2009/08/31
文明の星時間 コジマの献身
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第79回 コジマの献身
サンデー毎日 2009年9月13日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
先日、生まれて初めてバイロイト音楽祭に赴いた。
ドイツのフランンケン地方に位置する人口7万余りの街、バイロイト。毎年夏になると愛好者たちが集まってくる。19世紀に活躍したドイツの作曲家、リヒャルト・ワグナーが自作を理想的な条件で演奏することを目的に始めたバイロイト音楽祭。ワグナー自身によって、1876年に第一回が開かれた。
その際上演されたのは、ワグナー畢生の大作『ニーベルングの指輪』四部作。長年にわたってワグナーのパトロンだったバイエルン国王、ルートヴィッヒ二世や、ブラジル皇帝も出席した。聴衆の中には、哲学者のフリードリッヒ・ニーチェもいた。
以来、130年以上にわたって続いてきた音楽祭。バイロイトは、世界のワグナー好きにとっての「聖地」となった。かの地での新しい演出に基づくオペラの上演は、世界的に報道される一つの「事件」となっている。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。

8月 31, 2009 at 03:46 午後 | Permalink
|
| トラックバック (1)
「脳のトリセツ」 与党脳と野党脳
茂木健一郎 連載 「脳のトリセツ」
第九回 与党脳と野党脳
週刊ポスト 2009年9月11日号
8月 31, 2009 at 03:43 午後 | Permalink
|
| トラックバック (1)
London Photos
London Photos
The Qualia Journal
31st August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 31, 2009 at 03:40 午後 | Permalink
|
| トラックバック (0)
Change has come to Japan
Change has come to Japan
The Qualia Journal
31st August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 31, 2009 at 09:36 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
民主主義
森ビルが始めた
ヘリコプターのサービスで
成田空港に向かう。
http://www.mcas.co.jp/ja/
成田空港近くのヘリポートまで
わずか15分。
すばらしい景色を堪能した。
ロンドンに着く。
飛行機の中で、日本時間午後11時を
迎える。
降りてすぐに携帯電話の電源を入れて、
ニュースをチェックした。
政権交代。
大学院の時、若林健之先生と
話していて、
「日本は民主主義か」という話題に
なった。
「選挙をして、自民党の政権が
ずっと続いているんだから、
民主主義なんでしょう」と答えると、
若林先生が、「茂木君が日本を
民主主義と思うなんて、意外だなあ」
と言われた。
本当は、民主主義と思っていた
わけではなかった。
政権交代しない民主主義なんて、
名前だけだ。
いわゆる55年体制が出来たのは
考えてみると私が生まれる7年前。
たった10ヶ月の下野を除いては、
ずっと一つの党が政権を担当してきた。
諸外国から見たら、どんなに奇妙に
映っていたことだろう。
ロンドンで、白洲信哉と合流。
「やっとまともになりましたね。」
と信哉。
「でも、進歩した、というよりも、
なって当然の状態にずいぶん遅れて
なった、というだけの話で、
すべてはこれからですよ」と信哉。
政権交代が実現した選挙の夜、
信哉とロンドンにいるというのも
何かの因縁だろう。
マカランをロックで飲む。
信哉は、へべれけになりながらも、
まともなことを言い続けた。
さすがなり。
8月 31, 2009 at 09:34 午前 | Permalink
|
| トラックバック (5)
2009/08/30
Born to be wild
Born to be wild
The Qualia Journal
30th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 30, 2009 at 07:29 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
ロンドンへ
NHK出版地下のスタジオで、
デジタル・ラジオの収録。
ゲストは漫画家の荒木飛呂彦さん。
『ジョジョの奇妙な冒険』
で絶大な人気を誇る荒木さん。
「ジョジョ立ち」と呼ばれる
体をひねった独特のポーズは、イタリア
旅行でルネッサンスの彫像を見て
構想したという。
「最近の若者の中には、あの
ポーズを実際にとってしまう人が
いるんですよ。」と荒木さん。
人間が体を変形する時、それは
多くの場合、何かの準備である。
たとえば、跳躍する時、球を
投げようとする時、何かを取ろうと
する時。
そのような時は、行為者の「志向性」
の内容はすぐにわかる。
一方、「ジョジョ立ち」は、その「ひねり」
や「ため」が、特定の目的へと
つなげにくい。
だからこそ、「形而上学的」
匂いが漂うのであろう。

荒木飛呂彦さん、ディレクターの樺沢泉さんと。
フジテレビ。
『ベストハウス123』
脳スペシャルの収録。
朝倉千代子さん、笠原裕明さん、
舟木商策さんでロケを重ねて作ってきた
番組が、スタジオ収録でゴールした。
数日前から、「万が一インフルエンザ
か何かにかかって倒れたらどうしよう」
と用心してきた。
たくさんのゲストがいるし、
何しろ私が説明しなければ
スタジオが成立しないし、
倒れればリスケジュールは
ほとんど不可能である。
しかも、放送日は9月9日と
決まっている。
無事、スタジオ収録を終えて、
控え室に帰ってきた時には、
本当にほっとした。
笠原さん、朝倉さんと記念撮影。
舟木さんは、まだスタジオで飛び回っている。

朝倉千代子さん、笠原裕明さんと。
今日から、水曜まで2泊でロンドンへ。
小学館の「西洋絵画の巨匠」
の取材、それに白洲信哉さんとの対談。
信哉さんからメールをいただいた。
Date: Sat, 29 Aug 2009
From: SHIRASU
To: 茂木 健一郎
茂木さん
こんばんは。
明日から宜しくお願い致します。
小生はパリ経由
到着は遅くなります。
ではロンドンで!
白洲信哉
8月 30, 2009 at 07:28 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/29
赤塚不二夫展
赤塚不二夫展
参加中。
(2009年8月26日〜9月7日、
松屋銀座8階大催事場)

(Photo by Tomio Takizawa)
8月 29, 2009 at 07:57 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
Bats
Bats
The Qualia Journal
29th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 29, 2009 at 07:42 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
山
仕事が一山越え、
もう一山、二山。
とりわけ、大きな仕事を
始める時には、本居宣長の言う
「うひ山ぶみ」
を思い出す。
いかならむうひ山ぶみのあさごろも
浅きすそ野のしるべばかりも
Because it's there.
と言ったのはジョージ・マロリーだが、
山はどうして人を惹き付けるのだろう。
小学校5年、6年の頃、
「山と山渓社」の山の本を買ってきて、
机の橫に置いていつも眺めていた。
人を寄せ付けない峻厳なピーク。
そのイメージに惹き付けられた。
空気はだんだん薄くなってきて、
冷たくもなってくる。
何よりも、生きものの気配が薄い。
あの頃、ピッケルをもって
雪の斜面に立つ男たちの体験を
想像して震撼していた。
山にはいろいろあって、
宣長の言う「うひ山ぶみ」は奈良
あたりの温厚な山であろう。
氷雪に閉ざされた山も、
照葉樹林に覆われた山も、
その高みによって、人を
惹き付ける。
何よりも、眺望を得られるのである。
8月 29, 2009 at 07:41 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/28
ホテルオークラ講演会
8月 28, 2009 at 07:02 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
A strange comradeship
A strange comradeship
The Qualia Journal
28th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 28, 2009 at 06:59 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
温かく懐かしい雰囲気
大学の試験やレポートの採点をしたり、
論文の文章を推敲したり。
やらなければならないことさまざま。
へんな夢を見た。
野球をしているのだけれども、
どうしても右肩が上がらない。
球を投げようと思っても、
力が入らず、ぽとりと落ちてしまう。
仕方がないので、斜め下の方から投げる。
しかも、相手に、そのようなトラブルを
抱えていることを悟られないように。
目が覚めて、昔のことを
思い出した。
あれは大学生くらいの時だったろうか。
公園で友達と草野球をやっていると、
パキスタンから来た二人の青年が、
俺たちもまぜてくれと言ってきた。
いいよ、と言ってボールを投げると、
まともに球が返ってこない。
女の子が「いくわよ」、とやるように、
腕が十分に伸びきらないで、
前に出る。
それで、「ボールを投げる」
という単純に見える身体運動もまた、
一つの「文化」なのだということを
悟った。
夢というのは不思議なもので、
河合隼雄さんと対談した時に、
本人にとっては盲点のようなもの
だから解釈できない、と教えて
いただいた。
むしろ、本人から離れた、
訓練を積んだカウンセラーの方が
見える。
ところが、親しくなると、盲点を
共有するようになるから、
また見えなくなってくるのだと
言われた。
(『こころと脳の対話』)
河合隼雄先生のあの温かく
懐かしい雰囲気を思い出したので、
夢を見たことは良いことだった。
8月 28, 2009 at 06:59 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/27
スタジオ観覧者募集 (本日締め切り)
NHK
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
では、「脳活用法スペシャル」として、
「脳のアンチエイジング」を特集します。
最新の脳科学の知見を織り込みつつ、
番組に登場したプロたちの生き方、仕事
ぶりから、いつまでも脳を若々しく
保つ方法を探ります。
2009年9月24日(木)に
行われるスタジオ収録の観覧者を大募集
します。
「脳活用法スペシャル」恒例の、
「質問千本ノック!」も実施。
スタジオの皆さんからの、脳に関する
どんな質問にもお答えします。
すべてがオンエアされるわけではありません。
丁々発止、息詰まるやりとりのすべてを
見ることができるのは、スタジオにいらした
方だけです。
生の住吉美紀さんにも会えますよ!
これは必見。スタジオに来るしかない!
詳細、ご応募方法は下記まで。
今すぐクリック!
詳細、応募方法
すみきち&スタッフ ブログ

8月 27, 2009 at 10:03 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
『脳の饗宴』
青土社より、『脳の饗宴』が発売中です。
『現代思想』に掲載された
ハードな論考の他、
港千尋、池上高志、郡司ペギオ幸夫、
渡辺政隆、布施英利という錚々たる
「畏友」たちとのガチンコの対談も収録。
鋼鉄の知がぶつかり合う音がする
はずであります。

『脳の饗宴』 まえがき
いかに生きるか。これは、誰にとっても難しいことである。
昨今の日本のような状況の下では、困難はいや増す。従来信じてきた組織や制度、文化が揺らぐ。何を頼って生きていけばよいのか、わからない。そのような時代の中で、結局、自分を寄り掛からせることができるのは、自分の脳。だからこそ、脳に対する関心が高まったいるのだろう。
確かに、自分の脳を鍛え、その潜在能力を活かすことができれば、これほど心強いことはない。知性は、生きる上での支えとなってくれると同時に、新しい技術を生み出し、産業の種ともなる。すぐれた思考は、大きな経済的見返りももたらすこともある。総合的な意味で、脳の力を向上させることは、今日において最も確実な生きる上での投資である。
マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツは、高校の時からプログラムの会社を立ち上げていた。スタンフォード大学の大学院生だったブリンとペイジが書いた一編の論文は、検索エンジン「グーグル」の元となった。中国やインドといった、膨大な人口と才能を抱える大国の台頭により、知の国際競争は激しさを増している。
そんな中、日本だけが蚊帳の外に置かれ続けてよいはずがない。
経済では、「失われた10年」、「失われた20年」とも言われる停滞が続いてきた日本。知の世界でもまた、「わかりやすさ」だけが強調され、より高みを目指す向上心が失われ、日本の常識は世界の非常識と化している。
出版や地上波テレビといったメディアでは、売り上げ部数や視聴率といった経済効率を追求する中で、芯があって深みのある内容をじっくりと作り込むという制作者側の矜恃が、その存続を脅かされている。インターネットの世界でも日本は弛緩している。公共財としての知をウェブ上に誰でもアクセスできるかたちで構築しようという気概が見られる英語圏に比べて、日本語のウェブはお気楽で、暇つぶしで、「ネタ」的な内容にアクセスが集中する傾向がある。
私の専門である脳科学の一般のメディアでの伝えられ方も同じこと。安易に「○○をすると脳が活性化する」という惹句が使われ、その背後にある複雑で豊かな神経回路の働きに対する関心は一向に喚起されない。一体、日本人は、自分たちの脳がそんなに単純で、底の浅いものだと本当に思っているのだろうか。
脳の可能性は無限である。インド生まれの天才数学者、ラマヌジャンは、自分でもその証明を把握しないままに、数々の独創的な公式を思いついた。相対性理論を創ったアインシュタインは、ティーンエイジャーの時にふと抱いた「光を光の速度で追いかけたらどうなるか」という疑問について粘り強く考え続けた。明治の文豪、夏目漱石は、高校や大学の授業を担当する忙しい日々の中、短い時間で『吾輩は猫である』、『坊っちゃん』のような初期の傑作群を書き上げた。
人間の脳は、高みを目指し、負荷をかけ、鍛錬すればするほどその輝きを増す。かつて、日本の高度経済成長期に熱心に読まれたスポ根漫画『巨人の星』にも描かれていた、生きる上での叡智。日本人は、いつの間にか、小学生ですら知っていた自己向上の気概を忘れてしまっているようだ。
脳に手遅れはない。何歳になっても、脳に適切な負荷をかけ、それなりの習慣を身につければ脳の働きを向上させることができる。その先にあるのは、無限の歓びである。この地上での、短い人生。自分の脳の可能性を、大いに引き出してあげようではないか。
脳を輝かせるのに必要なのは、本質的な問題についてじっくりと考えること。それから、真剣なる対話。それぞれの世界で思考を積み重ねてきた、尊敬できる友人たちとの対話こそ、脳にとってのもっとも麗しい修練場である。
かつて、古代ギリシャのプラトンは師ソクラテスへの敬慕の思いを込めて対話編『饗宴』を書いた。『脳の饗宴』には、私たちの脳の尽きることのない可能性への気付きのきっかけがあふれていると信じる。
単行本化に当たっては、青土社の今岡雅依子さんがご尽力下さった。彼女の精魂込めたお仕事によって、饗宴の響きがふくよかに広がったように思う。
茂木健一郎
8月 27, 2009 at 09:11 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
『熱帯の夢』刊行記念サイン会
『熱帯の夢』刊行記念サイン会
『熱帯の夢』
の刊行を記念して、
9月6日(日)に丸善・丸の内本店で、
サイン会を行ないます。
みなさま、ぜひおいでください!
詳しくは、丸善HPにて!
詳細

8月 27, 2009 at 09:09 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
Forerunner of logic
Forerunner of logic
The Qualia Journal
27th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 27, 2009 at 09:08 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
至近距離でのテニスのラリー
ソニーコンピュータサイエンス研究所。
Brutusの取材。
プレーステーションや、
PSP。
人間の生にとっての、
遊びの意義について。
チェゴヤで、昼食。
脳科学研究グループの会合、The Brain Club。
9月からロンドンのUniversity College London
のSemir Zekiのところに留学する
石津智大くんが来て、研究について
talkしてくれる。
顔知覚、物知覚、身体知覚の差異に
ついて、MEGでの計測。
Journal Club。
石川哲朗が、
A Key Role for Similarity in Vicarious Reward
を紹介。
他人が成功するのを見て、自分も歓びを
感じる。
その際、その他人のtraitsをあらかじめ
manipulateしておいて、likeability, similarity
を変化させる。
すると、likeability, similarityと、
ventral striatum や anterior cingulate cortexの
活動の相関が出る。
ぼくは、likeabilityがpublicなtraitとして
設定されている点に興味を持った。
そこには一種の「多数決」原理が
働くはずである。socially undesirableな
traitを持っていると自他ともに認識している
人から見たら、どのような結果になるか。
田辺史子は、
Spontaneous confabulators fail to suppress currently irrelevant memory traces
を紹介。
Spontaneous confabulatorsは、事実では
ない作話をしてしまう症例だが、
その話の内容の多くは、過去の
実体験に基づいている。
Spontaneous confabulatorsに記憶
課題をさせたところ、
今現在の課題にかかわる記憶
以外の、irrelevantな事項についての
記憶を適切にsuppressすることが
できないことがわかった。
田辺史子は、面白い論文を
選んでくるセンスが良い。
世田谷のレモンスタジオにて、
「さんまのまんま」の収録。
明石家さんまさんと、一時間
たっぷり話す。
すぐ橫に相手を見ながら
疾走を続ける感覚。
あるいは、至近距離でのテニスの
ラリー。
実に刺激的な時間でありました。
8月 27, 2009 at 09:08 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/26
クオリア再構築
わが友、島田雅彦もなかなかに暑い夏を過ごしているようである。
島田雅彦、茂木健一郎
『クオリア再構築』(集英社)
島田雅彦と日本や世界を旅し、対談し、
お互いにその経験から得た「クオリア」を小作品
によって「再構築」した本です。
『熱帯の夢』で昆虫写真家としての鮮烈なるデビューを飾った
中野義樹さんによる力強い写真も満載。
担当の岸尾昌子さんの丹精込めた
エディトリアルで、素晴らしい本になりました。
夏の盛りが秋へと移りゆく今日この頃、
島田雅彦との丁々発止の本書は、必読です!

「あとがき」
茂木健一郎
どのような時代においても、最も価値があるのは希少な資源である。金やダイヤモンドが高価な理由は、それがこの地上にあまり存在しないからに他ならない。どんなに美しいものでも、無尽蔵にあれば人々はそれを当たり前だと思って通り過ぎてしまう。
インターネットの時代になり、情報はあふれるようになった。最先端の論文でも、多くの場合無料で手に入るようになった。映像や音楽などの作品も、その一部ないしは全てに触れることが次第に可能になってきた。このような傾向は、今後もますます強まっていくことだろう。
変化を特徴付けるものは、「流通性」の促進である。多くの情報が、ますます低いコストで、地球中を駆けめぐるグローバリズムの時代。文化的遺伝子(「ミーム」)は世界各地からかき集められ、混ぜられ、新しい表象を生み出す。
かつては観念に過ぎなかった「地球人」による「地球文化」のリアリティが身近に感じられる時代になった。
このような潮流の中で、逆説的に価値が増して来ているものは、容易には流通しにくいものではないか。たとえば、生命。生命活動自体をネット上で流通させることはできない。私たち一人ひとりの命は、「今、ここ」という旧来の制約の中にあり続けるしかない。あるいは、それぞれの地域に根ざした文化的伝統。言葉や記号で表現し得ない「暗黙知」の部分は、ネット上の流通に便利な形でコード化することができない。「ほら、これ」と手にのせて差し出すことのできないもの。0と1の記号列では表現し得ないものにどのように向き合うかが、グローバルな情報化時代の一大命題となりつつある。
作家の島田雅彦氏と『クオリア再構築』の旅を続ける中で、二人で探し求めてきたものはまさに容易に流通し得ないものであったと感じる。言い換えれば関係性の中に生成されるしかないもの。脳の神経細胞のネットワークの関係性の中から生み出される「クオリア」。意識の中におけるその生々しい実感は、この世の内なるコード化し得ないものの象徴であると同時に、「今、ここ」の流通し得ない現実に対する、私たちの認識のアンテナとなるものである。
思えば、それは、たたら製鉄に取り組んだ長い夜、熱せられた粗鋼の中にかいま見た純粋なる黄金の輝きの中にあった。あるいは、焼き畑の斜面を歩き回った時に嗅いだ、古代の残り香の中にあった。世界各地の耳慣れぬ言葉の響きの中に、隣国で対面したシャーマンの女性の表情の中にあった。遙かな旅を経て、自らの限りある生命と身体をもって寄り添うことでしか体感できなかったものたち。簡単には流通しないからこそ、記憶の中で次第に育っていくこれらのものたちの面影はいとおしい。
情報の過剰流動性が加速する時代の中で、「今、ここ」からは動かしがたいものの象徴としてのクオリアを再構築すること。それは、また、私たち自身の生命をよみがえらせることにもつながると信じる。寄り添った分だけ、私たちの精神は深みを増す。私と島田雅彦氏は、「クオリア再構築」を試みる中でそのことを確信したように思う。
それはまた、脳の生理に適ったことでもある。脳の中には植物的な過程がある。神経細胞がお互いに結びつきあって生み出す認識のネットワーク。その形成と更新は、ゆったりとしか進まないプロセスである。太陽を受け、水を吸い、風に吹かれる中で、次第に根を張り、葉っぱを繁らせる植物の営み。脳も変わることはない。精神の更新作用を育むためには、長い時間をかけてじっくりと寄り添うしかない。
自分が愛する文脈を見きわめ、その中にできるだけ長い時間身を置くこと。そのことによって、適った養分が注がれ、太陽光線が投射され、精神という植物が大きく育つ。そのような旅のパートナーとして、島田雅彦氏を得たことはまさに僥倖だった。
「今、ここ」に寄り添うことには、覚悟がいることだろう。しかし、それ以外の道はありそうにもない。たたら製鉄の炉の中で、どっしりと動かなかったもの。しかし、内部の分子運動が加速化するにつれて、次第に光が発せられ、やがてはこの世で最も輝かしい黄金色となった。精神のダイナミクスも同じことである。やたらと器用に踊ることだけが、生命の活気を表すわけではない。流通しなくても良い。外から見れば、動いていないと思われてもかまわない。ただ、内なる切実さに寄り添うこと。脳の中のネットワークで、目に見えない華麗なパス回しを続けること。目の前の人の気配を感じ、全身で受け止めること。島田雅彦氏との「クオリア再構築」に流れていた時間は、そのような滋味にあふれていた。
本書が成るに当たっては、集英社の岸尾昌子氏の並々ならぬご尽力があった。「クオリア再構築」というコンセプト自体が、岸尾氏と島田氏によるものです。また、生き生きとした現場感を捉える素晴らしい写真の数々は、中野義樹氏によるものである。お二人に心からの感謝を表する。
8月 26, 2009 at 09:26 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
文明の星時間 柿右衛門の沈黙
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第78回 柿右衛門の沈黙
サンデー毎日 2009年9月6日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
「沈黙の美しさ」というものが、この世には確かにある。決して、言挙げをしない。あれこれと説明しない。それでもなお、確実に伝わってはいる。
歴史というものの実体を考えると、自らはもの言わぬものたちに寄り添うことの必要性を痛感させられる。最近、佐賀県有田市にある柿右衛門窯を訪問した。それをきっかけとして、もの言わぬものの美について考えたくなったのである。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。

8月 26, 2009 at 08:33 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
脳のトリセツ 誰でも頭がよくなる
茂木健一郎 連載 「脳のトリセツ」
第八回 誰でも頭がよくなる
週刊ポスト 2009年9月4日号
http://www.weeklypost.com/090904jp/index.html
8月 26, 2009 at 08:32 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
The power of small things
The power of small things
The Qualia Journal
26th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 26, 2009 at 08:31 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
受け身に相当するもの
高校の時、一年だけ
授業で柔道をした。
相手と向き合って、柔道着を
つかみ、あれこれと技を掛け合う。
こんな風に、と思っていても
うまくいくはずもなく、
がちゃがちゃとやっている
うちに時間が経ってしまう。
ただ、一度だけ、
「巴投げ」が面白いように
すかっと決まったことがあった。
以来、自分の得意技は
巴投げだと思っていた。
16の夏の、たった一度の
出来事に過ぎなかったのだけれども。
東京に戻る。
ANAホテルにて、
田原総一朗さんと対談。
田原さんの元気の理由は何か。
「それはね、自由だからですよ。」
と田原さん。
組織を作ることにも、マネジメント
することにも興味を持ったことが
ないという田原さん。
田原さんの「言葉の差し挟み」
の技術は素晴らしい。
ストンというタイミングで
言葉を差し挟んでくる。
それで、会話のダイナミクスが
増倍する。
渋谷NHK。
デジタルラジオの収録。
一本目。
マギー審司さんと、
手品について、笑いについて、
人を楽しませるということについて
話す。
お師匠さんのマギー司郎さんは、
あまり練習をしないのだという。
「だってさ、お前、練習したら、
初々しさがなくなってしまうでしょ」
と言うのだという。
マギー司郎さんの舞台は、寄席で
何回か見たことがある。
前にも見たことのあるネタなのに、
登場しただけで、笑いが込み上げて
きてしまう。
あの独特の天然ボケの背後には、
かなりの天才的芸談があると
見た。
マギー審司さんの「耳がでっかくなっちゃった」
を間近で見る。
やっぱり面白い。
「お前ね、一つ良いネタができたら、
10年は食えるよ」と師匠さんに
言われたのだという。
何が持ちネタになるか。偶然の要素も
大きい。
芸の道は奥深い。
2本目。
内藤礼さんと作品のつくりかたに
ついて話す。
詳しくは、英語のブログの方に
書こうと思います。
人と対話することは、柔道に
似ている。
柔道の授業が始まったとき、
まずは受け身の練習からした。
重力に逆らわず、うまく倒れる。
会話においても、受け身に相当する
ものはあるように思う。
そんなことを考えたのも、田原総一朗さんの
切り込みがあったからではないか。

田原総一朗さんと。(photo by Atsushi Sasaki)
8月 26, 2009 at 08:31 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/25
プロフェッショナル 仕事の流儀 逆境スペシャル
プロフェッショナル 仕事の流儀
みな、どん底から はい上がってきた
~逆境からの復活スペシャル~
夏休みを終えて、
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
放送再開!
再開第一回は、「逆境からの復活スペシャル」。
どんなに苦しくても、だいじょうぶ。
そこから這い上がった時、
まばゆい光明が見えてくる。
心底から力がわいてくる、
必見のスペシャル。

NHK総合
2009年8月25日(火)22:00〜22:49
http://www.nhk.or.jp/professional/
すみきち&スタッフブログ
8月 25, 2009 at 06:01 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
That crucial water flow
That crucial water flow
The Qualia Journal
25th August 2009
8月 25, 2009 at 05:56 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
一体だった
朝起きて見た琵琶湖の水の
表情はやわらかく、そして
惹き込まれる深みがあった。
針江地区の「川端」(かばた)を
見る。
針江生水の郷委員会 会長の
山川悟さんが案内下さる。
家の台所にわき水が取り入れられ、
鯉が泳いでいる。
西瓜が冷やしてあったり、
野菜が蓄えられていたり。
残飯を、鯉が食べてくれる。
大きな、元気な鯉たち。
田中三五郎さんのお話をうかがった。
ソラノネ
にて、
石津大輔さんがつくったお米を
釜炊きしたものをいただく。
ブルーベリー畑に入って、
直接摘んで食べた。
創業者の岩田康子さんのお話を
うかがう。
なぜ、里山に入ると、
心の奥底からわきあがって
くるような歓びがあるのか。
かつては一体だった。しかし、
分離された。
一種の母胎回帰のような
運動。
来島修志さんと湖西線で京都に出る。
大阪へ。
大阪大学GCOE認知脳の
キックオフミーティングで
お話させていただく。
「偶有性」(contingency)を通して、
脳にかかわるさまざまを見直して
いきたい。
浅田稔さん、石黒浩さんと
ディスカッション。
藤田一郎さんに久しぶりに会った。
うれしかった。
8月 25, 2009 at 05:40 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/24
認知脳シンポジウム
8月 24, 2009 at 09:31 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
Something in us becomes dumb
Something in us becomes dumb
24th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 24, 2009 at 08:11 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
里山
シンポジウムのために、滋賀県高島市へ。
里山の美しい場所。
琵琶湖の表情に魅せられる。
米原から湖北を通っている時、
上田洋平さんが言った。
「このあたりから西岸を見ると、
夕暮れ時にとてもきれいなので、
西方浄土だと思っていたのです。
ですから、このあたりのお金持ちは、
亡くなると、船で漕ぎ出して、
西岸に渡って埋葬されたのです。」
シンポジウム会場で、
サントリーの輿水精一さん、
日高敏隆先生にお目にかかることが
できた。
遠藤周作さんが愛した琵琶湖畔の
宿、孤狸庵。
日高先生、細馬宏通さん、上田さん、
来島修志さんたちと楽しく懇談する。
ちょうど、地蔵盆が行われていた。
汲めども尽きぬもの。
里山の魅力に浸り、
束の間の美しき時を過ごす。

輿水精一さんと。



8月 24, 2009 at 07:54 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/23
『脳で旅する日本のクオリア』
『脳で旅する日本のクオリア』
好評発売中。

あとがき
茂木健一郎
こうして、日本のクオリアを巡る旅を振り返った時に浮かび上がってくるのは、日本という小さな島国の中にさえ顕れる、世界の多様性に対する感謝と驚嘆の思いである。
「日本」は、決してひとまとまりでも、定まったものでもない。日本列島は地理的に海に囲まれ、歴史的にもある程度独立した経緯をたどってきたことは事実である。しかし、日本は決して外界に対して閉ざされてきたのではない。「鎖国」政策をとっていた江戸時代でさえ、日本は閉ざされていなかった。周囲の世界との行き来はあった。
そもそも、固有のクオリアというものは、閉鎖系ではなく開放系の中にこそ育まれるもの。私たちはついつい「名前」をつけてそれで安心してしまいがちである。「日本」というラベルをつけると、そこに動かしがたい実体があるように思ってしまう。しかし、実際には違う。「日本」は揺れ動き続けている。オリジナリティと影響、感化と受容の関係は微妙で豊かである。私たちが「日本固有」のものと思っていることの多くが、外国からの影響の下に育まれた。逆に、この島国からも、諸外国に多くのものが「贈りもの」として差し出されてきている。
開かれていてこそ、ある文化圏は豊かに育まれる。一人の人間も同じこと。成長し続けるためには、自分が何ものであるかと決めつけてはいけない。組織や肩書きで人間を評価するなど愚かなこと。脳は本来完成型のない「オープン・エンド」な性質を持っている。私たちは一生学び続けることができるはずである。それにもかかわらず、自らのすばらしい可能性を閉ざしてしまう例が散見されるのは、自分が何ものであるか決めつけて、それで安心してしまうからである。
「日本のクオリア」も、開かれ続けることで育っていく。自分が生まれ育った文化を愛するのは人間の自然な心情である。やたらと外国かぶれになっても仕方がない。西洋の事物を自分なりに吸収し、解釈しても、本家の人たちはそれほどの感謝をしてくれない。彼が本当に求めているのは、日本人ならではの、独特の世界観と感性に基づく何らかの「贈りもの」であろう。例えば、「寿司」の文化が世界各地でいかに歓迎されているかを見よ。
しかし、自分たちの歴史や文化に誇りを持つということと、頑なになることとは違う。伝統というものは、それが生きたものである以上、必ず私たち自身の生命の更新プロセスと共鳴しなければならない。生命の本質は、開かれているということである。変化し続けるということである。容易には予想ができない偶有性を抱きしめるということである。そのことさえわかっていれば、「日本のクオリア」を愛することは、決して頑なな拝外主義者への道ではない。
そもそも、クオリアには、決して言葉では記述しきれない機微がある。たとえば、白神山地の森の風情。あの手つかずの大叢林に包まれた時に胸を去来するものの中には、どんなにそのことを考えても尽くすことのできない不思議な感触があった。
あるいは、熊本で訪れた「トンカラリン」の遺跡。暗く狭い道を通り、やがて陽光のあふれる外界へと出る。自分が誕生した道筋を再体験し、死と再生を言祝ぐかのような設いのあの場所が、一体誰によってどのような思いでつくられたのか。現代において、そのような場所はあるのか。考え思うほどに、自分の中でざわざわと動き出すものが感じられる。
クオリアは、その場で記号のように消費され尽くされるものではない。寄り添えば寄り添うほどに、多くの恵みが得られる文脈。自分の生命がゆっくりと育まれる現場。たとえ、もはや変化をせず、永遠に留まりゆくもののように思えても、そこには必ずや私たちの生命の変化を促す契機がある。
そもそも、私たちの脳の変化はゆっくりとしている。私たちはむろん動物で、ある程度の速さで運動しなければ用が足りない。身体の運動を制御する神経細胞のネットワークも、それなりの速度で作用するように設計されている。
その一方で、私たちが世界とのかかわりの中から学び、育ち、やがて面目を一変させるそのプロセスは、大変ゆっくりしている。それは、植物が伸びるありさまに似ている。私たちの脳の中の神経細胞どうしをつなぐ「シナプス」と呼ばれる部位がどのように強化され、あるいは減じるか。その変化は、日々の経験が積み上げられ、整理される中で、ゆったりと変化していく。
自分が愛すべきクオリアを見つけたら、それに寄り添うべきである。そのことで、脳の生理作用のテンポが私たちに恵みをもたらしてくれる。例えば、千利休が創始した茶の湯の芸術性に縁があって感染し、深く心を動かされたとしよう。たとえ、世界全体から見たら茶室の中で起こることは小さく見えたとしても、実際にはそこに無限の奥行きがある。どれほど真剣に寄り添っても、営為努力しても、試行錯誤を重ねたとしても極めることのできない宇宙がそこにある。だからこそ、「道」というものができる。クオリアは、無限の航路の水先案内人に過ぎない。
見いだせ、愛しめ、そして捧げよ。古の人は、地平線が限られた世界に暮らしていただけにかえって、インターネットの情報の海に翻弄されてあれこれと移り気な現代人よりもよほど、生命ののびしろの本質に通じていた。
閉ざしてはいけない。「日本のクオリア」を開かれたものとしてとらえることは絶対に必要である。しかし、それは、必ずしも「諸外国との交流を通して」といったお題目においてのみ把握されるべきものではない。たとえ物理的には日本に留まっていたとしても、その限られた空間の中に、無限のヴァリアエーションがあり、成長の余地がある。そもそも、クオリアの空間はこの現実のそれとは独立している。敢えて言えば古代ギリシャのプラトンが言うところの「イデア界」に通じている。だからこそ、日本のクオリアに沈潜する時、私たちはすでに日本という地理的限定を超え始めている。入り口は「日本」にあるかもしれない。しかし、その狭い入り口から達することができるのは、世界よりも私たちの頭の中よりも広い内的宇宙である。
クオリアを魂の成長のきっかけとすること。旅を続けるうちに私の心の中にあったのは、そのことだけだった。むろんそれは、世界についてあれこれと考える理屈とも無縁ではない。論理と感性は分離していると考えがちだが、理想的な場合に両者は融合する。すぐれた芸術作品は、ロジックと感受性の結婚の奇跡を示す。
日本のあちらこちらを旅しながら、私は、自分の内側の科学者としての論理と、一生活者としての感性が融合して渾然一体となる奇跡に、何度も立ち会うことになった。その現場での出来事のあれこれが、この一冊の本の中に記録されている。
クオリアとは不思議なもので、実際にその場所に行かなければ感触が得られない。どれほど情報を集め、写真を見て、映像を眺めても、その空間に包まれてみなければ、立ち上げることができない。
その場所に立った時、自分の内側にどのようなクオリアが感じられるか。自分という楽器が、どんな調べを奏でるか。魂がどんなふうに共鳴するか。そのような自分のありようを見つめることは、旅をすることの最大のよろこびである。
クオリアを受容すること。そのことが、旅をすることの最大の意義となる。そして、クオリアと出会うためには、自らの生命が震え、周囲と交感し、それがやがて意識の中で定着されるという一連の過程が必要となる。
本書は、小学館の雑誌「和樂」に連載された「日本のクオリアを旅する」を中心に、日本のクオリアを巡るさまざまを書き綴った文章を集めたものである。単行本化にあたって、文章の一部を修正、加筆した。
連載「日本のクオリアを旅する」は、編集者でライターの橋本麻里さんが毎回行き先を選定し、旅程その他をアレンジして下さった。橋本さんの広い知識と鋭い感性、そして何よりも対象に対する深い愛のあるお仕事がなければ、私はここで出会ったものたちに遭遇することはできなかったろう。ここに、橋本さんに心からの感謝を捧げる。
また、「和樂」掲載にかかわる編集のさまざまは、編集部の渡辺倫明さんにお世話になった。渡辺さんの、いつもにこにこと笑顔を絶やさない姿勢に、どれほど慰められたかわからない。旅先で酒を酌み交わす友人としても、渡辺さんにはとてもお世話になった。本書に挿入された写真家の浅井広美さんによる作品も、渡辺さんのセレクションによるものである。ここに深謝する。
最後に、本書を手にとって下さった読者の皆様へ。私が訪れた日本各地の現場にいつか皆さんも旅をして、現地に行かねば感じられぬ「クオリア」に向き合う時間の恵みもたれんことを、著者として心から祈念いたします。
2009年5月 東京にて 茂木健一郎
8月 23, 2009 at 08:26 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
週刊 西洋絵画の巨匠
小学館 週刊 西洋絵画の巨匠
最新刊 第28巻 「ボス」発売中
連載エッセーより抜粋
ボスの『快楽の園』の絵が好きだと公言していた若き日々。時が流れ、すべてを白日の下にあえて曝す必要はないのだと学んだ。春の日差しに照らされたチューリップのような優美な人の中にも、無意識の魔物はいる。だからこそ、人間は愛おしい。正統も異端もなく、中心や周縁もない。絵画史上のさまざまを経由してボスに回帰した時、そこにはかつて見えなかった、人間どうしの温情の根底となるものが描かれていることに気付く。
http://www.shogakukan.co.jp/w_seiyoukaiga/
8月 23, 2009 at 08:22 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
Freedom to work
Freedom to work
23rd August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 23, 2009 at 06:11 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
激闘
時代の進捗とともに、
技術や習慣は変わっていく。
どんどん新しいものを試して
みたらいいと思う。
それとともに、時に、
what is essentially humanな
参照軸に戻って、
自分たちに起こっていることを
振りかえってみる必要が
あるだろう。
分散と集中と。
分かれていくそのさまざまな
要素を、ぐいと引き戻す
その間合いが大切と感じる。
山の上ホテル。姜尚中さんと
対談。
漱石の文学。青春について。
惑うこと。
自分を成り立たせている
社会的擬制に自覚的であること。
麹町の日本テレビ。
「高校生クイズ」の決勝戦。
激闘。
青春とは、つまり、
それが最終的にどのような意味を
持つかどうかにかかわらず、
自分がこうと決めたことに
全力投球して燃え尽きることだろう。
目的とは、つまりは先端に
ぶらぶらと下がっている幻に
過ぎない。
そんなことは誰にもわからぬ。
判らぬからこそ、一生懸命になるのだ。
菊川怜さんと、いっしょに計算問題を解いた。
8月 23, 2009 at 05:53 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/22
Shock discovery
Shock discovery
22nd August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 22, 2009 at 08:42 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
一般化されてはじめて
日本IBMで、フェローの
浅川智恵子さんにお目にかかる。
浅川さんは、中学生の時の事故が
原因で失明し、
大学の英文科を出た後、
コンピュータ技術に
興味を持って勉強し始めた。
誰でも情報に触れられるよう
ようにユニヴァーサル・アクセス
の技術を研究する浅川さん。
お話していて、みんなの
問題なのだと気付かされた。
目が見えない人が、
ウェブページを音声化して
理解しようとする時、
関係のない情報が多すぎる。
リンクや、項目や、雑多な情報を
経過しないと、本質的な情報に
至らない。
視覚ならば、ある程度並列的に
検索して、その結果要点だけを
見ればよいと思うかもしれない。
しかし、聴覚は、基本的に
逐次的に読み取らなければならない
から、そのようなわけにいかない。
現状のインターネットの低いSN比が
障害となるのだ。
なるほどと思ったのは、スパム。
私のところには、今、意味のある
メールの20倍くらいのスパムがくる。
パターン認識で、意味のあるメールを
見分けて拾う。
ところが、浅川さんの場合には、音声読み上げで
一つひとつタイトルを確認するしかない。
「一秒くらいで、勘でわかりますけれども」
と浅川さん。
しかし、たとえばAbout last nightのような
紛らわしいメールの場合はやはり困るだろう。
いかにエッセンシャルな情報を
磨き、SN比を上げるか。
視覚障がい者にとっての問題が、
ネットにアクセスする時のみんなの
問題に一般化される。
一般化されてはじめて、問題の本質が
見えてくる。
フジテレビお台場スタジオ。
「イケタク」SP。
春風亭小朝師匠の話術と見識に
感銘を受けた。
すばらしい収録だった、と
朝倉千代子さんに言うと、
神原孝さん がキャスティングから
すべて作ったとのこと。
ここにもひとり、目利きの「職人」がいる。
8月 22, 2009 at 08:41 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/21
The true roots
The true roots
21st August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 21, 2009 at 08:32 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
根っこ
8月 21, 2009 at 08:32 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
最凶コンビ
朝、公園の森の中を走っていても、
セミの声が盛りを迎えている。
盛夏。
やがて、ひんやりとした空気に、
はっと気付いて秋の訪れを
知るのだろう。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』の
収録。
漫画家の井上雄彦さんが
ゲスト。
天才の創造性の秘密。
本質的な、とてもよいお話が
うかがえた。
大いに心を動かされた。
本物は、みんないい人。
井上雄彦さんは、本物だった。
終了後、日経BPの渡辺和博さんと
話していると、
NHK出版の大場旦が
やってきた。
「ふふふふふ。今度、この高井と
タッグを組むことになったんですよ。」
と大場旦。
隣りの高井健太郎さんが、
ニコニコ笑っている。
「久しぶりに追い込みますよ〜。
ちゃんと、時間を頂きます。
取材の場には、なんと、私も
同席しますよ。
原稿を書いてもらいます。
それでもって、すっきりとして
年末のおじさん温泉に行きましょう。」
NHK出版に、最強コンビならぬ、
最凶コンビが誕生した。
月夜の晩ばかりとは限らぬ。
小心者くらいでちょうど良い。
渡辺和博さんが笑っている。

NHK出版の「最凶コンビ」。
高井健太郎さん、大場旦

渡辺和博さん、高井健太郎さん、大場旦。
井上雄彦さんと夕食をとりながら
懇談。
締め切りがあるというので、井上
さんは先に帰られた。
心からの感謝をこめて、お見送りする。
有吉伸人さん、今回の担当
ディレクターの荒川格さん、
それに金丸宗由カメラマン
とよしなしごとを話した。
「ぼくは英語ができなくてね」
と有吉さん。
「どれくらいできないか、というと、
NHKの入局試験で、
「ヤキトリ」というのが出て、
何て訳したらいいかわからないから、
一生懸命考えて、ファイヤー・バード
と書いたのです。」
「ファイヤー・バード」と書いて、
見事合格した有吉伸人さん。
その日のメニューには、残念ながら
ヤキトリはなかった。

荒川格ディレクターと金丸宗由カメラマン

有吉伸人チーフプロデューサー
外に出てみると、不思議で、もう
秋の気配がしている。
夜の底から先に忍び込んでいたの
である。
8月 21, 2009 at 08:31 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/20
I did not even dream
I did not even dream
20th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 20, 2009 at 07:46 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
夏
連日動き回っている
ことから来る何とはなしの
疲れ、けだるさ、
そして大気のどこか甘い
高温。
強い日差し。風の表情。
「夏」であることが頂点に
達したような、そんな一日だった。
少年の日の夏の思い出は、
鮮烈なクオリアに満ちている。
朝、日が出た直後に
河川敷の「カッパの国」
にいって、周囲の木を蹴って、
クワガタを落とした。
小さな足だから、そんなに
力も入らないが、カカトを踏ん張って、
精一杯の衝撃を樹幹に与えよう
とした。
樹液を吸っていたクワガタたちは、
ガサッと落ちると、あわてて、
それぞれの隠れ家に入り込もうと
する。
消えてしまう前に、
すかさずとらえる。
ガシガシと、クワを動かして
抗議するその振動が、
指先に「生命」というものを
教えてくれた。
それが「夏」だった。
すっかり大人というものに
なってしまったらしい今では、
何が「夏」であることを支えて
くれているのだろう。
8月 20, 2009 at 07:44 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
2009/08/19
Colors
Colors
19th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 19, 2009 at 08:14 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
海老蔵さん
NHK。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のうちあわせ。
しばらくぶり。
有吉伸人さんが、久しぶりに
白いフリスクを食べた。
ここのところ、黒ばっかりだったのである。
住吉美紀さん(すみきち)も、
山口佐知子さん(さっちん)も、
久しぶりにあったクラスメイトのよう。
担当は、荒川格ディレクター。
自らビデオをかまえて撮影し、
宮崎駿さんの創造の秘密に迫るなど、
「NHKのマイケル・ムーア」
とも呼ばれる荒川さんの撮って
きたVTRはやはり素晴らしかった。
細田美和子さん、
「へっへっへっ」の粟田賢さんと
打ち合わせ。
新橋演舞場。
市川海老蔵さん、
市川團十郎さんらが出演する
『石川五右衛門』
を見る。
先日対談で海老蔵さんにお目にかかった
時は、台本をまだ検討中だった。
そこから、どのような魔法が
かかったのだろう。
すばらしい出来。
團十郎さんとの親子のからみは
大いに見せた。
また、花道での六法は、
文字通りイキの良いエビのようで、
ぴちぴちと跳ね、しなやかにしなり、
人間以外の何かになっていく
気配がした。
あっぱれあっぱれ。
実に、堪能しました。
五右衛門は、海老蔵さんの当たり役に
なるのではないかと思う。
終演後、楽屋に海老蔵さんを訪ねる。
海老蔵さんは、足にアイシングを
しながら、にっこりと笑っていた。
身体を張って芸術をしている。
その姿は美しい。
27日の千秋楽まで、どうぞ
お元気で。
8月 19, 2009 at 08:02 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
2009/08/18
And we follow the light.
And we follow the light.
18th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 18, 2009 at 09:16 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
『熱帯の夢』
集英社新書 ビジュアル版
『熱帯の夢』
熱帯で昆虫を追うことは、
子どもの時からの夢でした。
小学校時代から、その著書を
愛読した「あこがれの人」、
日高敏隆さんとともに、
コスタリカへと赴いた旅。
その旅行記が『熱帯の夢』です。
旅に同行した
中野義樹さんによる鮮烈なる写真が
満載。
すでに読んだ方からは、
「素晴らしい」
「感動した」と感想をいただいています。
ぜひ、お読みください。

amazon
8月 18, 2009 at 09:14 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
文明の星時間 「サスケ」の想像力
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第77回 「サスケ」の想像力
サンデー毎日 2009年8月30日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
『カムイ伝』、『カムイ外伝』、『サスケ』などの作品で知られる白土三平さんの想像力は卓越している。子供の頃、漫画を読んだり、『サスケ』のアニメを夢中になって見た。
白土さんの描く世界は、過酷である。人間たちが、厳しい現実の中で懸命に生きている。愛すべき登場人物も、重大な運命に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。殺された後に、その不義を糾す正義の制度も、社会の安定もない。
そんな中、「サスケ」のような子供が、けなげに生きている。サスケは、母を失いながらも、父親と旅を続ける。数々の出会いがあり、別れがある。サスケの目の前で、たくさんの人が死ぬ。それでもサスケはめげない。付け狙う者の影に脅かされながらも、サスケはいつも前向きに生きている。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。

8月 18, 2009 at 09:00 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
approach-avoidance conflict
成田から、品川へ。
ソニーコンピュータサイエンス研究所。
五反田のチェゴヤで、学生たちと
昼食。
ベネッセの中学生向け冊子の取材を
受ける。
The Brain Club。
星野英一が、味覚についての
レビューをする。
私は、
Keeping in Touch with
One's Self: Multisensory
Mechanisms of Self-Consciousness
の論文を検討。
続いて、関根崇泰が、
Blue or Red? Exploring the Effect of Color
on Cognitive Task Performances.
を紹介する。
関根の紹介した論文の中に、
approach、avoidanceの文言があったので、
久しぶりに、学生の時に読んだ
approach-avoidance conflict
のことを思い出した。
ドラマは、二つの異なるベクトルが
交錯して初めて生まれる。
精神の対位法が必要とされる
ゆえんであろう。
久しぶりに感じた日本の夏は、
すでに虫たちの音が似合う闇と
なっていた。
8月 18, 2009 at 08:48 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/17
Solace to the soul of a nation
Solace to the soul of a nation
17th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 17, 2009 at 11:08 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
ミュンヘン駅にて
時速220キロで疾走するインターシティ・エクスプレスの窓から、緑の沃野が見える。祝祭劇場の立つ「緑の丘」と、さほど変わらない光景。あの夕べ、劇場を囲む緑の広がりが特別なもののように思えたのは、やはりワグナーがその地を音楽祭が行われる場所と定めたという縁ゆえんだろう。
ドイツという国には、今も昔もずっとこんなにもふんだんに緑が広がっていて、そんな中で、ワグナーの自然やさまざまなものに対する感受性は育まれた。
芸術もまた、風土の果実であるはずだ。
21世紀を生きる私は、バイロイトを10時27分に出て、同じ日の12時40分にはもうミュンヘンに着いている。リヒャルト・ワグナーにとっては、もちろん、事はそんなに簡単ではなかった。ミュンヘンから、ニュルンベルクへ。そしてバイロイトへ。何日も何日も、馬車に揺られた旅は続いたことだろう。宿屋に泊まる算段もつけなければならない。旅装を解き、疲れを癒す。そんなリズムを繰り返す中で、リヒャルト・ワグナーの人生は育まれていった。
時代は変わった。そして、人々の経験も変わった。
周囲に次第に建物が増えてきた。時計を見ると、あと数分で予定の時刻である。
列車がミュンヘン中央駅に到着し、ドアが開いた瞬間、どこからか大きな歓声が聞こえてきた。
沢山の男たちが、声を合わせて気勢を上げている。
おそらく、サッカーか何かのファンたちが集まって声を出しているのだろう、とまでは推測できた。しかし、列車に沿ってプラットフォームを歩き、やがて目に入ってきた光景は、予想の範囲を超えていた。
ものものしい防護服に身を包み、警棒をもった男たちが、ずらりと並んでいる。黒い服を着た男たちの向こう側に、さらに一列、男たちが並んでいる。
昨日の『パルジファル』の二幕に出てきたナチスの兵隊たちが、舞台から飛び出したのか。そんな連想が浮かんだ。
しかし、そうではない。ここは、現代のドイツである。
一人ひとりのユニフォームには、大きく「ポリツァイ」と書かれている。秩序維持のために動員された警察官たち。
警察が作った二重の人垣に囲まれて大声を上げているのは、黄色いユニフォームを着た男たちだった。一人ひとり、持ち物のチェックを受けている。金属検出器のようなものを当てられている男たちもいる。
周囲を見渡すと、階段の上や、プラットフォームの上の数カ所から、警察官たちが男たちを撮影している。記録に収めて、何かトラブルがあった時には証拠として用いるのだろう。
武装警官たちの威圧感は大変なもの。虫一匹這い出ることもできそうもない。その勢いに気圧されそうになりながらも、興味を惹かれて、こわごわのぞき込む。
そうやって、人垣の向こうの黄色い人の群れを熱心に見ていると、青いシャツを着た若者が橫の方からふらふらと近づいてきた。
見ると、手にビール瓶を持っている。
「Look. Here you can see the fooligans from Dresden」
若者は英語で言った。少し、舌がもつれていた。悪いやつではなさそうだ。しかし、足下がふらついている。
「Oh, I see」
私は、若者にそう応えた。失礼ではない程度にその場に立ち続けた。そうやって、ゆっくりとビールの匂いから離れていった。
男たちは、列車に乗って、ドレスデンからミュンヘンへとやってきた。駅に到着し、ミュンヘン市街へと入る前に、プラットフォーム上で武装警官たちによって身体検査を受けているのだ。
日曜日。これから、サッカーの試合があるのだろう。
彼らは、悪名高きフーリガン。しかし、感心したのは、まさにそれゆえである。
彼らが上げている気勢は、見事なまでにリズムが合っていたのである。
プラットフォームの上に広がっているわけだから、声を出すにしても、三々五々、少し乱れながら続く、というのならばわかる。しかし、そうではなかった。声の出だしも、終わりも、まるで一つの生命体のように、完璧に揃っていた。
しかも、声を出さない時には、沈黙を守っているのである。
静寂と大音響のメリハリ。見事にそろった発声。誰かが合図をしている様子も見えない。社会の秩序を乱すはずのフーリガンたちが、一糸乱れず、素晴らしい秩序を見せている。
「フーリガンにしては、うまいじゃないか。」
こんなところにも、国民性が表れる。
「ドイツ人は、フーリガンといえども、秩序を守ることができるんだなあ」
そう考えると、何だかおかしかった。
思わず、昨日聴いたばかりのバイロイト祝祭劇場の合唱のクオリティの高さを思い出した。
ミュンヘン中駅に乗り込んだフーリガンたちと、ワグナーゆかりのバイロイト祝祭劇場の合唱団たちは、一つの秩序感覚でつながっている。
合唱がうまいフーリガンたちよ、どうか平和に、ドレスデン対ミュンヘンの試合を楽しんでくれたまえ!
すでに何人かは検査を切り抜けたようだ。黄色いユニフォームをまとい、刺青をむき出しにした男たちがいかつい格好で行き交う階段を下りると、ミュンヘン空港に向かうS8の列車に乗り込んだ。
8月 17, 2009 at 11:06 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
帰国
8月 17, 2009 at 11:06 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/16
ひどいかっこう
白州信哉さんの日記
(2009年8月15日付け)
に、こんなことが書いてあった。
____
茂木さんは今バイロイトでワーグナーを聞いている。僕もいつかバイロイト行きを果たしたい。あの「神々と黄昏」をみるには一週間いないとならないらしいが・・・・。いつもひどいかっこうの茂木さんだけど、ちゃんとすればちゃんと見えるということに驚いた。
____
驚かせてごめん。
それで、せっかく驚いてもらったのに
残念だが、また「ひどいかっこう」
に戻ります。
もう少ししたら鉄道に乗って
ミュンヘン空港に向かう。
みなさま、また「ひどいかっこう」
でお目にかかりましょう。
8月 16, 2009 at 03:40 午後 | Permalink
|
| トラックバック (0)
Booings and bravos
Booings and bravos
16th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 16, 2009 at 03:10 午後 | Permalink
|
| トラックバック (1)
振り返って見た祝祭劇場
バイロイト最後の日。
街中心にある
辺境伯歌劇場
に行く。
ヨーロッパでも数少ない現存のバロック・
オペラ・ハウス。
ワグナーは、劇場の大きさに惹かれて、
一時期、ここを祝祭劇場にしようと
検討した。
華麗な装飾の美しさに感銘を受けるとともに、
対してストイックなまでに簡素な
祝祭劇場の内装を思い起こし、
愛を感じる。

辺境伯歌劇場のプレート

辺境伯歌劇場内部

辺境伯歌劇場内部
川沿いの道を歩く。

川沿いの道
祝祭劇場へ上っていく道。
あちらこちらに、正装をした人たちが
歩いていくのが見える。
やがて、祝祭劇場が見えてきた。

祝祭劇場
今年は、これで
おしまい。
『パルジファル』。
ワグナー最後の作品。
ドイツの人々にとっての、
魂の探求のような演出。
幕間に、西日に照らされる祝祭劇場を見る。
さようなら、私はあなたたちの精神に
感染しました。

『パルジファル』幕間に。
辺境伯歌劇場を諦めたワグナーは、
郊外の緑の丘の上に祝祭劇場を
建設したのだった。
散歩を進めていくと、
ほど近いところに、
「緑の丘」(Grüner Hügel)と呼ばれていた
頃を忍ばせる風景が広がっていた。

『祝祭劇場』からほど近い緑の沃野
再び、祝祭劇場に戻る。
木の椅子に座る。ドアを締める音がする。
明かりが、すっと暗くなっていく。
やがて、夢の時間は終わった。
荷物を受け取る人が集う
クローク前で、鏡に向って
写真を撮る。

クローク前で。
駅への道を降りながら振り返って見た
祝祭劇場は、明々と輝いていた。

終演後。明々と輝く祝祭劇場。
8月 16, 2009 at 02:37 午後 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/15
Eternal solitude
Eternal solitude
15th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 15, 2009 at 04:48 午後 | Permalink
|
| トラックバック (0)
ピット
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
を聴く。
30年にわたってバイロイトで演奏してきた
真峰紀一郎さんのご厚意で、
オーケストラ・ピットに入る。
ヴァーンフリート荘へ。
リヒャルト・ワグナーとコジマ・ワグナーの
お墓に参る。
小さな誓いをする。










8月 15, 2009 at 04:24 午後 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/14
白洲スタイル
白洲信哉著
『白洲スタイル』(飛鳥新社)
が発売されています。
白洲信哉の生活スタイル、美意識は
どのように形成されたか。
白洲次郎さん、白洲正子さん、小林秀雄さんの
エピソードとともに、青年白洲信哉が
次第に自らの道を見つけていく、
その魂の探求の過程が描かれています。
白洲信哉自身の瞠目すべき言葉が散りばめられ
た本書。
鋭さと愛が同居した時に世界は
どれほど清新な顔を見せてくれるか、
改めて認識させられます。
そして、私と白洲信哉の対談も掲載されて
います。
この対談は、当事者が言うのも何ですが、
近来の傑作と言って良いのではないでしょうか。
白洲邸で心尽くしの酒肴でもてなされた、
という状況のなせるわざか、
まったく持って、お互いに言いたいことを
自由闊達に言ってしまっている。
「言い過ぎた!」と少し後悔をしていると
しても、それは青嵐のごときさわやかな
後悔であります。
この本は必読であると考えます。
みなさん、ぜひお読みください。

8月 14, 2009 at 06:24 午後 | Permalink
|
| トラックバック (4)
Tristan und Isolde
Tristan und Isolde
13th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 14, 2009 at 08:52 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
『トリスタンとイゾルデ』
2009年8月13日
バイロイトで『トリスタンとイゾルデ』
を聴いた。









8月 14, 2009 at 08:49 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/13
Repetition leads
Repetition leads
13th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 13, 2009 at 11:51 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
古典的なミュンヘンの夜
ミュンヘンに到着。
私が好きな街。
駅で、バイロイト行きの
電車のチケットを買い、
ワグナーの本を三冊入手した。
2009.8.13.
ブログとは何なのだろうと、
時々考える。
いろいろな側面があるだろうが、
一つには、言葉による、あるいは
写真と言葉による「アルバム」
としての意味があるのだろう。
野澤笑子さんからメールを
いただいた。
______
From: 野澤 笑子
To: Ken Mogi
Subject: お礼
Date: Thu, 13 Aug 2009
茂木さま
伊藤笑子、改め、野澤笑子です。
先日は、本当に、ありがとうございました。
とにかく、今は、「ありがとう」という言葉しか、思い浮かばず、
いつも以上に語彙が貧弱な自分を恥じるばかりですが、
心からお礼を申し上げたく、メールを差し上げました。
当日から日がたってしまい、お礼が遅くなり申し訳ない限りですが、
実は未だ余韻に浸っています。
茂木さんのくださった笑顔と、素敵なスピーチを思い出しています。
クオリア日記にも、たくさんの写真を載せてくださり、
とてもうれしかったです。ありがとうございます。
会社で見て、笑い、家に帰ってきて見て、また笑い、
……そんな毎日の繰り返しです。一生に一度くらい、いいですよね、
笑いすぎですが、ゆるしてください!
お盆休みで、今日から実家に帰省するのですが、
向こうでもまた家族と見て、笑いたいと思います。
本当に、ありがとうございました!!!
これからも、どうぞよろしくお願い致します
(3冊目のお仕事、楽しみにしています!)。
野澤笑子(自宅PCより)
________
野澤真一と、伊藤笑子さんの結婚式
当日の日記「幸せな一日」 は、今見てもすでに懐かしい
思いがあるのだから、10年後に見たら、
もっと懐かしく感じるのではないかと
思う。
私たちの人生は、二度と戻らぬ
一回性の連続である。
ミュンヘン中央駅近くのホテルに
荷物を置く。

ミュンヘン中央駅
大好きな旧市街へ。

旧市街への門
私の愛するアウスグティナーは、
店の外まで席が出ていて、
たくさんの人が時間を楽しんでいた。

アウグスティナーに集う人々
市庁舎の前を通る。仕掛け人形を見上げる。

ミュンヘン市庁舎
ダルマイヤーのウィンドウには、
冬のミュンヘンの気配があった。

ダルマイヤー

ダルマイヤーのウィンドウ
アウグスティナーには、冬の夜、
人通りもまばらな時に入るのが
好きだ。
国立劇場でオペラを見て。
それから、ダルマイヤーの橫を通り、
市役所を見上げながら
アウグスティナーに至る。
亢奮をビールで鎮めながら、
ゆったりと振り返る。
それが、私にとっての、
古典的なミュンヘンの夜。
国立劇場の姿を一目見て、それで
何かが満足して、引き返す。

国立劇場
今日はフランシスカナーにした。
プレッツェルを肴にビール。
プレッツェルの塩粒を、しげしげと
見る。

フランシスカナーのビール ヘレス。

大好きなプレッツェル。塩粒がたまらない。
それから、ヴィーナー・シュニツェル。
一人で食べていると、おかしなことばかり
考えて、
肉をビール瓶でとんとん延ばす、その
感覚をリフレインしていた。
もうそれで終わり。もともと、短い
夜にしようと思っていた。
明日はトリスタン。すべてを、
バイロイトの時間のために準備したい。
午前0時過ぎまで中央駅で
わあわあ歓声を上げていた若者たちの声も、
今はもう消えた。
朝まだ夜明け前に目が覚めた。
ブログを書き終えたらもう少し眠るつもり。
今日は、バイロイトでトリスタン。
8月 13, 2009 at 11:36 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
ミュンヘン
ミュンヘンに到着。
大好きな街の空気を吸う。
駅で、バイロイト行きの
電車のチケットを買い、
ワグナーの本を三冊入手した。
8月 13, 2009 at 02:24 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/12
脳のアンチエイジング スタジオ観覧者募集
NHK
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
では、「脳活用法スペシャル」として、
「脳のアンチエイジング」を特集します。
最新の脳科学の知見を織り込みつつ、
番組に登場したプロたちの生き方、仕事
ぶりから、いつまでも脳を若々しく
保つ方法を探ります。
2009年9月24日(木)に
行われるスタジオ収録の観覧者を大募集
します。
「脳活用法スペシャル」恒例の、
「質問千本ノック!」も実施。
スタジオの皆さんからの、脳に関する
どんな質問にもお答えします。
すべてがオンエアされるわけではありません。
丁々発止、息詰まるやりとりのすべてを
見ることができるのは、スタジオにいらした
方だけです。
生の住吉美紀さんにも会えますよ!
これは必見。スタジオに来るしかない!
詳細、ご応募方法は下記まで。
今すぐクリック!
詳細、応募方法
すみきち&スタッフ ブログ

8月 12, 2009 at 07:47 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
And there will be life
And there will be life
12th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 12, 2009 at 07:36 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
積分の計算
筑摩書房の増田健史さんから
メールをいただいた。
_____
From: 増田健史
To: "'Ken Mogi'"
Subject: 震源地(ちくま増田)
Date: Tue, 11 Aug 2009
茂木さま
今朝の地震で東名が崩落しましたが、
あれ、じつは僕の生まれ故郷のあたりなのです。
いまは静岡県牧之原市ですが、数年前までは榛原郡榛原町といって駿河湾と茶畑で有
名な牧之原大地に囲まれた長閑な土地で、亡くなった祖母が魚屋をやっていました。
毎年夏にはそこに大勢の従兄弟が集まって、日中は海水浴で暴れまくり、疲れ果てた
夜にはみんなで雑魚寝。
そうして、こんな大人になったわけです。
そのうち茂木さんがもう少し暇になったら、
抜群にうまい生しらすとモチ鰹を喰い
に、連れて行きたいなぁ。
旦先生とかも一緒にね。
それはそうと、先日はいろいろ失礼しました。
ただ、茂木さんの心意気、
めちゃくちゃ嬉しかったです。
どうか、存分に筆を揮ってくださいませ。
言うまでもありませんが、茂木さんは、
茂木さんのために魂の入った仕事をするだけ
で、他の誰のためでもありません。
とはいえ、けんいちろうさん、
恥をさらすようですが、
ちょっぴりHelp me!
また会って、いろいろやりましょうね。
株式会社 筑摩書房 編集局 第2編集室
増田 健史(Takeshi Masuda)
__________
昨日の地震からは、どうしても
東海地震を連想する。
もっとも、気象庁の発表によると、
直接の関係はないとのことである。
一瞬は、「これがそうか」と思った。
ついに来たか、と身構える気持ち。
何かに似ているな、と振り返って
いるうちに気付いた。
人間として避けられない老い、
病気、死。
いつかは来る、避けられないと
思いながら、実際に身体の
変調が来た時に、「これがそうか」
と思うのだろう。
プレートが滑り込み、限界に達して
弾ける。
岩盤の生理作用は、いつか訪れる
身体の崩壊に似ている。
「つひに行く 道とはかねて 聞きしかど
昨日今日とは 思はざりしを」
(在原業平)
地震で、mortalityについて
考える。
目黒の雅叙園。
MAQUIAの取材。
メイクアップアーティストの藤原美智子さんと
お話しした。
MAQUIAの島田綾子さんに、
島田・マニッシュ・綾子
というミドル・ネームができた。
「色紋付き」を着た。

「色紋付き」を着る。
麹町の日本テレビ。
「全国高等学校クイズ選手権」の一回戦。
数学の出題に触発された菊川怜さんが、
猛然と積分の計算を始めた。
菊川怜さんが、だだだだだだだんと
積分の計算をした夏。
8月 12, 2009 at 07:24 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/11
Expectations
Expectations
11th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 11, 2009 at 07:04 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
脳のトリセツ 気分で決まる総選挙
茂木健一郎 連載 「脳のトリセツ」
第七回 気分で決まる総選挙
週刊ポスト 2009年8月21日・28日号
http://www.weeklypost.com/090828jp/index.html
8月 11, 2009 at 06:51 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
文明の星時間 松阪の一夜
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第76回 松阪の一夜
サンデー毎日 2009年8月23日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
宣長が学者として成長する上で、偉大な国学者、賀茂真淵との出会いは大きかった。まだ30代前半だった宣長が、伊勢参拝の折りに松阪を訪れた賀茂真淵を宿に訪ね、直接教えを乞うたのは1763年5月25日。後に「松阪の一夜」として伝えられる出来事である。
戦前の教科書の多くには、佐々木信綱による「松阪の一夜」の文章が掲載されていたと聞く。子どもたちが知ることになった「魂のリレー」。宣長と賀茂真淵の会見の有りさまを思い描くと、生きることの楽しみ、学問することの歓びが自然に込みあげてくる。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中です。

8月 11, 2009 at 06:51 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
自由
地震で目が覚めた。
起こると、初期微動の長さを
感じ取って、そこから逆算して
震源地の距離を推定するクセが、
子どもの頃からできた。
そのまま、
コンビニに行ってマンゴーオレを
買った。
暑い夏の朝特有の、ひんやりの
愛おしさに。
講談社にて、
椿姫彩菜さん と対談。
椿姫さんは、とても素敵なネールアートを
していて、
そのキラキラに見とれていると、
「ネールが剥がれると、まるですっぴんのような
気がするのです」と言われた。
とても素直で、やさしい方だった。
引き続き講談社にて、
夏目漱石についての本の打ち合わせと議論。

講談社26階の会議室から見える風景。
西川浩史さんが、マエストロのごとく、
ライターの三浦愛美さん、石井綾子さんの
二人を「指揮」した。
私「西川さん、ラーメンの小池さんに似てい
ますね。」
西川さん「どうせたとえるならば、
もっといい人にたとえてくださいよ。」
三浦さん「ラーメンの小池さんだったら、
いいじゃないですか。」
西川さん「前は、南こうせつに似ている、
と言われたんだけどな。なんで、ここの
ところ、みんなにラーメンの小池さんに
似ていると言われるんだろう。」
茂木「実際似てますよ。」
西川さん「眼鏡取ろうかしら。」
茂木「ははは。眼鏡とったら、今度は
沢野ひとしさんに似ている。」

西川浩史氏

眼鏡をとると、沢野ひとしさんに似ている。

石井綾子氏

三浦愛美氏
ソニーコンピュータサイエンス研究所。
ハーバードビジネスレビュー日本版の
方々の取材。
脳科学研究グループの会合、The Brain Club。
恩蔵絢子さんが、eye contactのdurationに
ついての論文を紹介した。
東急BUNKAMURA。
山下洋輔さんと、対談。
会場に向かうと、なぜか、
NHKの池田由紀ディレクターが
いた。
「あれっ、池田さん、こんなところで
何をしているんですか?」
「バレエの
岩田守弘さん が、日本に
かえっていらして、これから会うのです。
ここで待ち合わせなのです。」
「えっ! ほんとうに! 会いたいなあ!」

池田由紀さん
しばらくして、岩田さんが表れた。
笑顔にも鍛え上げた肉体の勢いが乗る、
素敵な岩田さん。
山下洋輔さん、岩田守弘さんと話す。
岩田さん「ジャズとバレエは合うんですかね。」
山下さん「私が即興で弾くのに対して、岩田さんが
即興で踊って応えてくだされば、
だいじょうぶです!
身体の動かし方のレパートリーを
持っていらっしゃるでしょう。
それを、次はこれ、次はこれ、と繰り出して
くだされば良いのです。」
不思議な出会い。山下洋輔さんと、
岩田守弘さんの間に、「即興」
という卵がうまれる。



山下さんと対談。
「自由」について、思う存分話した。
山下さんが「いやあ、楽しかった。
次から次へと。もう、止まらなくて。」
と言って下さったように、出色の
出来だったと思う。

山下洋輔さんと。
学生時代からよく訪れて、大好きな
BUNKAMURA。
カフェ・ドゥマゴでシャンパンを飲む。
本当に自由闊達で、お話もうまい山下洋輔さん。
私の中で自由は進化し、展開し、そして
やがて花開く。
8月 11, 2009 at 06:46 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
2009/08/10
白洲信哉 茂木健一郎 トークショー
白洲信哉さんと、トークショー
をします。
白洲信哉さんと、カラヤンや白洲次郎、
美のこと、生命のこと、神のこと、
日本のこと、自分たちのことを
話したいと思います。
皆様、ぜひいらしてください!
2009年10月26日(月)
ザ・リッツ・カールトン東京 グランドボールルーム
詳細


8月 10, 2009 at 02:07 午後 | Permalink
|
| トラックバック (0)
Tears of onceness
Tears of onceness
10th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 10, 2009 at 08:01 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
幸せな一日
野澤真一が、
8月8日の日記
で、自分の生い立ちを振り返っていた。
人生の一回性を前に、しんみりとした
気分になったのだろう。
野澤真一と、伊藤笑子さんの結婚式。
会場に着くと、筑摩書房での伊藤笑子さんの
同僚である増田健史が、すでに「気合い」
を入れていた。

気合いを入れる増田健史
まずは、新郎新婦が羽織袴で登場する。

羽織袴で登場する野澤真一、伊藤笑子夫妻
野澤家、伊藤家のご両親も揃って、鏡割り。

鏡割り。
二人が「お色直し」に出かけている間に、
子供の頃からの写真が上映された。

野澤真一(子供)。妹と車に乗る。

伊藤笑子(子供)。一人で車に乗る。
お色直しを終えて、二人が出てくる。
増田健史が、うれしそうにしている。

お色直し。
「初めての共同作業」ということで、
ケーキカットが行われる。
遠くから見るその姿が、印象派の
絵のようである。

ケーキカット。
再び席に着いた二人。
花の気配に包まれる。

花に包まれる野澤真一と伊藤笑子さん

伊藤笑子さん
伊藤笑子さんの大学時代のゼミ仲間が、
エピソードを披露。
「ニセ笑子」も登場した。

ニセ笑子
研究室の仲間で、二人を囲んで祝福。
記念すべき一枚ができました。

研究室の仲間たち
二人の間を取り持つ上で大きな役割を
果たした電通の佐々木厚さんも、
お祝いする。

電通の佐々木厚さんと
一方の増田健史は、手をつかって何やら
アピールしていた。

手をつかってアピールする増田健史
その勢いで、筑摩書房の記念撮影から
タケちゃんはフレームアウトしてしまった。
本当は、近すぎて全員収められず、
一番右側にいた増田健史がはみ出てしまったのである。

筑摩書房の方々(増田健史は右側にはみ出ています)
花束贈呈。
伊藤笑子さんはもちろん、野澤真一までが
泣いている。
人は、真実に触れた時に涙を流すのだろう。
一回性の出来事。もう二度と、かえらない
日々。
ドアが一つ、バタンと閉じて、
自分の人生が一つ先のステップへと進んで
しまったというリアルな感触が、
強がりを言っている男にまでも
涙を流させる。

花束贈呈。
後には、二人がずっと座っていた
椅子が残された。

二人の椅子。
バーに行こうと、山の上ホテルへと
歩いていたら、突然、異様な気配がした。
地震。路上で、なすすべもなく立ち尽くした。
思えば、天変地異の前触れだったのだろう。
天変地異は、植田工の変化となって
顕れた。
「身体のプロポーションが変になって
しまったんですよ」と植田。
ハンプティ・ダンプティのような
体系を、惜しげもなく披露しながら、
植田はポーズを取った。
人生の一回性が花に包まれた日の
最後に見た光景は、
植田工のへんな格好だった。
幸せな一日の幕が下りた。



へんな格好をする植田工
8月 10, 2009 at 07:28 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/09
NHK saga
NHK saga
9th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 9, 2009 at 09:50 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
柿右衛門窯

佐賀空港から向かう道で見た緑
佐賀空港から西日に照らされる緑を
愛でた時から、
何だか知らないが神妙な気分だった。
有田に向かう車中で、母親に電話で
確認したら、小学校を過ごしたのは
佐賀の草場というところなのだという。
市内を走っている時、
「このあたりが草場です」
と言われたので、パチリと写真を
撮った。

佐賀市草場付近。
そう思えば、小さな母親が
飛び回っているような気もする。
今回の九州創発塾の期間中、
本当親切にいろいろして下さった
佐賀新聞社の中尾清一郎社長。
柿右衛門窯に
連れていって下さった。
有田で行われている分科会に
出席した後、道路で
すれ違ったのである。
以前から柿右衛門の濁し手
が好き。
白い地の上に描かれた草や花が
本当に愛らしい。
実見した柿右衛門窯は、
繊細な美しさに満ちた聖地
だった。
美しいものは、美しい場所で
つくられる。
休日で職人さんたちはいらっしゃら
なかったが、
隅々まで整頓され、掃除が行き届いた
仕事場は、それ自体が一つの芸術
作品のようだった。
裏側には見事な照葉樹林。
「一度も木が切られたことがない
森なのです。」と中尾さん。
クオリアは、そこに行って見なければ
わからぬ。
中尾さんは、柿右衛門窯のクオリアを
私にご紹介下さったのだろう。
案内して下さったのは、
柿右衛門窯相談役の酒井田正宏さん。
酒井田さんの語りに耳を澄ませて、
幸せな気分になってそれから、
外に出たら、美麗なハンミョウが
一匹、砂地の上に舞い降りるのが見えた。

柿右衛門窯にて

柿右衛門窯にて

柿右衛門窯にて

酒井田正宏さんと。(this photo by Atsushi Sasaki)

酒井田さんのお話に耳を傾ける。(this photo by A.S.)

酒井田さんと、窯の前で。(this photo by A.S.)
8月 9, 2009 at 09:22 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/08
Dragon
Dragon
8th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 8, 2009 at 07:59 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
写真
メモリースティックのアダプターを
持ってくるのを忘れたので、
困っていたら、
電通の佐々木厚さんが
写真を送ってくれた。
九州創発塾は、電通が
かかわっているのである。

佐賀新聞社長の中尾清一郎さん
がお気に入りの新中国料理の
「JOTAKI」にて。
本当に素晴らしい料理でした。

九州創発塾にて。

「書吟」を披露して下さった佐賀北高校書道部の
皆さんと。

中尾清一郎さんと
8月 8, 2009 at 06:49 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/07
El Sur
El Sur
7th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 7, 2009 at 07:09 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
西日に照らされた稲
メモリースティックから
データを取り込むアダプターを
持ってくるのを忘れた。
NHK。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の久しぶりの収録。
スペシャルとして、逆境からの
脱出法。
住吉美紀さんと、NHKの屋上で
立って話す。
なんだか、夏休みの登校日に
久しぶりに出会った級友の
ようで、照れくさい。
「九州創発塾」のため、佐賀へ。
佐賀へは何度か来ているけれども、
佐賀空港を使うのは初めてである。
折からの西日に照らされた
稲の緑が、あかあかと
光って、鮮やか。
佐賀新聞社長の中尾清一郎さんと懇談。
佐賀県知事の古川康さんも
いらして、知的で楽しい
会話のひとときとなった。
8月 7, 2009 at 07:09 午前 | Permalink
|
| トラックバック (2)
2009/08/06
Namelessness
Namelessness
6th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 6, 2009 at 08:45 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
季語
電通本社の下にある
アド・ミュージアム東京
にて、70年代、80年代の広告を見る。
日本が元気だった時代。
企画学芸室 室長で、学芸員の
坂口由之さんがいろいろと御教示
くださる。
坂口さんは江戸時代の広告事情にも
精通しているということで、
アド・ミュージアム内にも
たくさん史料があった。

坂口由之さんと、アド・ミュージアムにて。
山の上ホテル。
黛まどかさんと対談。
季語について。
結局、言葉を突きつめていくと
生命の問題につながっていく。
日本人は、四季を、春夏秋冬
という以上に細かく見ている。
同じように、私たちの命もまた、
不断の繊細な変化の連続である。
松尾芭蕉は『奥の細道』でみちのくの
旅に出た。
実際に地理的な移動をするかどうかに
かかわらず、私たちが生きるという
こと自体が、二度と繰り返さない
変化という旅の連続である。
春夏秋冬にこだわらない
人生の移り変わりについての季語があっても
良い。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の有吉伸人チーフ・プロデューサー、
山本出デスク、石田涼太郎ディレクターの
三人が打ち合わせのために
山の上ホテルへ。
黛まどかさん、有吉伸人さんとの
レアなスリーショット。

黛まどかさん、有吉伸人さんと。山の上ホテルにて。

有吉伸人さん

石田涼太郎さんと、山本出さん
杉並公会堂での講演会。
たくさんの聴衆の方々、いらしていただいて
ありがとうございました。
PHP研究所の方々との
打ち上げ。
焼き肉。
一冊終わって、打ち上げをしていると
思ったら、
横田紀彦さんは、もう次の本のゲラの
話をしている。
季節のように、人間の命は
巡りめぐっていく。
8月 6, 2009 at 07:57 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
2009/08/05
Sun, moon, mountains and water
Sun, moon, mountains and water
5th August 2009
The Qualia Journal
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 5, 2009 at 07:36 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
講演会
本日、『脳は0.1秒で恋をする』刊行記念
講演会が東京の杉並公会堂で
開かれます。
整理券は、PHP研究所のホームページに
あるように、書店で本を買うことで
入手することができます。
みなさま、ぜひおいで下さい。
茂木健一郎
詳細
8月 5, 2009 at 06:58 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
倫理観
「クオリア日記」を書き始めて、今年の
11月12日でちょうど10年になる。
1999年11月12日から、
2004年9月28日までは
掲示板で書いていて、2004年9月28
日以降このブログへと移動した。
移動することを決めた
しばらく前から「ブログ」という言葉が
流行し始めて、それなりに注目していた。
移動することを最終的に決めた
理由は、ブログはそれぞれの記事に
固定リンクを張ることができるということ。
それまでは、掲示板で日記を書いていたので、
記事の内容がどんどん「流れて」
いってしまって、検索してもうまくひっかから
なかったのである。
インターネット上のメディアは、
いろいろ試してみるが、私の中で定着するものと
しないものがある。
メーリングリスト、メルマガ、掲示板、
SNS、セカンドライフ、twitter、などなど、
ありとあらゆるメディアを試してみて
来たが、その中で、自分の中で定着
しているものは案外少ない。
どのような基準で選んでいるのか、
自分に時々問い直して見る。
結局は、価値のあるものを作りたい、
深く潜りたい、思わぬつながりを見つけたい
という一種の「倫理観」なのだろう。
8月 5, 2009 at 06:53 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
2009/08/04
Background to Britain
Background to Britain
The Qualia Journal
4th August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 4, 2009 at 07:54 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
脳のトリセツ 脳と化粧
茂木健一郎 連載 「脳のトリセツ」
第六回 脳と化粧
週刊ポスト 2009年8月14日号
http://www.weeklypost.com/090814jp/index.html
8月 4, 2009 at 07:13 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
文明の星時間 落語の癒し
サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第75回 落語の癒し
サンデー毎日 2009年8月17日号
http://mainichi.jp/enta/book/sunday/
抜粋
先日、移動中の飛行機の中で、林家木久扇師匠の落語『松竹梅』を聞いた。
子どもの頃から、落語の世界には親しんでいた。父母や祖父に連れられて、浅草演芸ホールや上野鈴本、新宿末廣亭に何度となく通った。自然に、慣れ親しんだ演目が出来上がっていった。
もっともなじみ深いものの一つが『松竹梅』。何回となく聴き、また文庫本の古典落語全集でも読み返した噺。それが、長年「笑点」で親しんだ木久扇師匠の巧みな話芸で語られると、なんとも言えない温かい気持ちになった。
『松竹梅』は、のんびりした調子の落語である。どこか間が抜けている松五郎、竹蔵、それに梅吉の三人が、大店の婚礼に招かれる。一同は、どうしたらいいだろうとご隠居に相談する。ご隠居は、三人合わせて「松竹梅」なのだから、いかにも縁起がいい。名前を活かして何か余興をやったらどうかと提案する。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
好評発売中!

8月 4, 2009 at 07:09 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
祭り
夏になり、日本各地で祭りが
行われている。
祭りという文化伝承のすごいところは、
ごく一般的な人でも、祭りの
方法、手続きに従って
参加していると、自然に様になり、
美しい光景を呈することだろう。
天才や、目利きが必ずしも
いる必要はない。古から積み上げられた
智恵に従っていれば、型ができる。
参加することで、自然に
そのようなことを学んでいく。
祭りの学習効果。
仙台へ。
ソニーの仙台TECにて、
脳と創造性についてお話させていただく。
仙台TECの特徴は、研究、技術開発と
生産が同じ場所で行われていることと、
北島久嗣さん。
講演終了後、北島久嗣さん、斎藤光信さん、
小川勉さん、玉田仁志さん、清水純さん、
川名隆宏さんと懇談。
心から、楽しい時を過ごした。
仙台駅に着くと、七夕祭りの飾りがある。
道行く人が、親切にカメラのシャッターを
押して下さった。

(左から)玉田仁志さん、斎藤光信さん、北島久嗣さんと。
おじさんが東北に住んでいたので、
子どもの頃訪れて、両親や妹と
一緒に仙台の七夕を見たことがある。
通りという通りに、大きな飾りが
下がっていた記憶がある。
あれは、小学校に上がるか上がらないか
の頃だったろうか。
強く、深い印象があった。
祭りは、順送り。
私はすっかり大きくなったが、
今もまた、小さな魂が、仙台の街の
あちらこちらで七夕の飾りを見上げて
いるに違いない。
8月 4, 2009 at 07:05 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
2009/08/03
Youtube
Youtube
The Qualia Journal
3rd August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 3, 2009 at 08:39 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
いつも風が
ぼくは、日本のある時代の
フォークソングが好きである。
歌詞やメロディーと相まって
つくり出される世界に、
いつも「風」が吹いているような
気がする。
「遠い世界に」(五つの赤い風船)
「白い色は恋人の色」(ベッツィ&クリス)
「あの素晴らしい愛をもう一度」(加藤和彦と北山修)
「神田川」(かぐや姫)
「なごり雪」(伊勢正三)
「ささやかなこの人生」(伊勢正三)
他にも、たくさん。
旅先のホテルで、youtubeで好きな
フォークソングを次から次へと
聞くことがある。
学生運動が盛んだった時代。
若者たちが、社会を変えられる、
何よりも、自分自身を変えられるという
可能性を信じていた時代。
その時に抱いていた、具体的な目的が
妥当であるかどうかということとは
関係なく、
自分自身が変わるというその
揺らぎ、胸のざわめき
自体に価値がある。
自分は、今の自分と全く違った自分に
なりうる。
そのような生の大きな偶有性を
どれくらい信じていられるか
どうかということが、つまりは
一人ひとりの人間の、そして時代の
若さというものだろう。
所沢の西武ドーム。
日本テレビ「高校生クイズ」
の関東大会。
ラルフさんが司会をし、
菊川怜さんと私で
高校生を励ました。
オードリーの春日さんと若林
さんのやりとりが楽しかった。
これだけの規模の企てを、
きめこきめやな配慮で
運営している関係者の努力に
頭が下がる。
そして、難しい問題に挑戦する
高校生たちの「知のアスリート」魂
を応援したい。
桑原茂一さんの日記
にあった「本物はみないい人」
という言葉に心から共感。
永瀬正敏さんが、忌野清志郎さんへの賛辞と
して記した言葉。
本物はみないい人。
本物のまわりには、いつも風が吹いている。
8月 3, 2009 at 08:13 午前 | Permalink
|
| トラックバック (3)
2009/08/02
Boy spirits
Boy spirits
The Qualia Journal
2nd August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 2, 2009 at 08:55 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
テンポ設定
表参道で池上高志と話す。
青土社「ユリイカ」の、
昆虫特集に向けての対談。
池上は、アロハを着て、カウアイ島の
空気をたくさんまとってやってきた。
オレ「蝶っていうのはさ、360度、どこから
飛んでくるかわからないんだよ。それで、
いつでも待ち構えていて、飛んできたら、
瞬時に反応しなくてはならない。今でも、
蝶のようなものがどこから飛んでくるのか、
いつも待ち構えている。」
池上「オレの場合は甲虫だったから、
採集の経験がぜんぜん違うんだよな。
手をつっこんで、こうやって探っていくん
だよ。カブトムシの幼虫が、探っていくと、
いつも、思っていたおりも感触が大きくて、
その度に感動していた。」
自由意志、
遊びについて考えることが、
これからの人生においては
大切だと池上高志と同意した。
同席していたのは、青土社の
今岡雅依子さんと、足立桃子さん。
池上と私の暴走を橫で聴きながら、あきれて
いたのではないかと懸念する。




アロハを着た池上高志
近くに移動。
PHP研究所、木南勇二さん、
ライターの石井綾子さん、三浦愛子さんと
「読書」について。
木南さんが予約したホテルの
会議室は、結婚式の親族控え室
の並ぶ間にあり、なにやら
愉快そうに笑う人たちの間をそそくさ
と抜けて、私たちはなぜか
肩身が狭い思いで読書について
語り合った。
スパイラルホール。
『脳で旅する日本のクオリア』の
刊行記念講演会。

たくさんの方に来ていただきました。
50冊用意させていただいた
サイン本も完売いたしました。
皆様、ありがとうございました!
フジテレビ。
「ベストハウス123」の収録。
収録前、朝倉千代子さんと、
フジテレビ内で公開中の
「ラロックの聖母」
を見に行く。
降りていくと、笠原裕明さんが
向こうから来た。
「茂木さんが上がっていった、と聞いて、
追いかけてきました。」
いつも追い込みを忘れない笠原さん。
朝倉さんは、ニコニコ笑って
すべて見ている。
Au Gamin De Tokio
にて、『脳で旅する日本のクオリア』
の出版打ち上げの会。
雑誌「和樂」
に連載した「日本のクオリアを
旅する」をまとめたのが本書。
ずっと旅先をコーディネート下さった
橋本麻里さん、渡辺倫明さん、
小学館の清水芳郎さん、それに、連載時に「和樂」の
編集長をされていた蔵敏則さん。
橋本麻里さんと、テンポの話をする。
「先日、能楽師の方に聞いたら、昔は
やっぱり能は今の2、3倍の速さで
演じていたそうですね。」
「安田登さんでしょう。日記で読みましたよ。」
「それで、1960年代からさらに遅くなった
そうですね。小津安二郎の『晩春』の
杜若などを見ると、ずいぶん速い。」
「年齢を重ねると、だんだん遅くなると
言いますね。」
「それなんですけれどもね、僕が
大学生の頃はバブルで、懸賞論文が
たくさんあって、ぼくは時々応募して
賞金稼ぎをしていたのですが、あの頃は
無茶苦茶というか、
たとえば4、5時間で50枚の
原稿をさっと書き上げていた。
近頃は、そんなに速く書けないというか、
書かないというか、たとえば和樂の原稿
などは、もっとゆっくり書いている。
これは、文体とか用語とか、
いろいろなものが見えてきて、
蛮勇が奮えなくなった、ということかとも
思うのです。」
「モードの切り替えもできますよね。
さっと素速く書くような仕事もある。」
「書字におけるテンポ設定は、たいへん重要な
ことだと思われます。」
渡辺倫明さんの行きつけだという
Au Gamin De Tokioの料理は、
噂に違わず美味。
ワインも、舌の上で転がって
やがて落ちる。
幸せな時間でした。

渡辺倫明さんと、蔵敏則さん。

橋本麻里さんと、清水芳郎さん
8月 2, 2009 at 08:14 午前 | Permalink
|
| トラックバック (0)
2009/08/01
The contingent self
The contingent self
The Qualia Journal
1st August 2009
http://qualiajournal.blogspot.com/
8月 1, 2009 at 08:20 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
トド先生その4
那須塩原から新幹線で東京へ。
駅を出てすぐのあたりの、水田の
中の家の風情が美しかった。
赤い屋根。広い庭。
きれいな植え込み。
日本は広い。そのすべてを
探索し切ることなど、不可能である。
ゼミ。The Brain Club。
高野委未が、skin touchに
ついての興味深い論文を
紹介する。
議論の流れで、表参道に
free hugという紙を持って
立っている男がいるという話題になった。
愛に飢えた男、関根崇泰がすかさず
「free hug」と書いて、両手を挙げたが、
誰も反応しなかった。

「ハグ無料です」
電通にて、「広告小学校」 。
子どもたちが、CM作りを経験する
ことで、メディア・リテラシーを
高めるとともに、表現力、構成力
を培う。
プロ集団らしい、気配りの行き届いた
運営で、集まった子どもたちも
楽しんでいた。
朝日カルチャーセンターに
向かうと、隣りの三井ビルで
芸能山城組が
「第34回 ケチャ祭り」をやっている。
本田学さんがいらしたので挨拶する。
大橋力先生
が、音響の調整をしていらした。
かっこいい!

大橋力さん

合唱をする山城組の人たち

ケチャ祭りのステージ
私は講座が始めるので見られなかったが、
野澤真一が見て、感想を書いている。
感動が、表現につながっていて、
わが弟子ながら、あっぱれである。
(絶対涅槃ミュージック)
ケチャ祭りは、あと二日間。
ぜひご覧ください。本当に素晴らしいのです。
浅井慎平さんとの対談。
感性が細やかで、真っ直ぐで、
熱くて、素敵で、風に吹かれていて、
海の気配がして、そして人に
誠実に向き合う人。
浅井さんを、「アニキ!」と呼びたく
なる。

浅井慎平さんと(photo by Atsushi Sasaki
懇親会に、和田京子さんと本多いずみさんが
『笑う脳』
の見本を持ってきて下さった。

『笑う脳』できる。本多いずみさんと、和田京子さん(photo by Atsushi Sasaki)
関根崇泰が、囲まれて何やら
絵を描いている。
何をしているんだ、とのぞき込んだら、
オレのカリカチュア「トド先生」を
描いていやがった。
そんなに笑うんじゃない、関根。

何かをたくらんでいる関根崇泰

トド先生その1

トド先生その2

トド先生その3

トド先生その4
PHP研究所の横田紀彦さんが、
美女に囲まれた。

美女に囲まれる横田紀彦さん
電通の佐々木厚さんの顔が、けわしく
なった。

険しい顔の、佐々木厚さん
8月 1, 2009 at 08:03 午前 | Permalink
|
| トラックバック (1)
最近のコメント