白洲信哉になった
ロンドン滞在最終日は、
大英博物館のバックヤードを見る。
日本部門のTimothy Clarkさんが、
Study Roomやbackyardを見せて
下さった。
Printの収蔵庫、閲覧室を見る。
デュラーなどもあるとのこと。
大変立派である。
平山郁夫さんが寄贈した
修復室、Hiryama Studioを見る。
Senior Conservatorの杉山恵助さんが、
お仕事のことなどいろいろと
ご説明下さった。
Grand Courtにて、白昼の
シャンパンを飲みながら
白洲信哉と
今回の経験を振り返る。
昼食は飲茶。
引き続き話し続ける。
Knightsbridge high streetにある
新立昭夫さんのスタジオを
訪れ、デザインのプロセスに
ついて話を伺う。
近くの気持ちの良いパブで
ビターを飲む。
「やっぱりこのあたりはいいね」
と信哉。
私はコンピュータを出して
「野良電波」がないかどうか
チェックした。
残念ながら、使えるWiFiは周囲にはなかった。
「その無線というのは、どうやって
やるんですか?」
と信哉。
新立さんが、「ロンドンには、USBに差して、
pay as you goで使える無線LANが
あります」と説明した。
納得しない信哉。
「でも、そのUSBというのと、
無線LANというのは別でしょ。」
「いや、USBであることと、
無線LANであることは独立
しています。USBに差したもの自体が、
無線LANの機器になっている
ということはあるでしょ。」と私。
信哉は納得しない。
「うそだ。USBというのは、線で
つなげるんでしょ、それは、無線とは
違うんじゃないですか。」
白洲信哉は、ロンドンにコンピュータを
持ってきてはいるんだけれども、
ホテルで無線LANの使い方が
わからないので、ブログを更新して
いない。
「でもね、原稿は一応書いたんですよ。
それを携帯で撮って送って、
打ち直してくれと言ったら、
それはさすがに勘弁してくれと
先方が言ってきた。」
「ん?」
と太田真三さんが反応する。
「つまり、携帯で写真を撮って、
それを携帯メールで送ったということ
ですか?」
「それはかえってすごい!」
と渡辺倫明さん。
「いっそのこと、そのJPG fileを
そのままブログに載せてしまえば
良かったんじゃないですか?」
と私。
「ん? JPGって何ですか?」
と信哉。
「画像ですよ。画像。」
「ん? あっ、そうか。画像か。」
ビールは1パイントずつじゃなくて、
ハーフ・パイントずつ飲むのが
いい、と言いながら、
そのハーフ・パイントを、信哉は
もう数回繰り返していた。
「もういいですよ。その無線というのは
どうせ使えないから。使えるところに
いったら、まとめて送りますよ。」
と開き直る信哉。
信哉が「えっ?!」と言って、
顔を見上げる、その調子が
心地良く、ナイツブリッジの
午後が過ぎていく。
残念ながら、私だけ空港に
向かう時間になる。
さようなら。
心残りを置いて、仲間たちに
別れをつげた。
ヒースロー空港第三ターミナル。
ラウンジでこれを書いている。
デジカメの画像を取り込む
コードを預け荷物の中に入れてしまったので、
一時的に、
「えっ? 何? 写真をアップする?
どうやって?」の白洲信哉になった。
もう少ししたら飛行機が出ます。
みなさんごきげんよう。
9月 2, 2009 at 02:29 午前 | Permalink
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NHK爆笑問題の「ニッポンの教養」、
今回は大学ではなく、
教授ではないが、教授と呼ばれる、
音楽家・坂本龍一との鼎談である。 [続きを読む]
受信: 2009/09/02 10:21:28
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コメント
茂木健一郎さま
先週の日曜日
茅ヶ崎の沖磯で磯屋さんの、こませバケツを海に落とした日のことです
ウキの浮力を3Bという軽いウキにて荒波の中
メジナの小さいのが上顎にハリ掛かりして釣れ、上顎に掛かるのは仕掛けが入っていなく浮いていて、その結果、小さいメジナ、それも上顎にハリ
1号という重めのウキ浮力のウキに替えて、でしたら良いのでは、と分かっていましたが
試していかないと、3Bのウキでと今後のために
考えていたのは斜めに仕掛けが入っていくことだけでした。重めのウキ浮力でも荒波の時は、それが良くとも、でも試してみたく3Bで、どうなの?と
ここだけの話ですが
ゴールデンウイークに徳島の小松島一文字沖堤で掛けた手応えあるのは全て、ウキから下が斜めに入っていた時にでしたので
茅ヶ崎の沖磯で釣りの時は、その斜めに仕掛けが入っていく練習のつもりなんです
また、そうでないと、なにも考えなく、ただ釣れた!では
私はお魚釣り、ベテランではないので
しかし、なんで、このお魚が釣れたのか?は
自分の心では説明が自分なりには出来てです
それがお魚釣りの自分なりに進歩につながると
考えなくでは、同じことを繰り返しですものね。
投稿: 高木英樹 | 2009/09/03 0:19:22
旅の終わりの楽しさと寂しさと混ざった
ご様子が伝わってきました。
美しいものをたくさんご覧になり、
美味しいものと楽しい会話を満喫なさって、
良かったですね。
素敵なロンドンの旅のアルバムを
拝見できて、嬉しかったです。
私も楽しく眺めて浸りました。
ありがとうございます。
投稿: 発展途上人 | 2009/09/02 20:57:09
大好きな友人達との酒場での濃密な時間は、二度同じ条件は起こりえない奇跡の交錯。
その分終わってゆく時間と場所が切なくて。
それを超えよう、超えようとして人間は色んな発明をして。
本のなかもそう。もしかしたらどこかに時間を超えた次元があるのかもしれませんね。
投稿: 〆張酉 | 2009/09/02 13:00:11
おかえりなさい 茂木サン 。 懐かしくも 楽しいロンドンのご旅行でしたね。
私は 澄みきった秋空の中
ポルノグラフティ の 「愛が呼ぶほうへ」 と いう曲を 聞きながら
静かに 秋を 感じております。
音楽も 聞いただけで
イメージが 浮かび
情感が伝わります。
素敵な クオリア です。
投稿: サラリン | 2009/09/02 12:32:53
茂木さん、おはようございます!
すばらしい滞在になりましたね、
たくさん写真をUPしてくださってありがとうございます。
右を見よ、素敵です。
ロンドンの空、美しいですね。
ビッグ・ベンの様子にも感動します。
写真をずっと何回も眺めました。
パブやレストランでの食事、とても美味しそうです!!
それに友人との楽しい会話。
芸術鑑賞。
What wonderful dayz...!
おかえりなさい~!♫♪!
投稿: 光嶋夏輝 | 2009/09/02 8:04:42
茂木健一郎様
慣れている旅とはいえどうかどうか休養をとられながら
ご帰国されておられますように。
投稿: Yoshiko.T | 2009/09/02 8:00:42
いよいよ、ご帰国ですね・・・。
白洲さんとの語らいの最後がネットを廻る面白い談義になるとは、ほのぼのした空気が伝わってきます。
今回の旅も、茂木さんにとっては充実した濃いものとなったことかと思われます。
御無事で帰られんことを!
投稿: 銀鏡反応 | 2009/09/02 5:57:54