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2009/06/23

文明の星時間 ハワイ・マレー沖海戦

サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ

『文明の星時間』 第69回 ハワイ・マレー沖海戦

サンデー毎日 2009年7月5日号


http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 


抜粋

 『ハワイ・マレー沖海戦』が封切られたのは、1942年12月3日。太平洋戦争のきっかけとなった1941年12月8日の真珠湾攻撃から、一年経たない時点での公開であった。
 真珠湾攻撃の場面は、戦後「ゴジラ」や「ウルトラマン」の特撮で有名となった円谷英二さんの担当。精巧に組み上げられた真珠湾の特撮セットを用いた映像は、今日見ても色あせていない。
(中略)
 真珠湾へ接近を続ける艦内では、飛行機乗りたちが集められて、アメリカ艦隊の「シルエット・クイズ」が行われている。教官が白地に黒の艦船のシルエットを見せて、「さて、これは?」と尋ねる。若い兵士は、「これはですな、えーと」とわからずに頭を掻く。教官は、「なんじゃ、自分の嫁さんの名前を忘れてどうするんじゃ」と問いただす。
 「これはお前の目標じゃろうが」と畳みかける教官。「ウェスト・ヴァージニア!」と兵士がやっと思い出す。「今さら手遅れじゃ。」と教官。皆が笑う。
 さらに、問題は続く。「さあて。今度は間違えるな。さ、これだ!」「カリフォルニア!」別の兵士が首尾良く答える。「よしっ、轟沈!」教官が上機嫌に笑う。
 「さっ、これは?」「はい、テネシー!」「いかん、いかん。これは、オクラホマじゃ。このマストが、『オ』の字に見えるじゃろうが。この煙突が、『ク』じゃ、『ラ』じゃ、『ホ』じゃ、『マ』じゃ! よく見ると、オクラホマに見えるじゃろうが。」「はい、見えます。」「もう遅い!」
 最後の問題である。「さあ、これは?」「アリゾナ!」「よし。轟沈!」
 教官が締めくくる。
 「しかし、みんなせっかくハワイに婿入りするんじゃけん、自分の嫁さんの名前くらいしっかり覚えておけよ。いいか。」「はい!」「そうじゃないと、水くさいと言うて、振られるぞ。」兵士たちが笑う。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

本連載をまとめた
『偉人たちの脳 文明の星時間』(毎日新聞社)
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6月 23, 2009 at 07:27 午前 |

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» 論文を書きます トラックバック 須磨寺ものがたり
ある時、来客の予定があり、 二階にある部屋の片づけをしていた家内が、 何を見つけたのか「ちょっと、ちょっと」と、 私を呼ぶ声がした。 [続きを読む]

受信: 2009/06/23 13:56:47

コメント

サンデー毎日で全文拝読いたしました。
教官は可愛いですけど、若くして国の為に散っていった無数の人々を思うと胸が痛みます。
戦争といえば、私の母も戦争体験しています!ただとても小さかったので、怖かったというより美しかったそうです。夜空から降ってくる照明弾とか空襲で薔薇色に染まった月とか。
特にその薔薇色の月はもの凄く綺麗だったそうです。
私も母が戦争でなくなっていたら生まれていないので、やっぱり不思議です。 戦争ってなんでなくならないのかな…オバマ大統領に光を見てます!

投稿: 眠り猫2 | 2009/06/24 22:00:18

茂木さん、Hello♪(^-^)教官怖すぎ♪(笑)さあて♪とか(笑)さっ♪(笑)って♪キャって感じで逃げだしそう♪(笑)面白すぎて(笑)おら(笑)give upじゃ♪(笑)だけど教官♪ここはハワイじゃ♪(笑)そっちの方にあるあの木の様な♪(笑)ヤシの木みたいな♪(笑)あれはなんじゃろ?♪(笑)さっ♪教官(笑)♪(^3^)それでは茂木さん、また今度です。

投稿: 水饅頭 | 2009/06/24 4:11:15

ドキリとする問答(^-^)

みずくさいと言って、振られちゃうのは…イヤですね(^^ゞ

投稿: 奏。 | 2009/06/23 20:14:46

「ハワイ・マレー沖海戦」での「戦艦シルエット・クイズ」での教官と生徒たちのやりとりが、とてもユーモラスだったのが印象に残る。

あの大変だという時代でも、人々は、心の何処かにユーモアを湛えていたのだ、そうでなければ、戦時中を生き抜く事など出来なかったのではなかったか。

どんな時代でもそうだと思うのだが、戦時中の歴史を見るとき、過ぎ去った「結果」だけ見て「あの時代は思想的に非常に問題があった」というばかりでなく、その時代の文脈の中で、一瞬一瞬を懸命に、健気に生きた民衆の息吹きに寄り添わなければ、本当の意味で、歴史を“理解”したことにはならないのだ、と今回の連載を読み、思い知らされた。

あの時代、結果として悲惨なことになるとはわからずに、「お国の為に頑張れば、日本は勝利し、家族や友達も幸せになれる」と若者たちは思いこみ、自分達とともにあるその「今」を、懸命に一瞬一瞬を生きていたのに違いない。

そんな彼等の末路を思うと、戦争に向かわせる欲望を引き出すような、全てのものと、非暴力で闘い、本当の平和な世界を築く為、微々なる力ながらも努力していくのが、戦後に生まれ、昭和後半を生き抜き、21世紀を生きる我々の、ひとつの「ミッション」なのではなかろうか。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/06/23 19:46:48

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