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2009/08/18

文明の星時間 「サスケ」の想像力

サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ

『文明の星時間』 第77回 「サスケ」の想像力

サンデー毎日 2009年8月30日号

http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 

抜粋

 『カムイ伝』、『カムイ外伝』、『サスケ』などの作品で知られる白土三平さんの想像力は卓越している。子供の頃、漫画を読んだり、『サスケ』のアニメを夢中になって見た。
 白土さんの描く世界は、過酷である。人間たちが、厳しい現実の中で懸命に生きている。愛すべき登場人物も、重大な運命に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。殺された後に、その不義を糾す正義の制度も、社会の安定もない。
 そんな中、「サスケ」のような子供が、けなげに生きている。サスケは、母を失いながらも、父親と旅を続ける。数々の出会いがあり、別れがある。サスケの目の前で、たくさんの人が死ぬ。それでもサスケはめげない。付け狙う者の影に脅かされながらも、サスケはいつも前向きに生きている。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。


8月 18, 2009 at 09:00 午前 |

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コメント

『サスケ』!
ぼくが最も愛する白土マンガです!!

過酷な中での「可愛さ」。
素晴らしいですね。

投稿: 長谷邦夫 | 2009/08/19 12:31:47

茂木先生 こんにちわ

ウフフ(^-^ ) 私 実は 日本に来てスグ白土さんのサスケを読み
7巻以降の あまりな展開にショックを受け
白土さんに ファンレターのような半分抗議にも似たような手紙を出しました

『子供向けの漫画なのに あの展開は悲しすぎます』と。

デモ 後になって 理解したのでした。世の中の不条理のようなものを

投稿: LI | 2009/08/18 20:54:01

サヴァイヴァル・ドラマを見た一番古い記憶、それは…当時TVアニメで放映されていた『サスケ』だったような気がする。自分がまだ4歳くらいのことだったかと、うっすらとながら、記憶している。その時は、そんなストーリーなどはよくわからないまま、TVを見ていた。

まだ幼い子供ながら、過酷な運命に負けず、懸命に生き抜くサスケ。中学時代に再放送されたものを見ると、なるほど、彼はあらゆる出会いと別れ、人の死と巡り合いながら、健気に生きているのだと改めて知った。

白土三平の忍者ものは『忍者武芸帳』など戦乱に明け暮れた世が舞台なのが多かったように思う。『赤目』などは、過酷な取り立てに苦しむ農民達の嘆きと怒り、『忍者武芸帳』『カムイ伝』などは、この瞬間に敵に襲われ、そこで尽きるかもしれない人生を懸命にサヴァイヴァルしながら“影の世界”を生き抜く忍者たちのさまを、生き生きと描いている。

彼がこういう傑作を、次々と世に問うことが出来たのも、ひとつにはやはり、茂木さんのいうように、歴史の舞台に対する豊かなる想像力が働いていたのだろう。

それが、白土作品の創造の大きな源になっていたに違いない。


戦国の群雄割拠の時代、忍者たちは勿論、庶民たちはどんな思いで生きていたか、またどんな暮らしをしてきたのか、というところにまで思いを廻らしながら、白土さんは作品を書いていたのではなかろうか。

いまは戦国以上に、乱世と言われている割には、何故か電脳・電網文明の恩恵に守られて“サヴァイヴァルする”ことを忘れがちな私達にとって、戦国時代のサヴァイヴァルの厳しいありかたに、心を廻らし、襟を正すのもいいものだ。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/08/18 20:35:56

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