの小難しそうな響きに
敬遠がちだったのですが、カントを読んだら
本筋はわかったような気がしました。

先生、次はカントもお願いします。

投稿: | 2009/10/18 22:25:08

たくさんの方々が 「あなたにもわかる相対性理論」を
手に取って いただける と いいですね。
ぜひ 小中学校の図書館にあったら いいなぁ と思います。

投稿: | 2009/10/18 22:18:20

茂木健一郎様
アインシュタイン力をじっくり読ませていただきます。
素晴らしいお仲間と素晴らしい本が仕上がったのですね。

投稿: Yoshiko.T | 2009/10/18 21:38:58

涙がじんわりでちゃいました。

投稿: | 2009/10/18 20:08:05

「あなたにもわかる相対性理論」を読ませていただきました。

アインシュタインの、真理への崇高な愛と、不屈の反骨精神、そして別け隔てのない平等の気性に、科学者として生きる人のあるべき姿を見た思いであった。

真に『科学する』とは、役に立つか立たないか分からないけれども、非常に難しい問題に向き合い、暗闘を続けること…アインシュタインの科学するその姿勢は、まさにその暗闘なのだ。

真の科学者の行く手には、大きな暗黒が、口を開けて待っている。大は宇宙から、小は素粒子の世界まで。

アインシュタインはその暗黒に立ち向かって、本気で考え続けたことで、宇宙の精緻さを見出し、相対性理論を導き出したのだ。

そこに大きな消えざる感動があるのだ、ということを、本書は偉大な天才の生きざまを通して教えてくれているのだと思った。

アインシュタインと茂木さんに共通するのは、上に書いた真理への愛と、容易に分からぬ事象の謎への解明における、真摯な態度なのではないか。

その真摯な態度が、科学への深い感動を生み出し、科学への真髄に触れる大きな歓びを齎してくれる。

また科学界のみならず、如何なるジャンルの人達にも、アインシュタインの生きかたが、さまざまな示唆を齎してくれるだろう。

そういう意味でも、この本は、希望と感動を見失いがちな現代日本の人々にとって、希望と感動の光となることだろう…。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/10/18 19:19:44

茂木先生 こんにちわ

>私の知る限り、科学の真実を理解した時、とりわけ、それを、数学的形式の本質においてつかんだ時ほどの深い感動はない

ウーン・・・このセンテンス とっても魅惑的ですねぇ~

以前 読んで
こんな感じなのかなだった
相対性理論についての本たちがありましたが
また あらたにチャレンジしてみようかな?と 思ってしまいますよ?
・・ 志賀直哉さん(← まだ食いつき中)と 併読しようかなぁ

投稿: | 2009/10/18 17:58:40

茂木さん、おはようございます!!
こんなに大プッシュなのですから
読まぬ訳にはいきません!
わたしもアインシュタインの精神とその理論に触れて
叫んでみたいです!!(♯^^♯)!⋆
そして、揺るがぬ元気を手に入れたいです!!

ふふ。
たった今、買って帰ってきたのです(♯^^♯)♫✦
楽しみ!!

茂木さん、お忙しいですね。
お体大事になさってくださいね。

投稿: | 2009/10/18 17:54:52

茂木さん、Hello♪(^-^)新刊♪「あなたにもわかる相対性理論」♪発売おめでとうございます♪この本買います♪(笑)(^o^)у私は♪理科とか好きです♪高1の時♪たしか生物の時間が楽しくて♪5段階評価で5を♪もらっていました♪(^o^)уCO2とか♪記号みたいのを覚えるのが楽しかったです♪だけど高2になってから先生が変わり♪ある日♪隣の子が教科書忘れちゃったからごめんねm(__)m見せて♪という事で♪机をつけての勉強中♪その子が小声でボールペンかわいいね♪ありがとう♪とか少しおしゃべりしてしまった所を先生が見ていたみたいでいきなりイスを持ってL(==;)」凄い怒った感じで、私達の前に来て投げてきたのです(;^_^A当たりませんでしたがその後、私の机だけひっくり返されて前を向いていたのが横向きになってしまいました(笑)2クラス一緒に勉強していて、いつも聞いてない子達がたまたま後ろに座っていたので、何時もここら辺がうるさいんだよとか言って怒られました( ̄▽ ̄;)でも♪それはそれで♪茂木さんの本を読んで楽しみます(^o^)уところで、茂木さん♪ロイヤルホストに?♪(笑)(^.^)因みに私は毎月1回♪ルノアールにいきます♪(笑)それで2年前位に1度♪用があって行った時♪店を出た所が♪若干段差があるのに気が付いた時にはもう遅く皆が見てる中こけました(笑)(^.^)来月は5日♪中央東口から歩いて行くのですが♪(笑)まだ一人では行った事がありません(笑)(^.^)いつか必ず♪サイン会とか何かで茂木さんに会いに行きたいです♪(笑)(^3^)それでは茂木さん、また今度です。

投稿: | 2009/10/18 17:44:45

茂木健一郎様
はい!
茂木さんがアインシュタインを愛していらっしゃるのだと
思い、『アインシュタインの世界』ー物理学の革命ー
L.インフェルト著 武谷三男 篠原正瑛訳を読み始めた
ことがあったのですが、読み続けられなかったのです。
科学の感動を知る、茂木さんだから大丈夫なのですね!
と思わせてくださって、ありがとうございます。

投稿: Yoshiko.T | 2009/10/18 10:49:11

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